特集番外編2 2008年7月号

特集番外編2

公開日:2008/6/10

オノ・ナツメ特集番外編

編集I

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『ダ・ヴィンチ』読者の熱いコメント満載!!

私の好きなオノ・ナツメ作品ランキング

『ダ・ヴィンチ』のオノ・ナツメファンに大アンケートを敢行! オノ・ナツメ作品の中でもっとも好きな作品と、『リストランテ・パラディーゾ』&『GENTE』シリーズ、『さらい屋 五葉』それぞれの作品の中からいちばんの好きなキャラクターを回答してもらった。

作品ランキングは、以下のような結果に。本誌では掲載しきれなかった熱い推薦コメントの数々とともに、その内容を紹介したい。4月に連載が始まったばかりの『COPPERS〔カッパーズ〕』、5月に発売になったばかりの『オノ・ナツメ初期短編集 Tesoro(テゾーロ)』にも今後はご注目。

キャラランキングの結果については、本誌にて!

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母親を追ってリストランテ<カゼッタ・デッロルソ>を訪れたニコレッタはスタッフが全員老眼鏡をかけた年配の紳士であることに驚く。その中の一人クラウディオに惹かれるが……。「老眼鏡紳士」という新しい男性像を提示し、話題と共感を呼んだ。紳士だけでなく大人の女たちも魅力的。

『リストランテ・パラディーゾ』の登場人物それぞれを主人公にして、プライベートな部分も含めて描いた外伝。本編ではあまり触れられなかった人物や、老眼鏡紳士たちが<カゼッタ・デッロルソ>に集まってきた経緯など、知りたかった部分が明かされていく。
ここが魅力
●淡々としているが、上質で優しい空気感に満ちている。登場人物も個性的だがワザとらしくなくて、悪人が出てこないところが良い(女・33・会社員)
●やっぱ、メガネ紳士の色気でしょう。乾いているんだけれど、チラリと見せる刹那的な男の温度がたまらない魅力(女・30・公務員)
●独特な画風で、漫画というよりすごく質のいい映画を見ているような気にさせてくれる。それに何より若い男にはない、ステキなおじさま達の魅力がつまっていて中毒になる。こんなレストランができないかと心底思う(女・22・大学生)
●やはり、眼鏡紳士!!(笑)年上過ぎなのを全く感じさせない大人の魅力にメロメロです♪で、何だかんだで各所に散りばめられた胸キュン要素(ニコレッタに対する皆の気遣いナド)とか、ニコレッタの恋がいい方向に進みそうなのもハッピーエンド好きにしてはたまりません♪♪(女・26・会社員)
●主人公のニコレッタ以外の登場人物の人生まで感じられるところ。イタリアには行ったこともないし、こういう世界には縁がないけれど、最初から最後まで、実際に自分の周りで起きていることのように、悩んだり幸せを感じたりしました(女・25・会社員)
●いい匂いがするような作品(女・41・公務員)
●老眼鏡のカメリエーレもすんごくいいのですが、それよりも母と娘の物語を強く感じられるところが好き(女・22・会社員)
●単館上映されている海外映画のような雰囲気(女・24・会社員)
ここが魅力
●作品のもつ店舗や空気感が心地よい。省略された台詞回しや作画の陰影が落ち着いた雰囲気を出している。また描かれた食べ物がどれも美味しそう! 特にパスタとジェラード!(女・30・会社員)
●一人一人にスポットを当てているので内容が濃くとてもキャラクターに親近感を感じることが出来るから(女・19・短大生)
●「リストランテ・パラディーゾ」で好きになった彼らの世界。リストランテの人々に流れる静かで優しい時間、まるで毎日が休みの日のようにゆったりと感じます。彼らの「言葉にしなくても伝わる」という関係がとても羨ましいです(女・16・高校生)
●大人の色気があるし、他人への何気ない優しさがあふれている(女・35・主婦)
●イタリアを舞台にすることで登場人物の感情表現がスマートでカッコイイ。また、仕事や自らのポリシーといった側面においては情熱的なところも素敵。ドルチェなど、おいしい料理やワインも物語の中で自然に登場してその場を彩っている。そして、メガネ(老眼鏡)の紳士はそれぞれに過去があり深みもあり、なんとも魅惑的(女・26・フリーター)
●リストランテ・パラディーゾを含めてだが、それぞれがそれぞれに悩みや望みを持っていて、それでも毎日淡々と、仕事に励んでいる姿に励まされる。そして、仕事を心から愛しているところに、ちょっと嫉妬する(女・40)
●映画を見ているような、しっかりとしたストーリーが好きです。こんなお店あるなら、私も行きたい。老紳士にうっとりしたい(女・30・主婦)

