特集番外編2 2008年3月号
公開日:2008/2/10
「よしながふみは好きですか?」
編集M.I.
BL作品『月とサンダル』でデビューし、テレビドラマ化もされた『西洋骨董洋菓子店』のほか、『フラワー・オブ・ライフ』『愛すべき娘』等、抜群の構成力で一作ごとに読者を広げているよしながふみさん。彼女の近年の話題作『大奥』の3巻が年末に刊行とのことで、今回特集を組みました。萩尾望都さん、三浦しをんさんの対談、よしなが作品のファンである作家さんの寄稿・インタビュー等々、盛りだくさんです。この企画で、ダ・ヴィンチ読者の方にも、好きなよしなが作品ベスト3について、アンケートをとりました。600名以上の方にご回答いただき、以下のような結果に。
第1位 | 西洋骨董洋菓子店 | 367票 |
第2位 | 大奥 | 295票 |
第3位 | フラワー・オブ・ライフ | 219票 |
第4位 | 愛がなくても喰ってゆけます。 | 159票 |
第5位 | きのう何食べた? | 130票 |
第6位 | 愛すべき娘たち | 114票 |
第7位 | ジェラールとジャック | 54票 |
第8位 | 1限めはやる気の民法 | 36票 |
第9位 | 月とサンダル | 34票 |
第10位 | 執事の分際 | 33票 |
次点 | こどもの体温 | 30票 |
本誌で掲載できなかった読者コメントをこちらに掲載させていただきます。ご協力ありがとうございました。
◆西洋骨董洋菓子店
●まずは出てくるスイーツがみな美味しそうで!!メイン4人以外にも脇役がしっかり個性がある上に、度々登場してきてストーリーの全体の流れを形作っているところが好きです(27歳・会社員)
●登場人物各々が実在の人物の様にしっかりとした過去を持ち、苦悩している所が描かれているところ。常に時間が流れて「そのまま」ではおわらないところ。料理のレシピが入るところって書くとよしながさんの作品全てなんですが‥。あからさまな性描写が無くほのかなBLテイストなところが良いです。個人的には橘が好みなんですが、心情的には小野に同調してしまいます。よしながさんは小野を幸せにするつもりはなさそうですが、いつか心に平安がくるのを祈ります(41歳・専業主婦)
●伏線がしっかりしていて、洋菓子等の細かいデティールもしっかりしているところ。魅力的な登場人物達が交わす、セリフの面白さ。最後の最後に感動させるが、お話としては淡々と終わるところ(40歳・会社員)
●大学時代、この本を読む度に近くのケーキ屋さんに財布を持って車を走らせたことを思い出す。思えば、この本がきっかけで、新しくできたケーキ屋さんに必ずチェックを入れるようになってしまった。紙面から、匂いたつようなケーキ、それを食べているキャラの、恍惚とした表情が、恐ろしく訴えてくる。そして、必ず小さな傷を抱えているキャラの人間クサさがスパイスみたいに効いている(29歳・フリーター)
◆大奥
●「男とは何か」を考えさせられるから(19歳・大学生)
●男と女が入れ替わってしまった大奥の話、男と女に焦点をあててはいるけれど、性差ではなく一人の人として、それぞれのキャラクターが、きちんと意志を持ち生きている。エロい女の将軍って、ちょっとかっこいい!(37歳・会社員)
●ストーリーの巧みさはもちろん、女性将軍ただひとりに、たくさんの美しい男がかしずく……という、逆ハーレムの設定だけで妄想全開(笑)。「自分が将軍だったら誰と誰を大奥に入れる?」なんて会話を女友達としたことも(37歳・会社員)
●「独特の視点」です。大奥にいるのが女性ではなく、男性だったら…?その設定だけでもとても面白いのに、そこに更に、人間ドラマと言うか…暖かかったり、悲しかったり、「そう来たか!」と驚かされたり、とページをめくるのが本当に楽しい作品だと思います!!(26歳・主婦パート)
◆フラワー・オブ・ライフ
●微妙な年頃の男女の色々な感情を丁寧に、かつ分かりやすく、それでて「よしなが節」がちゃんと残っているところ。笑いあり、ほのぼのあり、せつなさあり、とにかく好きです(33歳・会社員)
●十代の若者の瑞々しい生命力と、それゆえの残酷さをジャンルを越え見事に描ききっているところ。文学の域にまで達していながらも、いつもながらのギャグのセンスも冴えているから。(31歳・専業主婦)
●一般的なオタク男の有様をいろんな意味で覆し、あきれるほど使いまわされている白血病の少年設定を見事に裏切った、素晴らしい作品と思います。うまくいかないいろんなことも含めて、すっごく普通な高校生な話しで、すごく好き(39歳・会社員)
●「隠し事は嫌いだから」と自分の病気のことをしゃべってしまった春太郎が「黙っていること」を選択できるようになるまでの1年。1つの作品の中でこれだけ爆笑して号泣した漫画は初めてでした。余韻をふんだんに盛り込んだ静かなラストが印象的です(41歳・主婦パート)
◆愛がなくても喰ってゆけます。
●私も美味しいものが大好きで、食事に行くと、「このふるふるしたところが最高〜!」とか、「外側ぱりっとしてて中からじゅるっと出てくる〜!」とか口に出しながら美味しいもの食べてます。同じ感覚でご飯食べてる漫画があったのに感動しました(32歳・会社員)
●美味しそう!(笑) 漫画でも食の魅力は引き出せるんだという事を知った。人生美味礼賛、と思わせてくれる作品(19歳・大学生)
●いくつか紹介されたお店に行ってみましたが、どれも絶品!グルメガイドとして非常に優秀です(28歳・フリーター)
●飽くなき「食」へのこだわり。読む旅に、おいしいものが食べたくなります。オヤジが心の中に持つという「マイすし屋」……わたしもいつか、持ちたいです(27歳・会社員)
◆きのう何食べた?
