どうしてマンガやアニメに出てくる部長やキャプテンには威厳がないのか?

マンガ

更新日:2013/7/22

 『けいおん!』のりっちゃんや『銀河へキックオフ!!』の翔、『タッチ』の孝太郎にも共通しているもの。それは、部長やキャプテンとしての威厳がないということ。マンガやアニメに登場する部活の部長たちには、あまり威厳がない人が多いような気がする。そこで、7月12日に発売された卓球漫画『部長に威厳はありません』(高橋真弥/ほるぷ出版)からその理由を探ってみよう。

 まず、もっともわかりやすいのは実力の問題だろう。部長は、必ずしも1番上手い人がなるわけではない。だから、他の部員の実力が上の場合、どうしても偉そうな態度はとれないのだ。実際、『部長に威厳はありません』の木ノ崎絵夢は壁打ちも満足にできないし、素人の女の子たちと対戦してもいい感じに張り合っていたり、ときには負けてしまうこともあるくらいのレベル。一方の恵澄は、「中学の頃全国3位」の実力の持ち主で、あちこちからスカウトがかかるほど。これでは、威厳なんて出せるわけがない。

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 それに、マンガに登場する部長たちはどんなメンバーでも決して排除せず、受け入れようとする。どんなに性格や普段の練習態度に問題があっても、実力があれば受け入れるという部長もいるし、逆にどんなに下手でもやる気があれば受け入れるという人もいる。個性的なメンバーのそろうマンガやアニメの部活において、これだけ幅広く受け入れるにはそれなりの才能がいるはず。絵夢も、ピンポン球で千本ノックされたり、水着で校庭を走らせられたりしても、恵澄のことを嫌いになったり追い出そうとしたりはしない。むしろ、勝った方がひとつだけお願いを聞いてもらえるという条件でやった試合では「部活やめないで」と頼むつもりだったのだ。こんなふうにみんなを大切にできる力があるからこそ、威厳がなくても部長を務められるのだろう。

 そして、もっとも大きな理由は部長が愛されキャラだということ。大抵の場合後輩に好かれ、他の部員からも推薦されてなるのだから当然かもしれないが、なんだかんだで絵夢も恵澄に好かれている。恵澄は絵夢のことをさんざんいじったりからかったりしているが、レベルの違う恵澄がこの学校の卓球部に居続けるのは「部長を気に入って入った」から。威厳にしろ愛されキャラにしろ、部長に必要なのは人を惹きつける魅力なのかもしれない。
みなさんの知っている部長たちは、どうでしたか?

文=小里樹