AKB川栄どころじゃない! アホすぎてかわいいと話題のヒロインとは?

マンガ

更新日:2013/6/14

『週刊少年マガジン』(講談社)に突如として現れた新星が、今人気を集めている。その名も『アホガール』。その名のとおり、アホの女の子を描いた作品なのだが「ものすごく突き抜けて安定したアホ。今一番面白いアホの子マンガ!!」「アホなトコロが堪らないっ!!」「読んでいるうちに、考えることがバカらしくなってくるぐらいのアホっぷり。だがそこがいい」などの声があがるほど、多くの人に愛されている作品なのである。

 作者は、『ドージンワーク』(芳文社)や『マンガ家さんとアシスタントさんと』(スクウェア・エニックス)で知られ、キャラの掛け合いを小気味の良いテンポで描くことに定評があるヒロユキ。さて、そんな作者の描く『アホガール』、いつもハイテンションのアホな女子高生・よしこと、幼なじみのあっくんとの日常話がメインなのだが、毎回毎回、そのタイトルに恥じぬアホっぷりを発揮している。マークシートのテストでも0点を取ってしまうことや公園に訪れたときに、そこで遊んでいる子どもたちと全力で遊び、果ては、子どもたちから「ダメな大人だ!!」と言われるのなんてまだまだ序の口。よしこの母親から、将来は嫁にもらってほしい的な発言をされたあっくんが「よしこはただのアホです。女ではありません。人間はサルに恋しませんよね」と言うくらいの、もはや人扱いされていないレベルなのだ。

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 そのアホさが如実にわかるエピソードがある。ある日、先生からテストが返却される。当然のように0点をとるよしこは、先生と放課後、一緒に勉強をすることになる。先生からいきなり、中学レベルは無理、でも小学校高学年のレベルならと問題集を出されるが、よしこは「私はかけ算すらわからんぞ」と言い放つ。ちなみにドヤ顔である。高校生でかけ算がわからないなんて、どうやって入試をパスしたんだという疑問が頭をよぎるが、考えても無駄なことなので、一旦置いておくとしよう。その後も先生はめげずに、机の上にバナナ(よしこの大好物である)を5本出し、そのうち3本食べたとして、残りは!? という、もはや小学校低学年レベルの問題を出すが、よしこは即答で「あとで食べる!」と言ってしまうのだ。アホである。救いようのないアホである。また、その後も先生は「2+5」という初歩的な足し算の問題を出すが、よしこの理解は「増えるやつだな!」というレベルで、しまいには両手で計算をはじめる始末。しかも、あっくんによると、よしこは両手でできる計算までしかできないらしい。もはや生きていけるのか心配になるほどだ。

 しかし、昔から「出来の悪い子ほどかわいい」といわれるように、アホであればあるほど、よしこがかわいく見えてくるのである。アホなよしこの、アホなゆえの無邪気さ、裏表のない純真さに、思わず親心が刺激され、「守ってあげたい」という気持ちがムクムクと湧いてくるのだ。なんという巧妙な仕掛け、アホガール恐るべし……。

 その無邪気さからくる欠点なのか、じつはよしこには羞恥心というものが少ない。なんせ、人前だろうとかまわずに、あっくんにパンツを見せようとしたりするのだ。もちろん、常識人のあっくんからは阻止されてしまう。公園では、子どもたちの前で、スカートを履いたまま、逆立ちになったりもする。もちろん、パンツは丸見えである。読者サービスと言ったら聞こえはいいかもしれないが、なぜかあまりときめかない。それはおそらく、親が子どものパンツを見ても、なんとも思わないのと同じことだろう。まさに、親心が刺激されるがゆえの悲劇だ。

 もうアホという文字がゲシュタルト崩壊しそうなほど、アホなよしこだが、そのアホさが役立つときもある。ある下校時のこと、コンビニの前でうんこ座りをしているヤンキーに「そんな座り方してたら、うんち出ちゃうよ」と話しかけるよしこ。案の定、ヤンキーに絡まれてしまい、しかもよしこの友人がターゲットにされてしまう。「オレが遊んでやるよ」と言いながら友人の腕を引っ張るヤンキー。すわ一大事。そこでよしこが「ダメだよそんな誘い方! 怖がってるよ!!」と間に入る。危機一髪。寸前で危険は回避されたと安堵するのはまだ早い。よしこは続けて「そんなに遊びたければ、私が遊んであげるから!!」「私は遊びたい!!」と言っちゃうのだ。読者から「お前が遊びたいだけかい!」というツッコミが聞こえるようだ。とまどうヤンキーに、しまいには、「このわからずや」とビンタをかましつつ「いいから遊ぼうよ!!」と叫ぶよしこ。アホさ全開である。しかし、これがヤンキーの心に響いたのか、よしこに泣きながら抱きつき、舎弟になってしまうのだ。そのアホっぷりで、ヤンキーを改心させてしまう。よしこ、なんて恐ろしい子……。

 仕事や学校などでモヤモヤが溜まっている方にほど読んでほしいこの1冊。読めばたちまち、よしこのアホっぷりに感化され、頭がカラッポになり、晴れ晴れとした気持ちになることは間違いない。

文=オンダ ヒロ