【谷口菜津子さん『わたしは全然不幸じゃありませんからね!』 発売記念 特別対談】 谷口菜津子×夢眠ねむ対談 私たちが全然不幸じゃない理由

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更新日:2014/3/28

マンガを描きはじめて、人生がつまらなくなくなったんです(谷口)

谷口菜津子

Y レバ刺しを描く気持ちも、よくわかる。私、大学時代にずっと食べ物の絵ばっかり描いてたから。私、そもそも絵を描いて伝えたいことってなかったんですよ。

T 私もです! 私は大学時代、絵を描いてストレス発散してたんです。暗い気持ちの時に、暗い顔の私を描いたりして。

Y マンガは?

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T マンガは、人に何かを伝えたいって思いで描いてます。美術には、美術にしかできない伝え方や、受け取り方があるはずだから、それはそれでいい。でも、マンガは手軽に読める分、難しいことでも美術より広く伝えやすいんじゃないかな、伝えられたらいいなって。

Y 私がアイドルになった経緯と似てるね。私は初め、アイドルと秋葉原の仕組みに、美術より美術らしいものを感じたんです。秋葉原には、学校で触れていた「課題のためだけの表現」じゃなくて、自分が作りたいものを作るという創作意欲と、それによって生み出されるものがあった。

T 美大への違和感、わかるなぁ。

Y 最初は、研究目的で秋葉原のメイドさんになって、気づいたらアイドルになっていて。だから、自分がアイドルを名乗っていいのか悩んだ時期もありました。でも、ファンの人に「そう思ってても、アイドルなんだよ」と言ってもらって、「自分は孤独」「自分は美術に愛されなくて、ここにいる」ってモヤモヤが消えたんです。

T 私も、マンガによって救われたんですよね。小さいころから、不思議ちゃん扱いされたり、同級生と話が合わなかったりして、毎日がつまらなくて。「大人になっても、つまんないままなんだろうな」って思っていたけど、マンガによって人生が変わったんです。

Y この本にも描いてたよね。「ずっとつまらないだろうと思ってた」って。

T はい。だけど、自分の好きなことを続けて美大になじめないながらもブログでマンガを描いていたら、人が話しかけてくれるようになって。自分もいろんな人に興味を持ち始めたし、人と会うのが楽しいと知って、たくさんの人と交流するようになって。

Y 孤独から救われたんだ。

T はい。長い間、「居場所がほしい」って思ってたけど、居場所みたいなものがあったというか…。ただ、居場所っていうのは、はっきり表れるものじゃないってことにも気づきました。今は「今、自分がいるところで、作りたいもの作るか」という気持ちですね。