「非モテ女子はワンピースとジョジョを読めばモテる」は本当か?

恋愛・結婚

公開日:2013/6/15

『ワンピース』(尾田栄一郎/集英社)、『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦/集英社)

『ワンピース』(尾田栄一郎/集英社)、『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦/集英社)

「モテない女はワンピースとジョジョを全巻読め」という湯山玲子の発言が、ネットを賑わせた。

 たしかに『ワンピース』(尾田栄一郎/集英社)と『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦/集英社)は、今や押しも押されもせぬ人気マンガで、男性ならば、読んだことのない人のほうが少なく、そのため、話題づくりの一環としては、絶大な効果を発揮する。つまり、コミュニケーションツールとして、これほど使いやすいものはないというわけだ。話が詰まったときにでも、どちらかの話題、たとえば「今週のワンピース、もうチェックした? 相変わらずゾロはかっこいいよねー」なんていえば、多くの男性が食いつき、キャラ好感度論争にまで発展する可能性もある。

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 だが、それだけで男心をガシッとキャッチできると思ってはいけない。そう、男の気を引くには、それ以上のものを作品から引き出さなければならないのだ。「でも、そんなこと言われても、どうすればいいの?」というか細い声が聞こえてきそうなので、ひとつ提案させていただく。作品に登場する女性キャラをモデルにしてみる、というのはいかがだろうか。

 というのも、『ワンピース』と『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する女性キャラは、今までのマンガ作品にありがちだったヒロイン像とは一線を画す存在なのだ。か弱く可憐で、守られる存在だったヒロイン像とはうってかわって、この2作品に登場する女性キャラは、強く、ただ強く、ときに儚い。「草食系男子」などの言葉が蔓延する現代において、彼女たちのもつ強さ、儚さに惹きつけられ、果ては「守ってもらいたい」と思わず考えてしまう男性は多いだろう。

 ではここで、この2作品に登場する、どんなキャラをモデルにすればいいのかお教えしよう。

 まずは、『ジョジョの奇妙な冒険』から。この作品には初心者向けの、うってつけのキャラがいる。それは第1部で登場したヒロイン、エリナだ。彼女はレディとしての厳格な教育を受けた淑女でありながらも、気さくな一面も持ち合わせている、パーフェクトガール。そして何よりも、芯がとても強い女性なのだ。ある日、主人公ジョナサンと仲良く遊ぶ彼女に目をつけたディオが、ジョナサンへの当てつけとして、彼女の唇を無理矢理奪ってしまう。普通なら、ショックのあまり泣いてしまうところだが、彼女は違った。なんと、泥水で唇をゆすぐという行動に出たのだ。そうすることで、ディオに対して「拒絶」の意思を見せつけたのである。なんという気丈さ。これをマネしない手はないだろう。好きでもない人や嫌いな上司に肩や腰などを触られたのなら、すぐさま事前に用意してあった水筒に入った泥水で、触られた箇所をすすぐのだ。あなたのその姿に、ナヨっとした男性はイチコロだろう。ただし、社内で確実に浮くことになるので、そこは覚悟しておこう。

 ほかにも、第2部のリサリサや第3部の家出少女、第4部の山岸由花子に第5部のトリッシュなど魅力的な女性キャラは多いが、ここで押さえておきたいのが第6部、シリーズ初の女性主人公である空条徐倫だ。彼女が女性囚人として監獄に送られたところから第6部は幕を開ける。監獄内でさまざまな戦いを経て成長していく徐倫だが、あるとき、懲罰房棟(独房)に送られてしまう。そこで彼女は、泣きわめくわけでもなく、絶望にうちひしがられるわけでもなく、後の強敵との戦いに備え「この場所であってはならないのは “精神力”の消耗だ」「くだらない消耗があってはならないッ! いや…逆にもっと強くなってやるッ!」と言う。そのためなら、ゴキブリがたかった食事でも迷わず食べるのである。その姿は、清々しいまでの強さにみなぎっている。こういった強さに、今の男たちは惹かれてしまうのだ。さすがに、これを全部マネするべきだとは言わないが、その言葉をマネするだけでもいいだろう。たとえば、むずかしい仕事を任されたとする。自分のデスクに戻ったのならすかさず昼飯をほおばり「この場所であってはならないのは “精神力”の消耗だ」「くだらない消耗があってはならないッ! いや…逆にもっと強くなってやるッ!」とつぶやくのだ。その姿をみた男はイチコロ。なんだったら「どうか僕を守ってください」と懇願してくるかもしれない。

 また、『ワンピース』では、「麦わらの一味」であるナミの生き方を参考にすべきだろう。彼女は戦災孤児でありながら、自身を拾ってくれたベルメールも海賊に殺され、またその海賊に奴隷のように働かされていたという悲しい過去をもっている。しかし、ルフィらの活躍も手伝って、その過去を乗り越えることができ、それ以降ルフィにとっての頼れる仲間の一角を担っている。その後は「子供に泣いて助けてって言われたら!!! もう背中向けられないじゃないっ!!!!」という言葉を残すほど精神的にも肉体的にも強い女性になっていった。男は、こういうのに弱いものである。気丈な女性のある一面には脆さがあり、じつは悲しい過去も背負っていたという、強さの裏に隠された儚さがたまらないのだ。なので、女性の方々はとりあえず、気丈さを身につけた上で、ウソでも設定でもいいので、悲しい過去を背負ってみてはいかがだろうか。ただし、それがバレたときは「妄想たくましい、イタい女の子」という称号がもれなくもらえるので、細心の注意が必要だ。前準備として、両親・親しい友人には口裏を合わせてもらうよう説得しておこう。

 王下七武海のひとり、海賊女帝という異名をもつボア・ハンコックも、男に人気が高いキャラクターだ。彼女もナミと同じく、元奴隷という悲しい過去を持っている。だが、彼女のマネをするのはそこではない。では、どこかというと、その美しさからくる尊大な態度と、ルフィだけにみせるいじらしさ。いわゆる「ツンデレ」というやつだが、これが意外に男はメロメロになってしまうものなのだ。では実践の仕方を仮定してみよう。会社のなかで新人が仕事にテンパっていたとする。そこであなたは「そんなこともできないの?」と相手を威嚇しつつ、その仕事を華麗にこなしてあげよう。もうこの時点で、一定の男はメロメロのはずだが、もう一押し。「次に困ったことがあったら、まず私に言いなさいね」とやさしく言ってあげるのだ。新人君はもちろんのこと、まわりの男のハートにも恋の矢がグサグサ刺さりまくることだろう。

 じつはこのふたりの女性キャラクターには、男性を最も魅了していると言っても過言ではない、ある共通する部分がある。ある意味では、マネることがむずかしいと思われるその部分。それはボンキュボンなスタイル。たとえばナミなら、作中では2年の歳月が過ぎた「新世界」編で、露出度の高い服装を好んで着用し、成長したスタイルを惜しげもなく披露している。サンジやモブキャラたちの目がハートマークになるほどのそのスタイルに、男性の読者の多くもまた釘付けになったのだ。

 そう、なんだかんだいっても男性はセクシーな体に弱いものなのだ。怒られるかもしれないが、こればっかりは、男の悲しい性なので、どうか許してほしい。

文=オンダ ヒロ