ホリエモンの新著、制作過程をすべて公開! ミリオンセラーを狙う

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更新日:2017/3/2

 6月4日、ニコニコ生放送で、ホリエモンこと堀江貴文の新しい単行本を作るための編集会議が放送された。その名も「制作過程、すべて見せます! ―堀江貴文氏単行本プロジェクト・ニコ生放送直前座談会」。原稿をクリエイターと読者をつなぐサイト「cakes」で連載し、それを書籍化し、ミリオンセラーをつくろうという前代未聞の出版プロジェクトだ。

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 本来であれば、読み手にとっては、ブラックボックスである「編集会議」。その模様をオープンにするというなんとも大胆な挑戦だ。編集者が決めているのか著者自身が決めているのかブラックボックスとなっている「タイトル決め」などももちろんこの編集会議で行われる予定だ。

 そして、このプロジェクトの中核となるのが、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』編集者・柿内芳文、『もしドラ』編集者・加藤貞顕(ピースオブケイク代表取締役CEO)、『16歳の教科書』ライター・古賀史健、ダイヤモンド社書籍編集局局長・今泉憲志、『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』を手掛けた、佐渡島庸平(株式会社コルク代表)という錚々たるメンバーである。堀江貴文、柿内、佐渡島、古賀、加藤で行われた第1回の編集会議の様子をレポートしていこう。

 そもそも本のミリオンセラーがどれだけ難しいかだが、野球の世界でたとえると、1万部がツーベースヒット、10万部がホームラン、ミリオンセラーは奇跡だそう。100万部となると、隣のおばちゃんが知っているというレベルだ。

 そこに至るにはまず、ホリエモン=トリックスター的なイメージの払拭が最初の課題という。「堀江貴文」という名前だけで買わない人も多いのではと。だが、そこを逆手にとり、「アンチとファンはいるが真ん中がいないという、ベクトルが両方に振り切れているのがチャンス」という。「本を作るにあたって3つ星評価の本は作りたくない、5つ星か1つ星を作りたい」のが編集者の考えだ。

 すでに48冊もの著書を出している堀江氏だが、タイトルは一見、ある種雑で、ラクして儲けるようなイメージのものが多い。年配の人が読もうという気を起こさない、誤解されやすいものだが、内容はその逆で、「努力家で、真面目な人ということが伝わる」「すごいストレートで本質的なメッセージは10年前と今とで一貫している。今の日本に有効なメッセージをいっている。だからこそ、これ1冊読めばいいんですというものを作りたい」というのが編集者たちの意見だ。堀江氏の考えとしては、「世の中の前向きな人たちの足をひっぱらない、良いと思ったことはすぐにやる、やれるのにやれないことが良くない、新しい技術が実現できる世の中の流れをつくる、人生は有限なのだからまっとうすべき」というようなことを伝え、100万部売れた時に世の中が変わっているような本にしたいという。

 今回話の肝となった「プロモーション方法」だが、100万部売ろうとすると、地方のリアル書店でも売れないといけない。リアル書店よりアマゾンでの売り上げ比率が高く、都市型書籍であるノンフィクションやビジネス本といった類の堀江氏の本だからこそ、そこが大きな課題となる。

 そこで、うまれた案が「どぶ板2.0」。

 全都道府県100件以上の書店をまわることを目標としたどぶ板的営業だ。“全国キャラバン隊”のように、車をタイトルでラッピングし、あわよくば“痛車”で営業する案だ。たとえば、書店員さん限定で、Twitterでリクエストをもらったところを回り、それをニコ生中継してもいいと。人が集まれば書店にとっても利点がある。
今回のプロジェクトに関しても、どこかしら「過剰さ」が必要。「うわっそこまでやるの? そんなことまでやらなくていいのに」と、一般の人も「なんかひとこと言わせろ」という流れをつくる必要があると。そして、プロモーション自体を選挙運動ととらえ、活動自体をひとつのメッセージにするという。そのためには、もちろん地方の人にも通用する内容にしなければならないということだ。

 タイトルに関しては、かつてミリオンセラーを出した本を例に、読まなくてもタイトルからある程度内容が想像でき、詳しく読みたいから買うといった流れを作れるもの、複数の人が共有できるような「フレーズ」を作ることが大事とのこと。また、大ヒットしたときに「第2弾が出せるようなタイトル」ということを視野に入れている。

 終盤は、電子書籍に話が及び、最終的な目標は、3割は電子書籍で売ることを前提にリアル書店とうまく連携していきたいという。その他、SNSの活用、Kindleもそうだが、それとは分けてiPhone、iPad、Android版のアプリにも拘り、今後の出版のあり方の先駆けとなる流れを作りたいという。

 出所後第一作になるであろう堀江氏の著書は、10月の発売を目標に進行する予定だ。10月29日が堀江氏の誕生日、11月5日に仮釈放が終了することから、その付近で大きな動きがありそうだ。堀江氏らしく「年末のニュース」や「流行語大賞」も意識していた。

 次回の編集会議は、具体的な中身と取材に触れ、6月中旬放送予定とのこと。会議での内容がどこまで実現されるかはわからないが、これからの動きが楽しみだ。

文=中川寛子