女子に厳しい!? 恐ろしすぎる地獄トリビア

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 『絵本 地獄―千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵』(白仁成昭、宮次男/風濤社)や『鬼灯の冷徹』(江口夏実/講談社)など、一大ブームを巻き起こした地獄。実はこの地獄、どうやら男女平等な世界ではない、というか、女子だけに厳しすぎるとんでもない男尊女卑の世界だったのだ。そんな衝撃的なエピソードが紹介されているのが、8月7日に発売された『地獄探訪 女子は全員地獄行き!?(泣)』(真野匡:漫画、鷹巣純:監修/朝日新聞出版)。地獄絵研究の鷹巣純先生がガイド役をつとめながら地獄を巡るこの本には、知られざる地獄トリビアが多数紹介されている。

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 死後の世界の入口といえば、まっさきに思い浮かべるのが三途の川だろう。今でこそ三途の川の渡り方は舟のイメージがついているが、そもそもこの三途の川には、軽い罪を犯した人が渡る「山水頼」、重い罪を犯した人が渡る「江深淵」、よいことをした人が濡れずに通れる「有橋渡」という橋の3つの渡り方がある。このことを知っている人は少なくないかもしれないが、実は女性に限ってもうひとつこの川を渡る方法があるのだ。それはなんと、「初めてHした男に背負ってもらい川を渡る」というもの。だから、もし付き合った相手に嘘をついていたら「おまえーっ初めての男はワシじゃろうがー」「いや私のハズだー」なんて言い争いが起こる可能性も。女子にとっての三途の川は、いろんな意味で“スキャンダラスリバー”なのだ。

 また、地獄には136もの種類があると言われているのだが、そのなかには女性専用の地獄もあるそう。それが、「出産や生理の出血を経験した者」が堕ちて1日3回池の血を飲まされる“血盆地獄”と「子どもを産めなかったり産まなかったりした女性」が堕ちる“石女地獄”。石女地獄では、灯心で竹の根を掘る「内職みたいに辛気臭い責め苦」を永遠に味わわされるのだ。……でも、ちょっと待って! これでは、出産してもしなくても、女として生まれただけで地獄に堕ちるのは避けられないってことになる。こんなことで地獄に落とされてしまうなんて、なんだか納得いかない。

 しかし、そんな地獄にもいくつかの救済措置がある。血盆地獄に堕ちた人なら、血盆地獄について説いた「血盆経」を遺族が写経すると、如意輪観音が救ってくれるのだ。また、地獄の総責任者として知られる閻魔王よりも位が上の「上司」に取り入ることで、救済されることも。実は、閻魔王にも如来や菩薩、明王など、頭があがらない「上司」がいる。実際、地蔵菩薩や不動明王と言った「上司」から「うっかり地獄へ堕ちてしまった自分のお寺のお坊さんを現世に戻せ」とか「信者が受ける予定の責め苦を自分に与えろ」と横槍が入ることもあったよう。そのたびに、閻魔王は土下座して上司の要求を丸飲みし、お帰り願っていたというのだ。泣く子も黙る恐怖の閻魔王が土下座なんて驚きだが、こんな裏技があるなら閻魔王も怖くない。

 地獄は、女子にとって想像よりもはるかに厳しい世界だったが、救済措置があるなら大丈夫。女子のみなさんは、家族に「血盆経」を託すか、仏様とのコネを作るために今すぐお参りへ行くべき!?

文=小里樹