ヒャダイン連載 【第5回】就職活動を忘れていた自分が、『はたらきたい。』を読んでみた

更新日:2013/8/8

変幻自在のネオネオポップアイコン ヒャダイン(前山田健一)による気ままな読書感想文!

 も。春ですね。ポカポカですね。花粉も終わりとても過ごしやすい時期になりました。新しいことを始める季節ですが、大学3年生の皆さんは就職活動を本格的にスタートさせた頃合いじゃないでしょうか。僕は情けないことに、就職活動というものが大学3年生の4月からスタートさせる、という事実を大学在学中に知りませんでした。なぜなら大学にお友達が一人しかいなくて、情報源が彼オンリーだったから。レンタルビデオ店でバイトに明け暮れていた大学二年生。新学期になってもあまり大学には行かずふらふらしてたある日、プラリと出たゼミで周りが就職活動を積極的にやっていることを知りました。その時のショックたるや!! 大学3年生まで僕は誰かが敷いた線路に綺麗に乗って、留年も浪人もせず、言ってみればトントン拍子で来てたわけなんですよ。それなのに、自分の怠惰のせいでスタートダッシュに乗り遅れた! その時の僕は本当に浅はかで、まだまだ取り返しがつく段階だし、まだまだ間に合うのにも関わらず「人生終了」と決めつけてしまいまして、もうどの企業にも採ってもらえない。野垂れ死に確定、くらいまで思い込んでしまったんです。

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テロ翌日から沢山の星条旗やメッセージフラッグがありました。

 そこから「学生時代にしか出来ないこと」というものを考えて海外旅行を決意、2週間ニューヨーク一人旅。たくさんブロードウェイ・ミュージカルをみてエンターテイメントに関して大きな影響を受け、また帰国前日に遭遇してしまった貿易センタービル同時多発テロ事件により一週間日本に帰ることが出来ず、その際に自分の人生に真剣に向き合い、音楽を志すことになりました。詳しいことは色んなメディアで喋りまくってるので詳細を知りたい方は何かしらの取材をネットで御覧ください。

リクルートスーツ。なぜあれはみんなおんなじなんでしょう。

就活スタイルって少し男装女子に見える

 さて、そんなふうに就職活動をしなかった自分ですが、常々疑問に思っていたことがありまして。そう。リクルートスーツ。特に女子なんですがなぜあれはみんなおんなじなんでしょう。同じような髪型、同じような服装。そして同じような挨拶に入社動機。ルールを重んじる我々日本人の真面目気質が出てて良い、とも言えるかもしれませんが、にしても少し不気味。そう思っていたら糸井重里さんがすでに「ほぼ日」において『面接試験の傾向と対策のつまらなさ』というタイトルで疑問を投げかけてられました。それに対するレスポンスが多かったとのことで「自分もそう思っていた」という人もいれば「けど現実は違うよ」「外野からの理想論みたいなものを聞きたくない」など色々な意見が飛び交ったと。それを受け、糸井重里さんが著名人と「はたらくこと」をテーマに対談をし、就職することについての色々な価値観を通して「就職のテクニック」ではなく「やわらかな覚悟」を教えてくれるほぼ日の就職論をまとめ、一冊の本にしたものの新装版を読んでみました。

『はたらきたい。』

ほぼ日刊イトイ新聞/東京糸井重里事務所

どうやって、会社にはいるか、どうやって就職(転職)するか。 そんなことよりもだれにでも関係のある 「はたらくこと」について、 ふだん就職にやビジネスのことを 語っていることをみかけそうにない人たちも含めて それぞれの立場からそれぞれの口調で語ってもらった1冊です。 だれにでも関係ある「はたらくこと」の本になりました。

 まず、内容うんぬんの前に、装丁や構成が美しい! 読みやすい。さすが日本一のコピーライターさん。伝わりやすい構造となっています。対談形式で文字が並ぶ下に、色々な著名人による補足的な名言が織り込まれていて内容に彩りを添えていたり、新装版の追加のことばたちもとてもスっと頭に入ってくる構成。そこらへんにこだわるあたりもやはり「魅せるプロ」だなと思いました。

  さて、対談内容なのですが、人材採用のプロから就職活動経験のない人から、大御所ミュージシャンYAZAWAまでホント色とりどり。各人言っていることが相反している部分もあったりしますが、そんなことは当たり前。何の問題もない。