篤姫カップル―宮崎あおい・堺雅人―再共演! 映画原作者、2人の魅力を語る

公開日:2011/10/5

 突然、うつ病になった夫との闘病生活を、ほのぼのタッチで綴った細川貂々さんのコミックエッセイ『ツレがうつになりまして。』。

「うつ病を明るくマンガに描く」というありそうでなかった試みが見事にあたったこの作品は、続編『その後のツレがうつになりまして。』も含めて一躍ベストセラーになった。

 最初の刊行から5年、「ツレ」さんの発病から7年が経過した今年の秋、おそらく最後の「ツレうつ」本となる『7年目のツレがうつになりまして。』(幻冬舎)が発表された。

 前2作を「世の中で一番不幸な(だと思い込んでいた)僕を、それほど余裕もなかった漫画家の妻が観察して、うっとうしさを少し引いて、ユーモラ スに描いた漫画」と表現するのは、シリーズに描かれた「ツレ」さんご自身だ。つまり、大ヒットしたシリーズは夫婦の物語だった。
 
 新作に描かれているのは、「『ツレうつ』がヒットした裏側で起こっていた出来事、もたらした出会い」らしい。

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 当初は「うつ病の本なんて売れるわけない」と誰もが思っていた。だが蓋を開ければ予想を遙かに超える大ヒット。貂々さんのもとに届いたのは「苦 しんでいたのは自分だけじゃなかった」という患者や家族の共感の声だった。それからは「実は私もうつ病なんです」という告白が相次いだという。
 
 「私が『ツレうつ』を描いたのは、これを読んでうつになる人が減ってほしいと思ったから。でも、ここ数年でメディアが積極的に取り上げてくれるようになったことで、うつ病が普通のことになった気がして。正しく認識されるのはいいことなんだけど、うつ病の人はどんどん増えている気もする。複雑な思いはありますね」

 新たな懸念も生まれたが、大きな喜びもあった。結婚13年目に息子が誕生、そして、10月8日(土)より宮崎あおいさんと堺雅人さん出演で『ツレがうつになりまして。』が映画公開されることになったのだ。

 「まさか毎週夢中になっていた『篤姫』の2人が私たちを演じることになるなんて、夢にも思いませんでした。ツレのうつ病がひどかったとき、同じ大河ドラマ『新撰組!』にハマっていたんですよ。とりわけ堺さん演じる山南敬助に一番感情移入していて、『追い詰められていくこの感じ、すごくわかるよ!』って毎回泣きながら見ていた。だからツレ役が堺雅人さんだと聞いたときは、飛び上がって喜んでいましたね。宮崎あおいさんは実際にお会いして、持って生まれた天性のモノがある人だなあ、とつくづく感じました」

 映画全編に登場する絵日記やマンガにまつわる小道具はほぼ全て貂々さんが手がけた。
さらに、劇中には貂々さん一家もちらりとゲスト出演しているのでお見逃しなく。

(ダ・ヴィンチ10月号 ブックマークEXより)