特集番外編2 2010年10月号

特集番外編2

公開日:2010/9/10

『文学賞への道2010 読まずに小説書けますか?』特集番外編

編集I

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今回の特集のタイトル『読まずに小説書けますか?』は、9月10日発売の書籍『読まずに小説書けますか 〜作家になるための必読ガイド』から拝借しました(と申しましても、弊社から出る本なのですが)。『読まずに小説書けますか』は、岡野宏文さん×豊﨑由美さんのダ・ヴィンチ連載「それでも作家になりたいですか?」をまとめたもの(大幅加筆、桜庭一樹さんとの鼎談も特別収録!)です。

「コミック・ノベルが書きたいなら、自分は笑うな! 〜『太陽の塔』(森見登美彦)に学ぶ」「キャラクター小説を書く前に、まず類型を理解しろ! 〜『涼宮ハルヒの憂鬱』(谷川 流)に学ぶ」といったように、具体的なテーマについて、「お手本本」を示してご案内。また「お手本本」以外にも、膨大な量の「学ぶべき」書籍に言及しています。(たっぷりの注釈は担当編集Pが必死で作りました。)とってもお得な本なので、ぜひお手にとっていただけるとうれしいです。

さて、そんな『読まずに小説書けますか』の著者である岡野さんと豊﨑さんには、特集のメイン企画「この文学賞を攻めるならこの受賞作を読め!」でご協力をいただきました。7つの文学賞(公募の新人賞)について、過去の受賞作から「チェックすべき」本をそれぞれ挙げていただき、ポイントを解説いただきました。私は作家志望ではありませんが、それでもお二方のお話はとてもおもしろく、レコメンドいただいた作品を読んでみようという気になりました。読者のかたも、作家志望であるなしにかかわらず、この記事を入り口に読んだことない作品に触れてみていただけたらと思います。

また、「文学賞出身の注目新進作家に訊く“こんな本を読んで作家になりました”」のコーナーでは、海堂尊さん(「このミステリーがすごい!」大賞)、朝倉かすみさん(小説現代新人賞)、宮木あや子さん(女による女のためのR-18文学賞)、飴村行さん(日本ホラー小説大賞)、朝井リョウさん(小説すばる新人賞)にインタビュー。それぞれ、デビュー前の時代にどんな作品を読んできたのか、また、創作の際指針とした作品についてなどをうかがっています。作家さんごとにさまざまな作品が挙がりました。ぜひチェックしてみてください。(それぞれの受賞作、および新刊についてもご紹介!)お忙しいところ取材にご協力いただいたみなさん、どうもありがとうございました!


下読み座談会に愛を感じました!

編集S.K.

今回の文学賞特集は、文学賞の紹介というよりも、文学賞をとるにはどんな本(知識)が必要か、という部分にスポットをあてました。その中でも、多くの文学賞で設けている“下読み”に携わる方々の座談会は、文学賞へ応募を考えている人にはおもしろい内容になったと思います。

座談会を取材していて思ったのは、“読みやすさ”というのは相当重要なんだな、ということ。考えてみれば当たり前ですが、読めない文字は、どんなに内容がよくとも、伝わらないですよね。手書きの文字だけでなくワープロ原稿も、変に行間が空いたり詰まったりするものは非常に読みにくいそうです。がんばって読むけども、内容が頭に残りにくい……とおっしゃっていました。これはもったいないですよね。せっかくの作品なので、ぜひ“最初の読者”が読みやすい体裁で送ってみてください。

座談会ではかなりの毒舌が飛び出していましたが、これはプロからの愛のムチ。だからこそ皆さん真剣に作品と向き合っているのだな、というのが伝わってきました。自分の作った作品を真剣に読んでもらえるチャンスでもある文学賞応募、なんですね。