デビュー作で上半期1位。男性マンガに新しいスターが誕生!

マンガ

公開日:2013/6/7

 雑誌『ダ・ヴィンチ』恒例、その年もっとも面白かった本を決めるBOOK OF THE YEAR(※)。同誌7月号で2013年上半期のランキングが発表されるなか、男性マンガ部門に、新しいスターが誕生した! 佐野菜見のデビュー単行本『坂本ですが?』が、1巻にしていきなり第1位を獲得したのだ。これを筆頭に、昨年とはがらりと顔ぶれの変わった作品ばかりがランクイン。2位『暗殺教室』、3位『テラフォーマーズ』と超新星が並んだ。

 『坂本ですが?』は男子高校生のスタイリッシュな言動に笑いを見出すギャグマンガ。高校入学早々、学校中の注目を集める坂本。クール、いやクーレストな彼にかかれば日直もスタイリッシュ。反復横跳びは秘技「レペティションサイドステップ」へ、パシリは「おもてなし」へと変貌する。「イケメンだけれど、とても奇妙な高校生・坂本から目が離せません!」(大谷佳奈子)、「クチコミがクチコミを呼び、入荷してもすぐに売り切れ!」(宮脇書店佐賀本店・さI)などと熱いコメントが続いた。

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 『暗殺教室』は、地球を守るために担任として赴任してきた奇妙な異星人“せんせー”を暗殺しなければならなくなった、椚ヶ丘中学3年E組の物語。「ダークで不穏な設定と思いきや、ハートフルな学園&教育モノ。とにかくユニークで素晴らしい。殺せんせーの、生徒を信じ正論を振りかざさない教育もアイデアが詰まっている。平成最高レベルの少年マンガの大発明」(平山ゆりの)と絶賛されている。

 『テラフォーマーズ』はゴキブリVS改造人間という新型戦闘ストーリー。「“売れた”というより“もっと売りたい”コミック。在庫が足りていない。こんなに奇想天外で次が気になるのに」(ダイヤ書房本店・佐武操)と書店員の支持も強い。いずれも他の誰も思いつかないような斬新な切り口で、男性マンガの進化を読者に見せてくれる。

 貪欲にマンガの新しい地平を開拓するフロンティア精神。しかし、そこには必ず愛がある。そんなことを感じさせてくれた上半期のランキング。男性マンガの未来がますます楽しみだ。

 同誌では佐野菜見インタビューのほか、全10位のランキングを選者のコメント付きで掲載している。

■1位 『坂本ですが?』(1巻) 佐野菜見 エンターブレインビームC  
■2位 『暗殺教室』(1~4巻) 松井優征 集英社ジャンプC
■3位 『テラフォーマーズ』(1~5巻) 貴家 悠/作 橘 賢一/画 集英社ヤングジャンプC 
■4位 『ドリフターズ』(1~3巻)平野耕太 少年画報社ヤングキングC
■5位 『銀の匙 Silver Spoon』(1~7巻) 荒川 弘 小学館少年サンデーC

※全国の書店員に加え、選考委員(作家、書評家、ライター、本誌編集部員)にアンケートを実施。2012年10月1日~2013年4月6日に発売された書籍の中から、オススメの5冊をジャンルごとにあげてもらった。のべ1025名に回答をいただき、順位別に傾斜をつけて集計、ランキングを作成した。

構成・文=松井美緒
(『ダ・ヴィンチ』7月号「2013年上半期BOOK OF THE YEAR」より)