胸キュン少女マンガが復権 上半期女性誌マンガランキング

マンガ

更新日:2013/6/10

 雑誌『ダ・ヴィンチ』7月号で、2013年上半期BOOK OF THE YEARが発表された。全国の書店員と本読みのプロが選ぶ(※)、その年もっとも面白かった本。少女マンガ部門の第1位は『俺物語!!』が獲得! 昨年の1巻発売時から抜群の注目度を誇り、今年は講談社漫画賞少女部門も受賞と勢いは増すばかり。不器用で真っ直ぐ、漢の中の漢、猛男は現代女子の新しい王子だ。「二人の天才がタッグを組むと、ここまでの破壊力が生まれるということを実感」(梅津有希子)といわしめた原作者・河原和音と作画・アルコのインタビューにも注目だ。

 この数年、いわゆる“大人女子マンガ”の活況が印象的だったが、今年上半期は、久しぶりに正統派胸キュン少女マンガに人気が集まったと思う。『俺物語!!』も猛男の容姿は常識外れだが、大和さんとのかわいい純愛は少女マンガのお手本だ。続く4位『アオハライド』、5位『オオカミ少女と黒王子』。好きな人に近付きたい、心を開いてほしい、想いを伝えたい……、どれも眩しい10代の恋を描いている。

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 第2位『きょうは会社休みます。』も人気急上昇中。33歳で初カレ。初めての恋愛、彼との年齢差……。幸せと戸惑いで、日々大変なOL・花笑。「この作者はいつも女性の心の隙間を突いてくる」(ニシザワいなっせ店・畠山志乃)、「こんな奇跡が私にも起きないかなって思ってる人、多いはず」(宮脇書店旭川店・さと)など、そのときめきぶりは半端なく、大人向け作品だが、やはり胸キュン少女マンガ復権の一翼と言える。

 一方、圧倒的存在感を放つのは、今年のマンガ大賞を受賞したばかりの第3位『海街diary』だ。すずたち四姉妹の物語は、その根底にある生と死の営みの困難さ愛おしさをも読者の心に伝えてくれる。

 恋のときめきと人生の奥深さ。いずれも豊かな人物・内面描写を培ってきた女性マンガだからこそ描ける表現だ。2013年上半期は、そんな女性マンガの底力と可能性を実感した。6位以下は同誌にて発表。ときめきたい、心洗われたい女性は特に必見だ。

■1位 『俺物語!!』(1~3巻)アルコ/作画 河原和音/原作 集英社マーガレットC
■2位 『きょうは会社休みます。』(1~3巻)藤村真理 集英社マーガレットC
■3位 『海街diary』(1~5巻) 吉田秋生 小学館フラワーC 
■4位 『アオハライド』(1~7巻)咲坂伊緒 集英社マーガレットC
■5位 『オオカミ少女と黒王子』(1~6巻) 八田鮎子 集英社マーガレットC

※全国の書店員に加え、選考委員(作家、書評家、ライター、本誌編集部員)にアンケートを実施。2012年10月1日~2013年4月6日に発売された書籍の中から、オススメの5冊をジャンルごとにあげてもらった。のべ1025名に回答をいただき、順位別に傾斜をつけて集計、ランキングを作成した。

構成・文=松井美緒
(『ダ・ヴィンチ』7月号「2013年上半期BOOK OF THE YEAR」より)