「大量のスク水揚げ」報道に騒然! 人はなぜスクール水着に魅かれるのか

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 先日、「奥武島で大量のスク水揚げ」というニュースが流れ、ネット住民たちが騒然となった。アイゴの稚魚である「スク」が沖縄の奥武島で大量に「水揚げ」されたというごく平凡な漁業ニュースに、6000を超えるツイート。記事の発信元の琉球新聞も驚く事態となったのだが、もちろんこれにはトホホな理由がある。

 そう。お察しのとおり、ネット住民の多くがその見出しを「スクール水着」の略語である「スク水」と勘違いしまったのだ。「大量のスクール水着が奥武島に流れ着いたようだぞ!」「野生のスク水か、ゴクリ……」「スクール水着を揚げるとか、奥武島にはなんて紳士的な料理があるんだ」といった妄想発言までが次々飛び出す始末。

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 なんとも、すさまじい勘違いっぷりではあるものの、たしかに「スク水」には、その言葉だけで異常に反応をしてしまうほど熱烈なファンは多い。過去にも『スク水 sukumizu』(青山裕企/一迅社)といった「スク水」にスポットを当てた写真集が人気を博していたり、スマイレージの和田彩花・福田花音が『スマイレージ 2~あやかのん18歳の約束~』(佐藤裕之/ワニブックス)で「スク水」を着用し、大きなお友達を興奮させたり、エロ系では鉄板すぎるほど鉄板なネタであることからもそれは明らかだ。そして最近、スクール水着への偏った愛が具現化したようなマンガまでもが登場した。その名も『すくみズ!』(tugeneko/講談社)。

 このマンガ、そのタイトルからもわかるとおりテーマが「スク水」なのだが、設定がぶっ飛んでいる。

 宮若かほ、北原ひなた、浦添くるみの3人はプールのない学校で、水泳部をつくるという無謀ともとれる挑戦をしだす。そこで彼女たちはまず、職員室にいた先生に相談。その先生が曲者で、「一年間水着で過ごせたらプールを作ってやる」と発言し、3人の女の子たちは、それを真に受けてしまう。以来、なんと彼女たちは学校生活を「スク水」で過ごすことになるのである。いかがだろうかこのぶっ飛んだ設定。授業中も放課後も登下校(これが途中で禁止されるが)も制服ではなく「スク水」で過ごすその姿、そしてわざわざ、女の子たちに個別に「旧型スク水」「新型スク水」「競泳タイプのスク水」とバリエーションをわけて着させているあたり、作者の「スク水」に対する狂気ともいえる愛が感じられる。

 しかし、当たり前というか、学校生活を「スク水」で過ごすことで、彼女たちのまわりにはさまざまな問題が生じる。たとえば、授業中に先生に指され、黒板の前に立ち問題をとくことになった宮若かほ。ただでさえ、クラス全員の視線が集まるシチュエーションのうえ、彼女は「スク水」である。なので、自ずと背中やお尻に視線を感じてしまい羞恥に震えることになるのだ。しかも、先生がいじわるく何度も前に立たせるので、さらなる羞恥を受けることになってしまうのである。先生、グッジョブである。

 また、問題は、彼女たちだけではなく、周囲の人間にも発生する。浦添くるみのクラスでは、彼女の後ろの席に座っている男子が、「スク水」の間から覗く背中に魅了されるあまり、授業に身が入らなくなってしまう。ほかにも、途中で仲間に入った巨乳の大野城けやきの「スク水」に包まれたオッパイをさわりたいがために、土下座する生徒が出現するなど、次々と問題が巻き起こるのだ。

 それにしてもなぜ、こんなぶっ飛んだ作品が生まれるほど、「スク水」は多くの人を惹きつけるのだろうか。露出や密着度なら、ほかの水着のほうが高く、もっとエロく見えるはず。そこでまわりの「スク水」好きに話を聞いてみると、こんな意見がかえってきた。

「切れ込みが浅いのが逆にいい」「露出していればいいというものではない。布のきつさで圧迫され、否応なしに出てくる身体のライン、そしてそれが紺色に包まれているところが最高なのだ」「スク水を着るのは基本的に若い女の子。幼さの象徴としてスク水はある。それを成熟した肉体の女性が着ることにより生じるギャップ。たまらないね」「スク水はいわば、過ぎ去ってしまった夏の思い出。子どものころを思い出し、ノスタルジックさが刺激されるんだ」「最大のポイントは貧乳が似合うこと。成長期を迎えながらも思うように膨らんでいかない肉体に対する少女の不満と不安と絶望がないまぜになり、それがさらにボディラインが圧迫されて出てくるスク水を着用することにより露になるせいで、複雑な美が形成されるんだよ」

 いかがだろうか、「スク水」ひとつとっても、そこにはとても深い「萌え」が隠されているということがわかっていただけたことだろう。「スク水」好きは「奥武島で大量のスク水揚げ」というニュースの件を見る限り、かなりの数がいると思われる。なので、女性の方々は思い切って、海やプールに行くときはビキニやワンピースのような水着ではなく、「スク水」を着用してみてはいかがだろうか。もしかしたら、意中の相手のハートを射止められるかもしれない。ただ、周りの人からの好奇の視線に耐えられれば、の話だが。

文=オンダ ヒロ