はるかぜちゃん、ウテナ……増殖する“ボクっ娘”って?

マンガ

公開日:2013/7/14

 テレビやブログ、Twitterでも自分のことを「ぼく」と呼んでいる、はるかぜちゃんこと春名風花。彼女は『少女革命ウテナ』のウテナが好きで、自分も一人称に「ぼく」を使うようになったそう。最近では『ガールズ&パンツァー』や『探偵オペラミルキィホームズ』などにボクっ娘が登場しているが、古くは『リボンの騎士』のサファイアもボクっ娘だったのだから、意外と歴史は長い。そういった2次元の影響からか、リアルでもAKB48の高橋朱里や声優の渡辺明乃のように「ぼく」を使う子が増えているみたい。

 そんなボクっ娘大好きな主人公・真木路大智が登場するのが、6月25日に発売された『俺の目を見てボクと言え!』(神秋昌史:著、茶 みらい:イラスト/集英社)だ。彼が元女子高だった嶺永学園に入学してしまうほど愛するボクっ娘とは、いったいどんなものなのだろう。

 そもそもボクっ娘とは、一人称に「ボク」を使っている女の子。でも、そんなに都合よくボクっ娘がごろごろいるわけではないので、大智は相手を助けたお礼やお願いを聞いてあげる代わりに、ボクっ娘になってもらおうとするのだ。いつも大智の幼馴染でもある小椿淵花に勝負を挑み、そのたびにコテンパンにやられてしまう雲八木澄帆。彼女に手を貸してあげたお礼として「ボク」と言ってもらったり、淵花の先輩である渡湖透子に「淵花ちゃんと仲よくしてあげて」と言われ、交換条件として一人称を「ボク」にしてもらったりもする。こんなふうに「ツンデレやヤンデレなどの性質を表す属性とは異なり、一人称だけで適応される」ので、誰もがボクっ娘になれるのだ。

 また、ボクっ娘と聞くとボーイッシュな女の子を想像するかもしれないが、必ずしもそうとは限らない。たしかに、「佇まいや行動原理などが男の子に近い活動系」が最もオーソドックスなタイプとして知られているが、「愛くるしさを併せもつ小動物系」や「独特な雰囲気を持ち、口調に統一感が少ないワールド系」といったタイプも少なくない。さらに、ヒロインの淵花なんてスレンダーなプロモーションに黒髪ロングの美少女なのに、一人称には「オレ」を使うオレっ娘なのだ。「ボク」よりもさらに男らしい「オレ」を使っているのがこんなにかわいらしい容姿の女の子だったとしたら、絶対に忘れられなくなるはず。

 こんなボクっ娘だが、女の子がボクっ娘になる理由もいろいろある。そもそも、幼い頃に「ボク」を使う女の子たちは少なくないのだ。大智が中学生の頃も「性格が勝ち気だったり、男兄弟が多かったり」といった理由で男の子と同じ「ボク」を使っていた子もいたよう。でも、中3になったり高校生になったりすると、次第にボクをやめていった。それでも「ボク」を使い続ける子、彼女たちは自分が「女」や「大人」になっていくことに戸惑っているのかも。大人の女性になっていく他の子たちと自分は違うと思ったり、それまで一緒に遊んでいられた男友達と自分が違うと知るのがイヤでボクっ娘になった人もいるはず。それでも身体は女性になっていく。そんな性の狭間で不安定に揺れているボクっ娘には、他のどんな女の子にもない魅力がある。

 そんな彼女たちが「ボク」と言いながらも見た目や仕草に女らしさが表れていたりすると、そのギャップにやられてしまう人は大勢いるのだ。こんなふうに、他の女の子とは違ったギャップ萌えが味わえるのはボクっ娘だけ。そんなボクっ娘好きなら共感できること間違いなしのこの1冊。ぜひ1度、手にとってみては?

文=小里樹