コミュ力もアップ!? 話題の「ビブリオバトル」のおもしろさって?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 みなさんは本を手に取るとき、何を参考にしますか? お気に入りの作家だから。表紙やあらすじに惹かれて。お店のPOPを読んだりネットの評判を見て。友達にすすめられて。本屋大賞やこの○○がすごい! にランクインしていたから。でも、たくさんある本の中で本当に自分に合った、自分が読みたいと思える本に出会うのはなかなか大変なこと。そんなときに役立つのが、今徐々に人気が出てきている「ビブリオバトル」だ。

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 “ビブリオ”とはラテン語で本を意味する接頭辞なので、そのまま訳すと「本を使った戦い」といったところ。でも、本で何をどうやって戦うのか。ますます混乱してしまったり、なんだか難しそうと感じてしまった人もいるかも。そこで、ビブリオバトルの考案者である谷口忠大が書いた『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』(文藝春秋)から、ビブリオバトルのおもしろさやそこで得られる効果、歴史などを紹介していこう。

 まずビブリオバトルとは、簡単に言ってしまえば本を紹介するゲームだ。そして、その中で読んでみたいと思った人が最も多かった本が優勝する。内容もいたってシンプルで、4つの公式ルールさえ守れば誰でもどこでも開催することができるのだ。その公式ルールは「発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる」こと。そして「順番に一人5分間で本を紹介する」。さらに「それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う」。最後は「全ての発表が終了した後に“どの本が一番読みたくなったか?”を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを“チャンプ本”とする」というもの。たったこれだけ。

 そもそも、ビブリオバトルは著者が輪読会の問題を解決しようとして生まれたもの。輪読会とは、1冊の本を全員が順番に読んで毎回代表者が解釈を発表し、その問題点について話し合うというもので、大学の勉強会としては一般的だった。しかし、まずその1冊を選び出すのが難しい。それに、代表者以外は読んでこないことの方が多いし、代表者もうまくまとめきれずにダラダラ話したり、ただレジュメを読み上げるだけになってしまう。これでは、全然意味がない。

 そこで、本が選べないなら本を選ぶこと自体を勉強会にしてしまい、代表者以外は読んでこないという問題は全員を代表者にすることで解決。ダラダラと話して盛り上がらないなら、時間制限を設けてレジュメを禁止にしてしまえばいいということで生まれたのがビブリオバトルだったのだ。大学の勉強会として生まれたものだから堅苦しいのかと思った人もいるだろうが、今では書店のイベントにもなっていたり、なかには小学校でもビブリオバトルを取り入れているところがあるほど。とっても気軽に子どもから大人まで楽しめるのだ。

 ただ、これを見て面白そうだなと思った人でも、やっぱり人前で発表するのは勇気がいるし、自分のおすすめする本を気に入ってもらえなかったらどうしよう。と弱気になって、なかなか参加できないという人もいるだろう。しかし、ビブリオバトルをやることによって得られるものは思いのほかたくさんある。人前で5分間話さなければならないのだから、スピーチ能力や本の要点をまとめる力はもちろん、いろんな人と本の内容を共有できたり、素敵な本と巡り会えて読書の習慣がついたりする。

  また、ただの書評ではなくあえてバトル形式にすることで、それまでは「自分はこの本が好き!」というだけの思いで語っていたことが、自分が好きなのはもちろん「その場にいるみんなも読みたいと思う本だろうか?」。どうやったら読みたいと思ってくれるかということまで考えるようになる。

 それに、ビブリオバトルはその本を読んで自分がどう思ったかやどうしてその本を選んだのか。そういったことを自分の言葉で話すので、その人の人となりを知ることもできる。だから、今まで話したこともなかったクラスメイトや職場の人と話すきっかけになるし、趣味や考え方が似ていて意気投合することだってあるかも。

 今では、ほぼ毎日のように日本中の図書館や大学、書店、ブックカフェで開催されているビブリオバトル。みなさんも、ぜひ一度参加してみては?