月9の山Pにも負けないBL系イケメンカメラマンの魅力をとは?

マンガ

公開日:2013/7/20

 7月8日から始まった月9ドラマ『SUMMER NUDE』で、小さな写真館のカメラマンとして登場する山Pこと山下智久。結婚式場や海辺でカメラを構える彼の姿に、キュンときた人も多いのでは? しかし、BLには山Pにも負けず劣らず魅力的なカメラマンたちがたくさん登場する。そこで、6月28日に発売された『愛にふるえる小説家』(橘かおる:著、タカツキノボル:イラスト/海王社)や『飴色パラドクス』(夏目イサク/新書館)、『恋をするということ』(凪良ゆう:著、金ひかる:イラスト/幻冬舎)といった作品から、カメラマンの魅力を見てみよう。

 まず1つ目は、カメラ越しに見つめるその視線。『愛にふるえる小説家』のカメラマン・一之瀬豪は、ケガで療養しているあいだ小説家の吉田和穂の家政婦をすることに。そんな彼は小説家・森真樹夫としての仮面をかぶった和穂のことを撮りたいと強く思い、取材先にカメラマンとして現れる。こんなふうに、私生活までバッチリ把握されている相手に熱い視線でカメラを向けられたり、普段自分を甘やかしてくれる豪とは違う一面を見せられてドキドキしないはずがない。また、『飴色パラドックス』で週刊誌の張り込み班としてカメラマンを務める蕪木も、決定的瞬間をとらえるために真剣なまなざしでカメラを構えている。そのまっすぐな視線もそそるのだが、見事その瞬間を写真におさめたあと、コンビを組んでいる同期の尾上相手に優しく微笑むギャップもたまらない。

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 そして、被写体にカメラを向けるときは自分の心を殺すというカメラマンたち。でも、そこに無理して平静を装おうとしている姿が垣間見えるとつい守ってあげたくなるもの。『恋をするということ』に出てくるカメラマンの名波呂久は、片思いしていた居酒屋の店主である月浦の銀婚式でも、文句も言わずに傷を隠して笑顔で写真を撮り続けた。その後付き合うことになった月浦の息子・賢治が海で女の子に抱きつかれているときでも、心は「砂浜にめりこみそうになるほど悲しく」なっていたが決して笑顔は崩さなかったのだ。それに、仕事のためなら手段を選ばない『飴色パラドックス』の蕪木は、張り込み班にはつきものの罪悪感を「悪いことやってたのはあっちだし」と思うことでやり過ごそうとしてきた。だけど本当は、いつも胸を痛めていた。そんな彼の頼りない表情を見せられたら、尾上じゃなくても思わず抱きしめてしまうはず。

 しかし、もっとも大きなポイントはやはり撮るものの魅力を最大限引き出すことができるところだろう。『飴色パラドックス』の蕪木がグラビア撮影をしたときは、そのコミュニケーション能力の高さや気遣いを駆使して、相手が緊張しないように自分を作り上げる。『恋をするということ』の呂久も、普段の物撮りですら食べ物がもっともおいしく見える瞬間を逃さない。当然、人物を写すときもキメ顔ではなく女の子たちの自然体を写すため、声をかけて振り向いた瞬間の素の表情をとらえたり、視線を散らす工夫をするのだ。また、『愛にふるえる小説家』の和穂は、自分のことを「なんにもできないやつで、みっともないやつで、魅力なんかあるはずがない」と思っているし、絶対に森真樹夫より自分がいいと思う人なんていないと思い込んでいる。でも、豪は森真樹夫の仮面をかぶった和穂の中から、ちゃんと和穂自身を写し取ろうとしてくれた。

 こんなふうに、カメラマンたちは内側に秘められた魅力を引き出し、自分でも気づかなかった自分の魅力に気づかせてくれる。だからこそ、カメラマンに見つめられると自分のすべてを暴き出されているようで落ち着かない気分にさせられるのだろう。1度カメラマンに見つめられたら、あなたも逃れられなくなるかも。

文=小里樹