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剣の腕は立つが気弱ゆえ仕事にもつけぬ貧乏浪人・政之助は、ある日出会った遊び人風の謎めいた男・弥一から用心棒の仕事を請け負う。だが、弥一は誘拐を生業とする一派「五葉」のリーダーだった……。ストイックかつあたたかな、オノ・ナツメ流「時代劇」。 ある女との再会の約束を果たすため、アメリカにやって来たイアンは、不運なめぐりあわせで殺されてしまう。その死から過去にさかのぼり、父と母、姉との複雑で哀しい関係が明かされていく。ひとすじの希望を抱えて生きた、イアンとその家族の物語。
ここが魅力
●気弱な浪人・政がいつのまにか物語の渦中にいる。そんなストーリーがたまらんのです…!!ナツメさんの美麗な絵は洋風向きだと思ってたので新鮮でした(女・19・大学生)
●5人が訳アリでありながら、なかなか他を気にして考えて頼ってってところが良い。弥一はナニ考えてるのかわかんなくて女心をくすぐります(女・44・主婦パート)
●時代劇風なのに読みやすい!! キャラクターの個性も好きっ! 政の、侍のくせにおどおどしてるところやーマヌケっぽいのに腕がたつとことか、カツラヤの女にいじられて悲鳴あげたりとかかわいい。弥一のひょうひょうしたかんじがまたたまんないっっ! ナツメさんの独特な線の細さや描き方が魅力です!! 五葉のたくさんの謎なところを早く知りたいです!(女・15・高校生)
●主人公の政がかわいすぎる!今までの時代劇漫画だったら主人公は強い設定だが(政も強いけど)、あんなにオドオドしてて守りたくなるお侍さんは初めて!!(女・21・大学生)
●「五葉」のメンバーは、人として弱いところ、強いところを持っていて、拐かしという堅気ではない業にもかかわらず、人の痛みもわかり優しさもある。それぞれの今とは違う隠された過去が、キャラクターの人間味を増していて、人情味ある物語になっているところが好き(女・38・会社員)
●和の持つ独特の雰囲気の中に、薫ってくる色気が漂っているところ。(女・22・会社員)
●それぞれの登場人物たちの行動に隠されたものが、心の根っこにじわじわくるから。一時的な沸騰!って感じではなく、同じ位でずっと快さが持続するような作品(女・22・大学生)
ここが魅力
●暗くて救いのない話ではあるがポップな絵でそれを包み込んでいる。また、キャラクター1人1人がとても魅力的で映画を見ているような印象を受ける(男・20・大学生)
●独特の世界観とキャラクター、雰囲気がとても魅力的です(女・19・専門学校生)
●最後まで救う所がないのに見れてしまう不思議と、時間軸が現代なのにファンタジーを読んでいるような雰囲気が好きです(女・21・会社員)
●本当に「シンプルじゃない」ところ。全部うまくいかなくて,みんなぐちゃぐちゃに可哀想なところ(女・16・高校生)
●作り込まれた伏線。息をのむストーリー(男・30・公務員)
●絵はシンプルなのに、ストーリーが全然シンプルじゃない。そのギャップにやられた(女・28・会社員)
●どうしようもない人生の不条理さを漫画で表現したことはすごいと思ったから(男・19・大学生)
●これまでに出会ったどのマンガにも成り得ない、どのマンガにも含まれないなにかが詰まっている作品だと思う。ドラマにも成り得ない出来事に導かれていく人生の中に、そこで自分はどう考えるのだろうかと考えさせられてしまう。良い小説、良い映画を見え終えた後の余韻のようなお話(男・22・会社員)
●気分が乗らないときに読むとさらに沈む。人の縁の不思議と無情を感じた。ハッピーエンドじゃなくて良かった、と初めて思った作品です(女・21・大学生)

