堺雅人演じる「半沢直樹」も!? “バブル上司”の迷惑あるある

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更新日:2013/7/8

 堺雅人主演で7月7日からスタートするTBSの新ドラマ『半沢直樹』。池井戸潤の人気シリーズ『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』(ともに文藝春秋)を原作に、バブル期に銀行へ就職した「やられたら倍返し」という主人公・半沢を堺がどのように演じるのかと、放送前から期待が集まっている。

 堺が上司なら万々歳! という人、とくに女性はきっと多いと思うが、しかしドラマとは違い、現実はバブル期入社の上司に迷惑している人の数は多いらしい。一体、バブル上司にはどんな問題があるのだろうか? バブル世代の害悪をまとめた痛快な告発本『バブルさん 30代を悩ます迷惑上司の生態と対処法』(斎藤啓:著、都築潤:イラスト/阪急コミュニケーションズ)から紹介しよう。

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 まず、バブル上司の問題点のひとつに挙げられるのが、“ついていけないズレた感覚”だ。たとえば、会社の経費の使い方。どの企業も経費削減が叫ばれる昨今だが、バブル上司にはどこ吹く風。ある保険会社の例だと、出張先でレンタカーを借りる際、後輩はもっとも安いヴィッツを頼もうとするのに、先輩であるバブル上司が選んだのは高級車・クラウンマジェスタ。「出張の時くらい、いい車乗りたいじゃん」というのが高級車をチョイスした理由だったらしい。バブル上司はお金をジャブジャブ使える“いい時代”を生きてきたのかもしれないが、若手と彼らでは、あまりに「会社のカネ」に対する考え方のギャップがありすぎる。本書は、ときとしてバブルさんが口にする「(不況のいまは)いい時代とは違うよね」というセリフに対し、「そもそもそのいい時代から転落したのは、お前らの責任もあるんだからな」と言い放っている。

 また、バブルさんの口癖として本書がピックアップしているのが、「お前、なんかやりたいことないの?」というひとこと。好景気のイケイケ時代を経験しているせいか、このようにバブル上司は仕事による自己実現を迫ってくるらしい。だが、バブル期とは違い新規採用数は減少しており、「若手1人あたりの仕事量は増えている」のが現状。若手は目の前の仕事を片付けることに必死な上、不安定な会社のなかでやりたいことを目指すより、“社会のどこに放り込まれても通用する「やりたいこと」”を見つけたいと思っている。仕事を取り巻く環境がこんなに違うのに、むやみに「やりたいことをやれ」と言ってくるのは横暴ではないか……というのが本書の主張だ。ついでに著者は、バブルど真ん中世代で“飽くなき向上心を持ったトップランナー”である勝間和代に対しても、「勝間氏が1990年代のマッキンゼーじゃなく、2000年代のリーマン・ブラザーズで働いていたら?」と書くように、世に蔓延する「やりたいこと」の押しつけには、バブル世代の成功者たちの啓蒙が強く関わっているのかもしれない。

 そして、救いようがないのが、バブル上司の「消せない選民思想」だろう。下請け企業などの「小さな会社」の人たちに対して横暴な態度を取り、そのせいで相手も「機械的にしか応じない」。これでは仕事もうまくいくはずがない。このような意識の源流には、やはりバブル世代特有の経験が関係している。バブルさんは“スーパー売り手市場”の時代に就職しているため、大企業から内定をいくつも獲得した経験をもっている。これが選民思想につながっているのだ。だが、多くの内定を取ったのは「多分に時代の恩恵があった」から。それをいい歳して未だに勘違いしていられるとは、おめでたさを通り越して愚かしく映ってしまう。

 もちろん、すべてのバブル世代がこのような困った人々ではないが、似たような人があなたの上司なら要注意! ぜひ本書で対処法を学んでみてほしい。