年収300万円でも吉祥寺に家が買える!? お宝マンション活用法

マネー

2013/7/22

 不動産大手7社が毎年行っている「住んでみたい街」アンケートの調査で、5年連続ナンバー1にあがっている吉祥寺。裏を返せば、家を買うにも借りるにも値が張り、「住みたいけど住めない街」ということでもある。

 高額エリアの吉祥寺に家を買うなんて、庶民にとっては夢のまた夢……。そう思い込みがちだが、『年収300万円で人気の街に家を買う!』(井形慶子/講談社)によれば、中古マンションを狙うことで格安の掘り出しもの物件が見つかるという。

 基本的に銀行は「年収×6倍」で住宅ローンを融資してくれるから、給与所得の税込み年収300万円であれば、その6倍で1800万円。これに頭金200万円を用意すれば、2000万円以下の2DKマンションくらいは可能となる。問題は吉祥寺に2000万円以下のマンションなんてあるのか? ということ。

 これが実際にあるらしいのだ。10年来、吉祥寺で暮らす著者はイギリスの暮らしをテーマにした情報誌『ミスター・パートナー』の創刊編集長であり出版社の経営者でもある。住宅事情にスポットを当てた著作も多く、この10年で内見した住宅は、のべ500件以上という事情通だ。

 そんな著者が2008年に購入したのが築35年の老朽マンション。吉祥寺駅から徒歩8分という好立地で、広さ45㎡のメゾネットタイプだ。その価格はなんと500万円なり。元々は1280万円で売りにだされていたが、廃屋同前の物件だったため買い手がつかず、格安で売りに出されていたのだ。

 この物件を200万円のリフォームで見違えるような「ロンドン・フラット」に生まれ変わらせたのである。イギリスは築60年以上の住宅が大半で、リフォームをして賃貸に出したり、売ったりするのが一般的だという。100回以上の渡英経験を持つ著者だからこその発想を吉祥寺で生かしたわけだ。

 近年、古くからの吉祥寺住人の高齢化が進み、相続の際に売りに出される物件が増えた。築年の古いものなら掘り出しものが見つかるようになったわけだが、物件探しにおいて重要なのは、「築年よりもロケーション」だと著者は断言する。

 たとえば、10年前に著者の友人が築20年のマンションを吉祥寺に購入したのだが、家の事情で実家を出られなくなってしまった。泣く泣く人に貸すことにしたのだが、人気の街だけあって借り手がつかなかったのはわずか2カ月だけ。毎月12万5000円の家賃収入があり、住宅ローンと管理費を相殺しても月々1万円少々の小づかいまで残るという。住宅ローンが終われば、あとは家賃収入でリタイア後も豊かに暮らしていけるだろう。これも住みたい街ナンバー1というロケーションだからこそ。

 東日本大震災後、家を購入する際に地盤が気になる人も増えただろう。老朽化した物件となればなおさらだ。しかし、吉祥寺のある武蔵野市は関東ローム層と呼ばれる風化火山灰土で覆われ、住宅地盤として強いというから心強い。

 新築マンションは購入直後にガクンと値下がりし、その後は徐々に下がっていく。一方、賃貸物件に関しては新築も中古物件もそれほど大きく変わらない。つまり、中古住宅を買って賃貸に出すのが、いちばん利回りが良いということになる。

 当然のことだけれど、購入すれば家は残るが、賃貸では何も残らない。年収300万円だと東京の高い家賃を払うと生活していくだけで精いっぱいだ。しかし、年収300万円でも買える家があるなら話は変わってくる。住まいが残れば老後の暮らしの基盤となり、将来の不安も軽減されるだろう。

 本書において吉祥寺に家を買うということは、ただ素敵な街で暮らすという憧れだけでなく、人生のライフプランにも密接にかかわる現実的な問題。中古物件の見極め方やお宝マンションの見つけ方など、さすがに500件以上内見した著者だけあって、かなり具体的に記されていて参考になる。自分の収入ではムリだと思い込まず、検討してみてもいいかもしれない。