ゴキブリは淡白でクセのない味! 昆虫食の時代がくる?

食・料理

2013/5/28

 国際連合食糧農業機関(FAO)が、人口増加に伴う食糧問題を解決する上で、昆虫を食べることが有望との報告書を発表した。地球上には食べられる昆虫が1900種以上存在し、東南アジアやアフリカの国々を中心に日常的に食べられていて、日本でもイナゴやザザムシ、蜂の子などが食用となっている。

 そのイナゴ、同じ重さの牛と同量のタンパク質を含み、しかも育てるのに必要な餌の量は牛に比べて1/4という省エネ食材だという。しかもFAOの担当者によると「国民の肥満が問題になっている欧米諸国にとって、栄養のバランスが取れた昆虫は健康食としても活用が期待される」とのことで、昆虫食はなんだかイイことずくめのようだ。そこで『昆虫食入門』(内山昭一/平凡社新書)から、昆虫食にはどんな歴史があり、何が食べられているのか、そしてその未来を探ってみることにしよう。

 昆虫は今から3億6000万~4億1000万年前のデボン紀に誕生したといわれ、ジュラ紀(1億4000万~2億1000万年前)に恐竜に追われて夜行性を余儀なくされた人類の祖先である原始哺乳類にとってかけがえのない食料だったという。人類が魚を食べ始めたのは500万年前からということから考えると、「虫食」こそが人類の昔からの食性であると筆者は断言している。

 そして虫は「美味しい」のだという。セミの成虫は揚げるとサクサクした食感とナッツの香り、鶏肉に似たさっぱりとした味わいで、幼虫も美味だという。そして誰にも忌み嫌われるゴキブリだが、イギリスを始め世界各地で食べられていた歴史があり、淡白でクセのない味なんだそうだ。またスズメバチは幼虫が蛹になる直前が最も美味しく、その味はフグの白子以上と言われ、カミキリムシの幼虫の脂身の甘さはマグロのトロ並み、カメムシはバターピーナッツ味で、トノサマバッタにはエビやカニに含まれる「キチン質」があり、タガメは洋ナシのようなフルーティーな味わいだという。そんな虫の中でも人口増加による食糧問題の解決の切り札として研究中というのがハエだ。タンパク質の大量生産に有効というハエ、その理由は成長が早いことと、育てるための餌が生ゴミ、動物の死体、腐肉、排泄物まで利用できるので、廃棄物処理、物質循環、環境保全にも役立つという「エコ食材」なのだという。

 しかしいくら栄養があって美味しいと言われても「見た目が気持ち悪い」がネックとなるのが昆虫食の問題点だろう。それは、現代人が美味しさの拠り所としているのが「情報」であることが問題で、そこに「虫が美味しい」という情報がないことが「気持ち悪い」と思ってしまう原因だという。例えば海に棲むエビ、カニ、シャコ、ナマコなどは「美味しい」ということを知っているから食べられるのだ。もしあんな奇っ怪な形の生き物が、近所の木の上や家の台所などで大量にワサワサと動いていたら、食べようと思うだろうか? そうした生理的なことが、昆虫食を遠ざける原因となっているのだ。

 FAOの目的は「人々が健全で活発な生活を送るために十分な量・質の食料への定期的アクセスを確保し、すべての人々の食料安全保障を達成する」ことにあるという。現在、地球の人口は71億人を超え、2050年には90億人、今世紀末には100億人を突破すると予測されているが、今の農業や貿易のシステムで将来も十分な量と質の食料を定期的に手に入れられるとは考えにくい。やはり昆虫食が人類を救うということは、ほぼ間違いないと言っていいだろう。

 ちなみに本書の冒頭には、カラーで虫料理の写真が掲載されているが、「美味しい」と頭で理解しても、虫のフォルムって、やっぱりハードル高いな……。

文=成田全(ナリタタモツ)