1ヵ月に50本以上! 前田敦子の映画漬け生活は役に立つのか?

映画

2013/5/10

『映画秘宝』6月号(洋泉社)

『映画秘宝』6月号(洋泉社)

 最近、映画をたくさん観ていることで話題になっている元AKB48の前田敦子。『映画秘宝』6月号(洋泉社)では、所有する映画DVDが1000枚にも上ることを明かし、今年1月だけでも「57本観に行きました」と発言。同じく現在発売中の『Switch』(スイッチパブリッシング)でも、昨年12月から今年3月までのあいだに観たという約120本の映画リストが掲載されている。

 もちろん、これだけハードに映画を観まくる理由には、女優として勉強したい気持ちも大きいのだろう。だが、ネット上では「古い映画を漁る姿勢は評価する」という意見の一方で「女優でなくて映画評論家を目指してんのかな」と不安なファンもいるようだ。

 それでは、映画を観ると、どのように役立つことがあるのだろうか。まずは、あっちゃんにとっては映画狂の大先輩・映画評論家の淀川長治の人生を紐解いてみよう。

 評伝『映画少年・淀川長治』(荒井 魏/岩波書店)によれば、彼が映画にハマったのは4歳のときのこと。7歳にしてひとりで映画館に通っては、週に9本もの映画を観ていたそう。そんな淀川にとって、映画の面白さを“本当の意味でわかり始めた”のは、8歳のときに観たイタリア映画『火』。この作品で「一生懸命やる」ということの意味を知ったという。“一生懸命やるということは、ダラダラ時間をかけてすることではなく、火が激しく一瞬燃え上がる瞬間のように、心を集中させて、情熱を傾けることだ”──このことを知っていたから、晩年になるまでいろんなことに熱中し、さまざまな芸術を楽しむゆとりをもったのではないかというのだ。

 また、中学時代には映画を通して学校の人気者になったそうだが、勉強はほとんどがいまひとつ。ただし、英語は得意で、それはアメリカのスターに宛ててファンレターを書くために力を入れて勉強していたからなのだとか。あっちゃんも「大好き!」と公言するハリウッド俳優ジョゼフ・ゴードン=レヴィットの『LOOPER/ルーパー』を英語がわからないにも関わらずアメリカで鑑賞したというが、このような姿勢はきっと国際的な女優になるために役立ちそうだ。

 さらに、文学界のシネマディクトとして有名な池波正太郎の言葉も拾ってみよう。『映画を見ると得をする』(新潮社)のなかで池波は、「映画は何のために観るか」ということの理由について、「人間というのは、一人について人生は一つしかないから……」と書いている。「もっと多くのさまざまな人生を知りたい……そういう本能的な欲求が人間にはある」というのだ。映画を観ることで世界は広がり、人間の幅ができる。そして「人間が灰汁ぬけてくる」。いわば洗練されるというわけだ。

 得をするのはあっちゃんだけではない。池波いわく、映画狂になれば「他のつまらんことに無駄に費やす時間がなくなる」。「パチンコだの、麻雀だの、女遊びだの」にハマることもないだろう、というのだ。ということは、このまま映画に夢中でいてくれれば、あっちゃんも合コンなどに行く暇もないはず。ファンにとっても大変ありがたい話ではないか。

 前出の淀川長治は、「僕は死のうと思ってもね、来週また来週といい映画がくるから、それを見たいと思うから、死ねないんです」と話していたという。映画は人生の勉強であり、人間を洗練させるもの。さらには大きな生き甲斐にもなる──。そう考えると、あっちゃんの映画漬けの日々は、女優としてだけではなく、生き方さえ輝かせることになるのかもしれない。