これぞ究極のNTR! “寝取られ”好きは幽体離脱を試みるべし!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 『惡の華』(講談社)で飛ぶ鳥を落とす勢いの作家、押見修造が過去、『週刊ヤングマガジン』(講談社)で連載していた伝説の作品『ユウタイノヴァ』(講談社)の新装版が発売された。

 主人公は大学生の桂木晴。彼はある日突然「幽体離脱」ができるようになる。その力を使い、自由気ままなナイトライフをエンジョイするかと思いきや、晴のとった行動、それは、高校のときに別れ、いまだ引きずり続けている元彼女、日比野由美の私生活を覗き見することだった。なんとうらやましい、いやいや、なんとけしからんことに能力を使うのか。そんな読者の嘆きの声が聞こえてきそうだが、晴には天罰のような出来事が起こる。なんと、由美が他の男とセックスするところを目撃してしまうのである。幽体離脱の身であるため、触れられず、声も届かない状況で、ただただその営みを見ているしかないという、男からすれば10年くらいトラウマになってもおかしくない状況に立たされる晴。当たり前のようにどえらいショックをうけ、なおかつ「オレは一体…何をやってたんだろう…」と、由美の部屋で事後のふたりを尻目にフワフワ浮きながら膝を抱える。その姿は、男ならずとも涙を禁じえないだろう。しかし、そんな状況に興奮する輩がいる。そう、近年増殖中のNTR(寝取られ)好きである。彼らからすれば、この状況はまさにパラダイス。快楽の坩堝。天国に一番近い場所だろう。幽体離脱だけに。

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 しかたない。そんな君たちのために『28日間でマスターする 幽体離脱トレーニングブック』(大澤義孝/アールズ出版)を参考に、幽体離脱のやり方を伝授しよう。そして、幽体になって好きなあの娘の私生活や、他の男とネンゴロするところを目撃し、悔しさと悲しさと怒りとともに最大級の興奮を味わってほしい。

 本書によれば、幽体離脱の方法はとてもかんたんなものらしく、眠りに入る前に、心理的なある儀式を行うだけでいいらしい。その儀式とは「光体法」と呼ばれるもので、自分とそっくりの人形を用意し、次に自分自身がその人形に乗り移った様子と想像する、という言葉だけで聞けば非常に簡単そうなもの。しかし、言うは易し、行うは難し。これをやるには、強いイメージ力と、肉体を十分にリラックスさせる必要があるらしいのだ。

 まずは、そのイメージから。自分とそっくりの人形に、どれくらいの立体感をもたせるかが重要らしいので、その体の隅々、前面から背面までを作り上げ、さらにまとっている衣装や身につけている香水などのイメージも固める必要があるという。とはいっても、そうそう簡単にできることではないので、まずは、起きあがって、1枚の絵を描いてみよう。そしてその絵をもとに粘土でもフィギュアでもなんでもいいので立体物を作り出そう。それでもまだ、イメージがしにくいようなら、等身大の人形もつくるのもいいし、自分でそのイメージする姿を真似てコスプレをしてみるのもいいらしい。とにかく、リアルなイメージづくりが重要なのだ。

 また、幽体離脱するには、そのタイミングも大切らしく、春ぐらいが一番行いやすい季節とのこと。さらに、月の満ち欠けも関係してくるとのことで、満月の前後3日程度がベスト。そのタイミングが訪れたなら、集中を妨げるものはできるだけ排除しておこう。目覚ましが間違って鳴るなんてもってのほか。母親、兄弟、友だち、いればだが彼氏彼女には、その時間に絶対連絡するなと念を押しておこう。

 さあ準備ができれば、あとはイメージするだけ。静寂の中、耳鳴りと金縛りが起こるらしいのだが、とにかく落ち着くようにしよう。30秒もすればおさまるらしいので、また、イメージに戻ろう。そうすれば、自分の体全体が勝手に浮き上がる感覚がするみたいなので、こうなればしめたもの。あとはゆっくりと手足を体から引きはがしていこう。注意しておくのは、目は閉じたまま行うということだけ。目を開けると、離脱が中断されることが多いらしいからだ。体が十分に離れれば、目は自動的に見えるようになるとのことなので、ここはジッと我慢だ。行きたい場所があるなら、このときに、心にその場所のイメージを強く思えば、そこにいけるらしい。さあ、もう後はあなたの思うまま。幽体離脱生活をエンジョイしまくろう。

 なお、『ユウタイノヴァ』によると、幽体離脱中のセックスは、生身でやるものと比較にならないほど気持ちいいらしい。気になるかたは、ぜひ試してみよう。まあ、生身でも幽体離脱中でも、相手がいれば、の話だが。

文=オンダ ヒロ