アニメ放送中『スパロウズホテル』の見どころは作画崩壊!?

マンガ

更新日:2013/5/10

 『月刊 まんがくらぶオリジナル』(竹書房)で連載中の4コママンガ『スパロウズホテル』(山東ユカ:竹書房)が、この春から5分間アニメとしてテレビ埼玉やKBS京都などで放送されている。

 作品の舞台は、繁華街のど真ん中にあるタイトルと同名の「スパロウズホテル」というビジネスホテル。ここのフロント係として採用されたヒロインの佐藤小百合は美人でグラマラスなボディーの女性で、いつも笑顔で元気一杯。仕事に一生懸命に取り組み、その容姿で宿泊客を虜にする人気者だ。

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 しかし、その一方で、採用面接時に話した彼女の特技は「巨乳と暗殺」…。一体どこでどうして会得したのかわからぬ一騎当千の武力と腕力、そして忍者並みの身体能力を保持しており、必要とあらばなんの躊躇いもなく人前でそれらを駆使してしまう。

 酔っぱって絡んでくる客が登場したり、ホテルの玄関先で揉めごとが起きるようなことがあれば、佐藤さんが「(やられた方は)無痛です」と笑顔で述べている必殺の片手チョップで気持よく(?)相手を昇天させて解決。また、天井の電球が切れればジャンプひとつで瞬時に交換し、何人分もの荷物を両肩に担いで一度に運ぶなど、周囲の人を驚かせるちょっと危険な天然娘でもある。

 エピソードは、そんな天然の佐藤さんを中心に、小さくて可愛らしいけど常にキッとしていて、ホテルの稼働率やサービスの向上を考えている仕事一筋なもうひとりのヒロイン・塩川環主任や、高いツッコミスキルを持つメガネのアルバイト・御園君との絡みが描かれることが多い。そこへ、やり手の営業部長ながら妹の環をあからさまに溺愛する塩川(兄)ほか、佐藤さんと常連客などとのやり取りなども交えて展開される“職業もの”として、テンポのよい笑いを提供してくれいる。

 ところが、この『スパロウズホテル』。放送開始当初、本筋とは少し外れたネタで大きな話題になった。なんと、公式サイトにて「DVD商品ではディレクターズエディションとして、全話数の作画を一新します」と発表されたのだ。

 もちろん過去の他作品において、TV放送に向けた過密スケジュールにより作画が乱れた場合、その後のDVD発売時において部分的に修正されるというのはよくある話。むしろ、それが定番になりつつはある。だが、この書きぶりからすると、全面的に描きなおすということになる雰囲気である。そして告知文では、そんな疑問に対して先回りするかのように「TV放送(配信)時から、DVDではどのようなクオリティーになるか? という点にご注目いただきまして、新しいご視聴方法で、是非とも、引き続きご視聴下さいますよう、お願い申し上げます」と追記されているのだ。

 この話題は、当然のごとくtwitterや掲示板等においても大きな話題として拡がり、「作画崩壊を認めた」などという書き込みが飛び交う事態となった。とはいえ、実際の放送をチェックした視聴者の作画の良否に対する意見はまちまちであり、その判断は人それぞれの感性に委ねられることになりそうである。

 果たして、これは本当に作画崩壊に業を煮やしたことによる次善策なのか? あるいは、新手の話題作りなのか? その真偽は現在のところ不明だが、ここまで公表されるとDVDでどのように絵柄が変化するのか、やはり気にはなる。

 とりあえず今できるのは、放送中のアニメと現在3巻まで出ている原作マンガをチェックするくらいか? 追記の「どのようなクオリティーになるか?」という楽しみ方に、あえてのっかって準備するのもアリだろう。

文=キビタキビオ