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イタリアのとある町。4人の男が暮らすアパートの「5番目の部屋」は、世界中からやって来る留学生を受け入れ、送り出す場所。それぞれの時間、共に暮らすあたたかさ、別れのせつなさ、だからこそ生まれる絆を描く。オノさん自身の留学経験がモチーフに。 父と息子、兄弟、娘婿と義父……一対一の男同士の関係をつづった短編集。次の連載につながる二人の刑事を描いた短編も。イタリア、アメリカ、そして日本など舞台もさまざま。「Danza(=ダンス)」。「相手がいてこそ踊れる」というオノさんの思いが込められている。
ここが魅力
●オノさんの作品はどれもそうですが、イタリアの空気がすごく感じられるところです。あとは登場人物がみんな魅力的なところ。楽しそうなだけでなく、悩んだり、人を気遣ったり、いろんな感情を見せてくれるところやキャラクターが現実感を持ってるところが好き(女・23・会社員)
●絵がとにかく可愛くて、おじさんたちがいちいち抱きしめたくなるほど可愛い、のに渋い、カッコいい!(女・22・大学生)
●最初に出会ったオノ・ナツメさんの作品で、それぞれタイプの違う人達がそれぞれを思いやりながら生活している様子がとてもほのぼのします。五番目の部屋で自分も一緒に生活してみたいと思わせてくれる作品です。実際のみんなでの暮らしに区切りがついても、映画の中でずーっと続いていくのもまた素敵。その映画が見てみたいです(女・22・主婦パート)
●心細い時に読むとちょっと元気が出ます(女・22・大学生)
●さっぱりとした絵柄と心がほっこり温まるお話が魅力。四人の同居人たちの一定の距離をわきまえつつも、互いに信頼しあっている関係が絶妙(女・25・会社員)
●コロコロ変わるアパートの5番目の部屋とアパートの住人の関係があったかい(女・24・フリーター)
●ほのぼのしていて、面白くて大好きです。読んだ後は、イタリアへ行きたくなります(女・18・高校生)
ここが魅力
●しいて選ぶならDanzaのパートナーが好きです。最後の『じゃあさ、ダンスは?』がいいです! オノさんも帯に書いてましたが男の人の心のつながりや友情にぞくぞくします。
●2歩下がって3歩進んでいるような人生のストーリーが味わえるところ(女・25・フリーター)
●男の人同士の付き合い方が、とても丁寧に描かれていて、魅力的。繊細な絵を丁寧に描くオノ・ナツメさんがダイスキです(女・20・大学生)
●オノ先生の魅力は男社会に存在する見えない美学の描写がすばらしくうまいところだと思います。その色がもっとも強く感じるのがDanzaではないかと思います。中でも「ジェラテリーアとカラビニエーリ」というサブタイトルの付いた作品には、わずか数ページであるのに言葉にして表現できないほどの感動と共感を覚えました。とにかく、すばらしい(男・23・会社員)
●それぞれの物語がテイストが違って楽しめる軽い感じのようでいて、何度読み返しても飽きない(女・29・会社員)
●登場人物全員がそれぞれのストーリーの主役になるから(女・28・会社員)
●「人間関係」というものが大きく描かれた作品だと思えるからです(男・23・会社員)
●どの作品もやさしい。ココロがほんわかとします(女・31・派遣社員)
●暖かいのに切ない、いじらしいところ(女・21・大学生)