●料理が好きなので、ついつい作りたくなってしまう。どの作品もそうですが、人物の性格や設定が絶妙(31歳・フリーター)
●日常的なのにちょっと普通じゃない二人の生活がとても可愛くて好きです。ご飯もとっても美味しそう!(18歳・短大生)
●料理レシピとしても使えるし、なにより筧先生とケンジさんの関係がイイ!ケンジさんかわいすぎ!「どうしてオレだけ一緒に住んでる人の話を誰にもしちゃあいけないの・・?」など、心の機微を描くのが上手いですよね。全体がコメディー風でも、どこかほろりとしたり、しんみりしたりするエピソードがほどよく挿入されていて、ゆったりと浸ることができます(32歳・会社員)
●最近はまった。ゲイの人の同居ものにもかかわらず、ベットシーンはおろか、キスシーンもないってどうゆうこと? ひたすら、ご飯の話をしている。そんな不思議なギャップに惹かれた(27歳・公務員)
◆愛すべき娘たち
●ひとつのお話に自分の人生と重なるところがありました。読んだ後、救われるというか、気持ちが楽になったことを覚えています。これは大人の女性にはグっとくると思います(30・会社員)
●現代に生きる女性のどこかアンバランスで不安定な心情を描ききっているところ(29歳・会社員)
●深い情愛がベタベタせず、また大袈裟過ぎず、なおかつ細やかに描かれているのが魅力です。どのエピソードも短編として読みごたえがありながら、全てがリンクしてゆくからこそ、最後の”母”の笑みが最高に印象深く、美しい(39歳・フリーランス)
●登場人物が、みなとてもリアルであるところ。「リアル」とか「等身大」などという言葉は好きではありませんが、そう言うほかないくらい、すべての人が現実的です(26歳・公務員)
◆ジェラールとジャック
●生まれて初めて読んだBL作品がこれでした。衝撃的で今でも忘れられません。多分この作品がなければずっとBLというものに偏見を抱いていたと思います。そのぐらい影響力のある作品でした。性別を越えた人間と人間との愛、おそらくそれは性欲だけではなく、私達が愛としか呼ぶことができないものが描かれていたんだと思います(24歳・大学生)
●主人公のキャラクター設定を物凄く不自然なのにありえるのではと思わせてしまうストーリーが逸品。うっかりフランス革命時代の男ってこんなだったんだな…と思ってしまった(31歳・専業主婦)
●BLなんだけどBLじゃない。敢えて言うならビターラブ、もっと深くて生々しい人間同士のぶつかりあいが魅力。恋人であり主従であり師弟でもある、そんなジェラールとジャックの強い絆に感動。血の繋がらない娘に対する慈父の一面、人間の平等を高らかに信じ謳い上げる激情家の一面……崩れた中年の色気満載のジェラールと思想も体も若木のように伸び盛りのジャック。心身ともに美しく高潔な男と青年が真摯に互いと向き合う愛情の在り方には、人間の尊厳について深く考えさせられる(23歳・フリーター)
◆1限めはやる気の民法
●主人公の二人のキャラクターに加え、他の登場人物も含めた学生生活が、きちんと描かれているところ(22歳・大学生)
●前半の主人公2人の微妙な関係、後半のそれを壊してしまう程の切ない愛情とそれを容認してしまうおかしな感情の起伏がたまらない(39歳・会社員)
●“BL”のノリでありながら、登場人物が成長し立場や力関係が変わっていくのが非常に新鮮で、脇役である二人も含めて、とてもリアルな問題がたくさん含まれていた(22歳・大学生)
◆月とサンダル
●全体的に冷静な雰囲気が漂っているのに、情熱的だった(22歳・大学生)
●友人に勧められて、初めて読んだ作品です。間の取り方がとにかく凄いなー!と。ファンになったきっかけの1冊です(40歳・会社員) ●もちろん主人公二人のお話や先生のお話も魅力的だけど、この作品でいちばん好きなところはなぜか最後のジャイアンと妹の会話です(49歳・専業主婦)
●登場人物が高校生から社会人になっていきますが、登場人物がそれぞれ年をとって成長して考え方もちょっとずつ変わっていくのがとても自然で納得できるから。よしながふみさんは、キャラクターに年をとらせていくことを、とても魅力的にそして納得いくように表現する作家さんだと思います(37歳・専業主婦)
◆執事の分際
●慇懃無礼な執事と、お馬鹿でプライドが高く、でも愛すべきご主人。悪口(?)の言い合いにも愛を感じます。一番初めに出会えた作品でした(46歳・主婦パート)
●執事の坊ちゃまに対する深い愛情が泣ける。旦那様が息子のように愛していたとのせりふに対して、自分も愛していました。父親の様にではなくと。普段感情を押し殺していた彼が、自分の心の中を表にだした切ないシーンは圧巻である(36歳・会社員)
●切ない!とにかく切ない!この作品を読んで心から涙しました(33歳・会社員)