話題騒然! 憲法をヤンキー調に訳してみたら、こうなった

政治

2013/8/15

 参院選が自民党の圧勝に終わったことで、さらに注目を集めている憲法改正問題。そんななか、日本国憲法を口語訳した本が大きな話題となっている。

 その本とは、『日本国憲法を口語訳してみたら』(塚田 薫:著、長峯信彦:監修/幻冬舎)。著者が大学3年だったころに2ちゃんねるへ書き込んだものが反響を呼び、ついには憲法学のプロフェッショナルを監修に迎えて書籍として発表するに至ったという1冊だ。

 ネット上でも「これなら読める(笑)」と高評価を集めただけあり、お堅い文章の手本ともいえる憲法がスルスル頭に入ってくるのが、この本の最大の魅力。

 たとえば、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために~」から始まるかの有名な前文も、「俺たちはちゃんとみんなで選んだトップを通じて、俺たちと俺たちのガキと、そのガキのために、世界中の人たちと仲よくして、みんなが好きなことできるようにするよ。――また戦争みたいなひどいことを起こさないって決めて、国の主権は国民にあることを、声を大にしていうぜ。それがこの憲法だ」というカジュアルさ。

 中盤の「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて」の部分も、「俺たちはやっぱ平和がいいと思うし、人間って本質的にはお互いにちゃんとうまくやっていけるようにできてると信じるから、同じように平和であってほしいと思う世界中の人たちを信用するぜ」と、湘南乃風の若旦那のような“意外としっかりした考えを持ってるヤンキー”風味だ。

 では、現在大きな争点となっている「戦争の放棄」を謳った第9条はどんな感じか。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し~」で始まる文章も、ヤンキー風になると、この通り。「俺たちは筋と話し合いで成り立ってる国どうしの平和な状態こそ、大事だと思う。だから国として、武器を持って相手をおどかしたり、直接なぐったり、殺したりはしないよ。もし外国となにかトラブルが起こったとしても、それを暴力で解決することは、もう永久にしない。戦争放棄だ」

 また、つづく第9条2項も、「で、1項で決めた戦争放棄という目的のために軍隊や戦力を持たないし、交戦権も認めないよ。大事なことだから釘さしとくよ」となる。憲法上に「大事なことだから釘さしとくよ」に当たる部分は見当たらないのだが、このひとことを加える必要があるほど、現憲法が“武力放棄”を強く打ち出していることは理解できる。口語訳というか、ヤンキー語がこんなにわかりやすいとは、目から鱗ではないか。

 そうか。だったら論議になっている憲法改正もこのヤンキー語で考えてみたらどうだろう。その是非が少しはわかるかもしれない……ということで、本書にも載っていない、自民党の憲法改正草案を勝手に訳してみた。

 まずは自衛権と国防軍保持を明記し、逃亡やスパイ罪での軍事裁判実施にも言及している9条。
「おれだってドンパチはやりたくねえ。でも、メンツをつぶされたら、そのときは別だ。やるときゃやるよ」(1項)
「一家を構えてたら、兵隊をおくのは当たり前じゃねえか。兵隊が足抜けしたりヒミツ漏らしたら、内々でおとしまえをつけさせてもらうぜ」(2項)

 つづいて、現行憲法には載っていなかった国民の義務と責任を明記した12条。
「自由、自由とかいってけど、誰のおかげでシノギをやれてんだ。渡世の義理ってもんを知らねえのか。この世界、上にさからって生きていけると思うなよ」

 最後は、公の秩序に反する集会・結社・言論の自由を制限した21条。 
「跳ね上がりは許しちゃおかねえ。そんな連中がつるみでもしたら、すぐに東京湾に沈めてやるから覚悟しとけ」

 う~ん。このしっくり感は現行憲法どころじゃないぞ。というか、中身の勇ましさにあおられて、ついついヤンキーを超えて“その筋の人”風に訳してしまった。

 でも、こうやって憲法の条文を自分なりの言葉にしてみると、なんとなくその本質がわかってくるような気がする。あなたも本書を参考に、憲法口語訳にチャレンジしてみてはいかがだろうか。