パパはダース・ヴェイダー! 悲喜こもごもの「暗黒面子育て」

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 1977年に公開された『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(日本では1978年公開)。銀河の彼方で繰り広げられる、帝国軍や反乱軍、そしてジェダイたちの戦いの物語は人気を呼び、シリーズ化して多くのファンやマニアを生んだ。そして6作目となる『エピソード3/シスの復讐』が2005年に公開され、映画は完結。その時点で続編の制作はないとアナウンスされたが、「スター・ウォーズ」が全9部の物語であることはシリーズの生みの親であるジョージ・ルーカス監督が公言していたこともあり、ファンは続編の制作に期待を寄せていた。

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 そして2012年末、ついに続編となる『エピソード7』の制作が決定。メガホンを取るのは『アルマゲドン』『スター・トレック』などを手掛けたJ.J.エイブラムス監督で、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)、レイア・オーガナ(キャリー・フィッシャー)、ハン・ソロ(ハリソン・フォード)という旧三部作のオリジナルキャストたちも出演するという。『エピソード6/ジェダイの帰還』以降の世界を描く作品は2015年に公開予定で、もちろん『エピソード9』までの制作も予定されている。また映画の世界を飛び出す映像で楽しめる、3Dアトラクション「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」 が5月から東京ディズニーランドで始まり、オープン時には大勢の観客が詰めかけた。

 そのスター・ウォーズ・シリーズの中心人物であり、「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」でも強大なフォースを駆使している、“シスの暗黒卿”として有名なダース・ヴェイダーが、なんともユーモラスな絵本の主人公としても活躍していることをご存知だろうか?

 アナキン・スカイウォーカーことダース・ヴェイダーが、ルークとレイアという双子の兄妹のお父さんであることは、皆さんご承知のことと思う。もしその暗黒卿が、父親として2人の子どもを育てていたら……というのが、『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』『ダース・ヴェイダーとプリンセス・レイア』(ジェフリー・ブラウン:著 富永晶子:訳/辰巳出版)だ。もちろんルーカスフィルム公認の絵本だ。

 1作目の『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』では、長男のルークにフォースを教え、ライトセーバーで野球(当然、球はまっぷたつ!)をする父ダース・ヴェイダー。しかし「ともに銀河を支配するのだ」という父に、ルークは「そしたらおやつくれる?」という、4才の男の子ならではのユーモラスな会話が展開する。2作目の『ダース・ヴェイダーとプリンセス・レイア』では、へそ出しルックで出かけようとする年頃の長女レイアに怒り、付き合っているという恋人ハン・ソロをなんとか娘から引き離そうとするなんとも心配症なお父さんであるなど、銀河最強のジェダイも、子どもたちの前では形無しなのだ。

 もちろん映画の有名シーンも数多く登場する。『エピソード6/ジェダイの帰還』で、皇帝の前で戦うダース・ヴェイダーとルークのシーンは、セリフも含めてパロディ化されていたり、R2-D2のホログラム映像で長電話をするレイアや、ハン・ソロが炭素冷凍されてしまった本当の理由(?)が明かされるなど、映画を見たことのある人なら思わずニヤリとしてしまうシーンばかりだ。そして子育てに奮闘する涙ぐましいヴェイダー卿の姿に、親世代は爆笑しつつ、子どもが成長するにしたがってポロッと口にするひとことに涙モノな内容となっている。

 親が子を心配する気持ち……それは銀河全体を支配する「フォース」のようなものなのだ!

文=成田全(ナリタタモツ)