新連載&新刊情報

08.jpg 『COPPERS〔カッパーズ〕』 『モーニング・ツー』にて4月より連載開始
舞台は、NYPD(ニューヨーク市警)51分署。分署長、警部補、刑事、巡査、ESU(緊急出動部隊)隊員……たくさんの人々がそれぞれの立場で仕事をまっとうするために集まった場所。これまでも、同人誌や『Danza』のなかでNYPDをたびたび描いてきたオノさんが、ニューヨーク取材を経ていよいよ本格的に挑む警察シリーズ。始まったばかりだが、早くもワケアリな風情を漂わせる人々が登場、期待が高まる。
07.jpg 『オノ・ナツメ初期短編集 Tesoro(テゾーロ)』小学館IKKIコミックス 790円
単行本未収録短編、同人誌収録の短編、カラーイラストなど1998年から2008年までの作品を収録。イタリアに留学した娘を持つ父親を描いた「オモテウラ」、もやしのように細身で長身の老夫婦のデート風景がかわいらしい「もやし夫婦」、初投稿作品「イーヴァの記憶」、『リスパラ』とは違う角度から描かれた老眼鏡紳士ものなど、まさに「Tesoro=宝物」のような物語たち。描き下ろしマンガも収録。

オノ・ナツメさんの特設サイトがオープン!

小学館 月刊IKKI オノ・ナツメ特設サイトはこちら→
http://ikki-para.com/ono-natsume/index.html


特集番外編2 まさに「オノ・ナツメ・パラディーゾ!」な内容です。

編集M.H

今月は1特2本の豪華な月となりましたが、「オノ・ナツメ・パラディーゾ!」特集は、オノ・ナツメさんの全面的な協力のおかげで、内容も非常〜に豪華なものに! 間違いなく完全保存版の特集となっております!!

まず、オノ・ナツメさんの描き下ろしによる、スタイリッシュでフェティッシュな大インパクトの見開き扉イラストにご注目下さい。このままポスターにして飾りたくなるようなイラストです。本当にオノ・ナツメさんの描く男の人は雰囲気があって色っぽいです。 しかも、今回はコラボ企画として、扉と次のページに続くオノさんの描き下ろしイラストからイメージをふくらませていただき、小説家の堀江敏幸さんに短篇小説を書き下ろしていただきました。この短篇小説がまた素晴らしいのです! 一読したあといろんな想像が膨らみ、オノさんのイラストとあわせて二度三度と読むと、さらに色んな解釈ができるのです。皆さん、ぜひ熟読してみてください。

そしてなんと!よしながふみさんとオノ・ナツメさんの夢の対談も実現!! お二人に、各々のマンガや“心惹かれる男性像”について、大いに語り合っていただきました。こちらも非常に濃い内容になっております。要注目です! 対談後はよしながさんのご発案でオノ・ナツメさんとスタッフ全員でお食事会となったのですが、こちらも大いに盛り上がり、終電ギリギリまで話が尽きることがありませんでした。個人的にも大ファンであったよしながさんとオノさんにお目にかかれただけでなく、このような場に立ち会えるなんて大感動でした。お二人のお人柄と気遣いに心打たれ、至福のときを過ごさせていただきました。本当にありがとうございました。

そのほか、映画ライターの皆川ちかさんによる作品分析では、マンガの中に登場するイタリアの風景のピックアップや、映画的な構図、オノ・ナツメ作品好きに皆川さんがオススメする映画ガイドなど、新たなオノ・ナツメ作品の読み方を提案しております。読者投票によるオノ・ナツメ作品キャラクターランキング&作品ランキングの結果にも乞うご期待。

あと、オノさんのロングインタビューでは、これまであまり語られることのなかった、漫画家オノ・ナツメ誕生の軌跡をバイオグラフィーで辿っています。オノさんがデビュー前に描いた作品やイタリア留学時代の写真など、本邦初公開のお宝もたくさん載っています! このように、オススメポイントは語っても語っても語りきれないくらいたくさんありますので、ぜひぜひ本誌をご覧下さい!