“残業代 出たら年収 一千万” 川柳本ブームがキテる!?

暮らし

公開日:2013/5/24

 少し前から、サブカル本のなかで「あるある本」という新たなジャンルが登場し、さまざまな本が登場している。次なるブームとなりそうなのが「川柳」。そういえば小学校の授業で、川柳を作った経験がある。あの頃は、「俳諧から派生して~」などという小難しい歴史を覚えなければならず、とりあえず5・7・5に収めることで精いっぱいだったが、社会に出て世の中の仕組みがわかれば、シャレの利いた言葉遊びは実におもしろい。

 川柳本ブームの先駆けとなったのは、昨年9月に発売された『シルバー川柳 誕生日 ローソク吹いて 立ちくらみ』(社団法人全国有料老人ホーム協会、ポプラ社編集部/ポプラ社)だろうか。タイトルの自虐的な川柳が印象的なこちらの1冊は、瞬く間に続編が登場。それが『シルバー川柳2 「アーンして」 むかしラブラブ いま介護』だ。ほかにも、『女子会川柳 「調子どう?」 あんたが聞くまで 絶好調』(シティリビング編集部/ポプラ社)など、今年になってからもどんどん発売されている。

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 今回ご紹介するのは、『ブラック企業川柳 残業代 出たら年収 一千万』(ブラック企業研究会:編、市橋俊介:イラスト/日本文芸社)。同書は、若年労働者を過酷な条件でこき使い、使い捨てるような「ブラック企業」における職場の悲哀をうたった川柳100作を掲載している。どうにもならない会社への怒りがある人なら、思わず頷いてしまう作品ばかりだ。一例をご紹介しよう。

いい社員 使い勝手が いい社員
病める人 しばらくすると 辞める人
給料を 時給計算 パート以下

 う~ん、自分にあてはまるものもチラホラ…。もしかして、我が社も結構ブラック(笑)? そんな話はさておき、川柳には今をときめくAKBを詠んだものも。

アホ! カス! ボケ! これが我が社の AKB

 関西弁で日々罵られているのだろうか。恐ろしい会社だ。AKBネタといえば、『婚活川柳』(パートナーエージェント/主婦の友社)にも登場している。

AKB あたし・婚活・下手 の略

 流行を取り入れるのも、川柳のおもしろみ。この世にはいろんなAKBがありそうだ。紹介があとになってしまったが、こちらの書籍は結婚相手紹介サービス・パートナーエージェントが2009年から一般公募している婚活川柳を書籍化したもの。婚活の悲哀を詠んだ句や発破をかけてくれる句など、彼らがどんな婚活をしているのか想像して笑ってしまうものばかりだ。親から子への想いを詠んだ句もあり、独身にとっては身につまされる想いだ。こちらも少しだけ、内容をご紹介したい。

アマゾンに 売っててほしい 玉の輿
美しく 加齢(華麗)な嫁は きっといる
とつがない 娘気遣かい 消すドラマ

 川柳はあるある的な要素が入ったものも多く、誰でも共感しやすいのがブームになっている理由のひとつだろう。また、人が指摘しづらいことでも自虐に走っているからおもしろいし、何より読んでいて明るい気分になれる。では、僭越ながら私も…。

ライターは イシがなくなりゃ 火がつかず

お後がよろしいようで。

文=廣野順子(Office Ti+)