ジブリ初のキスシーンも! 「風立ちぬ」ヒロイン役の女優・瀧本美織が明かす制作秘話

映画

2013/6/7

風立ちぬ

『風立ちぬ』(7月20日公開) © 2013 二馬力・GNDHDDTK

 5年ぶりのスタジオジブリ宮崎駿監督の最新作として大きな話題をよんでいる『風立ちぬ』(7月20日公開)。その主人公・堀越二郎の声優を、『エヴァンゲリヲン』シリーズの庵野秀明が演じることでも注目されているが、二郎と恋に落ちるヒロイン菜穂子役に、女優の瀧本美織(21)が抜てきされたことが6日の記者会見で明らかになった。

 NHKの朝ドラ『てっぱん』やフジテレビ系テレビドラマ『GTO』に出演した瀧本は、アニメーション映画の声優初挑戦。会見では鈴木俊夫プロデューサーとともに瀧本も登壇した。役作りは、昔の高峰秀子の映画などを観て早口の喋り方を研究し、アフレコでは、最初の声出しでオッケーをもらうことが多かったという瀧本。二郎とのキスシーンも「すんなりしちゃいました」と余裕の笑顔。宮崎監督に瀧本を推薦したのは、実は高畑勲監督だったという裏話も。西島秀俊、西村雅彦、大竹しのぶ、竹下景子、野村萬斎など、他のキャストの豪華な顔ぶれも新たに発表された。

 

瀧本美織

ヒロイン菜穂子役の女優・瀧本美織とジブリ鈴木プロデューサー

 

 二郎のモデルとなったのは、零戦を設計した堀越二郎と、『風立ちぬ』で知られる同時代の文学者・堀辰雄。実在の人物をモデルにした作品はジブリでははじめてだ。二郎と菜穂子の大人の恋愛を描くのもはじめてで、舞台も関東大震災はさむ30年間というリアルな設定。ファンタジーを得意としてきたジブリにとってははじめて尽くしの作品だが、鈴木プロデューサーによると、特にこだわったのがモノラル録音による音響だという。音響技術がエスカレートしてきた過去の作品を聴き直して疑問を持ち、『風の谷のナウシカ』と同じモノラル録音に立ち返ることに。それだけでなく、戦闘機ほかの効果音を人間の口で表現しているシーンも多いというから驚きだ。

 

菜穂子

ヒロイン菜穂子。実在の人物をモデルに大人の恋愛を描いた作品はジブリ初だ
© 2013 二馬力・GNDHDDTK

 

 この作品のテーマは、「戦闘機は大好きなのに戦争は大嫌いという矛盾を抱えたまま生きてきた、宮崎監督自身のテーマでもある」と鈴木プロデューサー。そして辿り着いた宮崎監督のある考えが、この映画では描かれているという。鈴木プロデューサーが「この映画は宮さんの遺言ですかね?」と聞いたところ「かもしれない」とこたえた監督とのやりとりも明かした。

 この作品の製作がスタートしたのは2010年12月。関東大震災のシーンを描き上げたのが2011年3月10日で、翌日11日、あの東日本大震災が起きた。宮崎監督は「このままこのシーンを描いていいのか?」と不安もあったというが、鈴木プロデューサーは手を加えることに反対。「時代が映画をつくり、映画が時代をつくる。しかしそこにとらわれ過ぎるのもいけない」と語った。

⇒映画『風立ちぬ』公式サイト