仕事がうまくいかないときは、名言集で“紙頼み”

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更新日:2013/6/24

 仕事や恋愛で行き詰まったとき、神様にでもすがりたいと思う人は多いのではないだろうか? 実は私もそのひとり。パワースポットと聞けばついつい、足を運んでしまう。でも、余裕がないときは、わざわざ出かけていられないこともある。

 そんなときには、名言集を開いてみてはいかがだろうか? 今回オススメしたいのが、『仕事のお守り』(ミシマ社)という1冊。表紙はお守りさながら。その模様には、各人たちの名言が刻み込まれていて、持っているだけでもご利益がもらえそうだ。

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 いやいや、せっかく買ったのだから、ぜひ中身もご紹介しよう。同書には、パワーをもらいたいときだったり、本番で力を発揮したいときだったり、仕事だけでなく人生の悩みに効きそうな世界中の著名人たちの名言を収録している。その言葉の主は、水木しげる、よしもとばなな、村上春樹、マハトマ・ガンディーとさまざま。

 “自分を作り替えようとしてはいけません。”

一番始めの「お守り言葉」から、グッとくるものがある。これは、渡辺京二さんという在野の思想家の方のお言葉。「自分とは何なのか」「自分は誰にも必要とされていないのではないだろうか」などと漠然とした悩みを持ったことのある人もいるだろう――。同書では、そうした問題提起に始まって、書籍を引用しエピソードを紹介しているので、流れるように名言が頭に入ってくる。心に響く言葉なのはもちろん、その金言が所収された書籍まで読みたくなってしまうくらい、そのエピソードが魅力的なのだ。

 この本を世に送り出したミシマ社は、「原点回帰の出版社」「一冊入魂」という理念を掲げている新しい出版社。作家や編集者の情熱をそのまま届けたいという想いから、取次を介さずに自社で書店と契約している。同書は、そんなミシマ社の働き方や熱い想いがたっぷり詰まっており、彼らがこれまで仕事で出合った腕利き書店員やライター、編集者などの「行きづまりに効く一冊」というエッセイも所収されている。

 うまくいくこともあれば、そうはいかないことももちろんある。神頼みもいいが、人生経験豊富な方々のお言葉に“紙頼み”もなかなかいいものだ。

文=廣野順子(Office Ti+)