「童貞捨てろ」「僕はキモい」…あの洋楽の歌詞はこんな意味だった!

音楽

2013/6/4

 英語はできないけれど、洋楽の歌にぐっときた……そんな経験が誰しも一度はあるはず。なかには、歌詞の意味はわからないのに、なぜか慰められたり、元気づけられるなど、“言葉の壁”を越えた気分になることもある。が、しかし、「なんとなくこんな感じだろう」と思い込んでいる歌の歌詞が、じつはとんでもないモノだった! ということもあるのだ。

 先月発売された町山智浩の『本当はこんな歌』(アスキー・メディアワークス)は、数々の洋楽の歌詞にまつわるインタビュー、伝記などを通して知った“本当の意味”を踏まえ歌詞を訳し直し、解説した1冊。ここには「そんな歌だったのかよ!」と衝撃を覚える歌詞がたくさん登場するのだ。

 たとえば、スティングが在籍したバンド、ポリスの代表曲のひとつ『見つめていたい』。1984年のグラミー賞では最優秀楽曲賞も受賞したミディアムテンポの楽曲で、英検3級・中学レベルの英語力で聴くと、恋人に「どんなときも君を見つめているよ」と囁く甘いラブソングのように思える。だが本書によれば、歌詞に何度も登場する「watching」の“watch”には、「“見つめる”だけでなく“監視する”というニュアンスがある」という。さらに、「歌詞の最後のほうで、“僕”はすでに“君”に捨てられていたことが判明する」そうで、すなわち、この歌の中の男は「別れた相手を今も監視し続けるストーカー」というわけだ。カラオケでは、女性に向けて『見つめていたい』を熱唱する中年男性も少なくないと思うが、あまりに恐ろしいので今後は要注意である。ちなみに、作者のスティングもこの歌をラブソングだと勘違いする人が多いことを「面白がっている」そうだ。

 また、日本にも根強いファンが多い大御所バンド、エアロスミスの『ウォーク・ディス・ウェイ』も、意味を知ると熱唱するのがはばかられる。この曲、「歌詞の最初に「君の親父さん」の説教がある」というのだが、その内容はなんと「とっとと童貞捨てろ」! 自慰行為に精を出す少年に対し、親父が脱童貞を勧めるのである。歌詞の内容としては、作者であるスティーブン・タイラーが「高校時代のエッチな体験を徒然なるままに回想している」というが、溢れるリビドーを発散したいときにはうってつけの1曲……かもしれない!?

 さらに“セックス、ドラッグ、ロックンロール”という常套句のもととなった、イアン・デューリーの楽曲『セックス&ドラッグズ&ロック&ロール』の歌詞は、想像以上に奥深い。なんとなくイメージではドラッグを推奨しているように感じてしまうが、取材した町山にデューリーは「誤解されているけど、これはドラッグを勧める歌じゃない」と語ったという。そう、この歌は「型にはまらない自分なりの生き方をしてみなよ」という“アドバイス”の歌なのだ。

 そもそもデューリーは美術教師を辞めてロックの世界に飛び込んだのだが、そこには幼い頃に病気を患い“片脚が萎えてしまった”ことが関係しているという。当時のイギリスは障害者に対する差別がひどく、社会から障害者を隔離しようとした。それでも「必死に真面目な市民でいようとした」デューリー。だが、「なんで、みんな同じじゃなきゃいけないんだ? 体も見た目も生き方も違っていいじゃないか!」と爆発。パンクロッカーとなった彼は、「金のために周りに合わせるな、それで損するとしても自由を選べ」と伝えたのだ。軽快に歌い上げられた印象の『セックス&ドラッグズ&ロック&ロール』だが、強いメッセージソングなのである。

 このほかにも、ライブでは何万人もの観客が合唱するレディオヘッドの『クリープ』のサビが「でも、僕はキモい」だったりなど、さまざまな驚きと発見が詰まった本書。洋楽ファンはもちろん、最近の日本のポップソングの歌詞に物足りなさを感じている人も、大いに楽しめるのではないだろうか。