できる女は嫌われる!? 女性管理職が増えない理由

ビジネス

2013/7/18

 米フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)が著書『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』(シェリル・サンドバーグ:著、村井 章子:訳/日本経済新聞出版社)邦訳版発売のために来日した。記者会見では、「女性のリーダーはもっと増えてよく、企業は女性が母親になっても働きやすい体質にならないといけない」と男性優位である日本社会へ呼びかけた。安倍政権も女性管理職の登用に具体的な目標数値を定め、優遇措置まで検討しているという。

 しかし、株式会社日本マンパワーの調査によると、管理職になりたくないと答える女性が49.3%。理想と現実には大きな差があるのが現状だ。

 働く女性が管理職をためらう理由はどこにあり、解決法はあるのか。『LEAN IN』から答えをさぐってみよう。

 まず、調査では管理職をためらう理由のひとつに、「同性の先輩よりも先に昇進するのは気が引ける」「人間関係で苦労してまで、管理職になりたくない」といった“他人の目”を上げる人が多いようだ。それに対しシェリルは、女性が男並みに仕事上で主張することは悪印象をもたれるという研究結果を引用し、「できる女は嫌われる」ことを認めている。女性が何かを得るときには、「相手に好印象を残すこと、他人に気遣いを示すこと、“世間の期待にふさわしく”女性らしくふるまうこと」で他人からの批判を回避できるという大学教授の主張を紹介し、処世術を提示している。しかし、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグとの面談で、「誰からも好かれようとすると思い切ったことができない」と指摘されたことを明かし、「最終目的地にたどり着くまでは、女性は成功したら好かれることをあきらめなければならないのかもしれない」と厳しい現実を告白している。

 女性が管理職を避ける理由に「自分の能力/スキルに自信がない」という声も多くあがっている。シェリルは自身のキャリアを通し、男性のほうがチャンスに飛びつくスピードが早く、自信があると分析。女性は「自分の業績を誉められると、詐欺行為を働いたような気分になる」「自分は評価に値する人間だとは思わずに、たいした能力もないのに誉められてしまったという罪悪感」を覚えると指摘し、自身も同じことを経験してきたという。このような感情は“女性特有の詐欺師感覚”と呼ばれ、「女性は、自信をもって自分を売り込んだり手を挙げたりできないだけでなく、女性自身がこの弱点に気づいていない」ことが男性との差が埋まらない原因だとつづる。誉めらたら「ありがとう」と答え、自分を信じること。これが自分の可能性を広げるチャンスだと語っている。

 女性が管理職を嫌がるなによりの理由は「ワーク・ライフ・バランスの制度が整っていない/十分ではない」という意見だ。シェリルは意外にも、「すべてを手に入れる―そんな望みを抱くのは、女性にとって危険な罠である」と厳しく警告している。仕事をしながら子育てや家事を完璧にするのは無理で、「完璧主義は大敵」と言い切るシェリル。そんな彼女が大好きだというのが、「完璧をめざすより、まず終わらせろ」というフェイスブックのポスター。物事を重要なことと、そうでないことにわけ、重要なことについてだけ完璧主義になればいいという。そして、ワーキングマザーの大敵である、“子どものそばにいてあげられない罪悪感”のマネジメントは、時間のマネジメントと同じぐらい重要だと語っている。

 シェリルはグーグルの一部門の副社長をしていたときに妊娠。ある日、オフィスから遠く離れた駐車場に向かっているときに強い苦痛を感じた。翌日、創業者のオフィスに赴き、妊婦専用の駐車スペースを用意すべきと主張して見事に採用された。それは彼女が創業者に意見を言える立場にあったからこそ、実現できた制度なのだ。彼女は「指導的な役割を果たす女性がもっと増えて、女性が抱える問題やニーズをもっと強く主張できるようになれば、すべての女性が置かれた状況はもっと改善されるにちがいない」と力強く宣言している。この発言を日本の働く女性はどう受け止め、企業側がどうフォローするのか。女性管理職の推進が絵空事に終わらないかは、この点にかかっているのではないだろうか。

日本マンパワー 「女性のキャリア意識調査」