新海誠みずから執筆の小説『言の葉の庭』が連載スタート!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

言の葉の庭

(C)Makoto Shinkai / CoMix Wave Films

8月6日発売の雑誌『ダ・ヴィンチ』9月号(メディアファクトリー)で、アニメーション監督・新海誠氏による小説『言の葉の庭』の連載がスタートする。

 同作品は、“デジタル時代の映像文学”で世界を魅了する、新海監督が原作・脚本・演出を務める劇場アニメーション『言の葉の庭』の小説版だ。『言の葉の庭』は、靴職人を目指す男子高校生・タカオと、謎めいた年上の女性・ユキノの雨の日だけの逢瀬を描く物語。傑出したビジュアル表現と、迷いながらもそれぞれに前へ進もうとする二人の姿が感動を呼び、すでにBD/DVD/データ発売している現在もなお劇場上映が続き、歴代の新海作品の中で最大のヒット作となっている。

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 その小説版だが、連載第1回から、劇場版では描かれていない“過去のタカオ”についても書かれており、小説オリジナルの登場人物もいるようだ。新海監督は次のようにコメントしている。

「(映画を見た)観客の声を聞いているうちに、ユキノやタカオ、彼らを巡る人々のことをもっと深く知りたいという気持ちが強くなってきます。映画では描かなかったエピソードとエピソードの隙間にどのような風景が広がっていたのか、そこを覗きたくなってきます。
 ですから小説『言の葉の庭』は、複数の人物が語り手となる、映画版よりもずっと広い範囲を描く長編として書くことにしました。二人だけの物語ではなく、タカオの母や伊藤先生や相沢さんも物語の主人公となります。作品を“閉じる”というよりは“開いていく”作業で、ノベライズというより新作を書きはじめているような楽しさのある仕事です。
 『言の葉の庭』というタイトルは、ひとつの場所で“言の葉”という“その人の断片”を交換しあう物語というイメージでつけました。小説『言の葉の庭』は映画よりもずっと多くの“言の葉”が交換されていきます。お読みいただければ、幸せです」

 中編のアニメーション映画としてスタートした『言の葉の庭』。監督自ら「文章的な映像作品」という本作が、いよいよ文章そのものの世界で大きく広がろうとしている。かつて連作短編集『小説・秒速5センチメートル』で小説家としても高く評価された新海監督が、本作ではどのように作品世界を膨らませるのか。映画ファンはもちろん、青春小説を愛する本好きにとっても、見逃せない作品となりそうだ。