「ザクとは違うのだよ、ザクとは」―生活に役立つジオン軍の最強名言集

マンガ・アニメ

2013/8/22

  ガンダムマニア涎垂の1冊が発売された。その名も『ジオン公国軍全発言 一年戦争編』(株式会社レッカ社/PHP研究所)だ。

 タイトル通り、この本には『機動戦士ガンダム』の敵として登場した「ジオン軍」に所属するキャラクターたちのさまざまな言葉が収録されている。

「ザクとは違うのだよ、ザクとは」や「シャア、謀ったな。シャア」といった超有名なセリフから「中割れ、何だいそれ。モビルスーツでも出てくんのか」などの本当にそんなセリフあったっけ? 的なものまで、ジオン軍兵士、将校関係なく、もうありとあらゆるセリフが、画面映像・状況解説付きで紹介されているのだ。

 これさえあれば、ガンダムマニアの念願「あらゆるシーンにガンダムのセリフをもぐり込ませる」ができるはず。さっそくそのシチュエーションとともに考えてみよう。

 まずは『機動戦士ガンダム』第3話「敵の補給艦を叩け!」から、シャアの指揮する戦艦ムサイの補給を担うパプア級補給艦の艦長、ガデムの言葉を引用してみよう。彼は、早く補給を終え、ホワイトベースの追撃に出たいがために「敵は目の前だ。一刻を争う」と若干いらつきながら言い放つシャアに対して、こう言う。「わかっているよ、わしがそんなにのろまかね。歳の割には素早いはずだ」。うん、補給艦の艦長ながらも、歴戦の兵士らしい責任感あふれる、かっこいい言葉である。さて、この言葉がばっちり決まるシチュエーションといえばやはり、会社で窓際族となってしまったときではないだろうか。出世競争からも外れてしまい、席も窓際に追いやられ、年下の部下だった男も今や上司になってしまった。そんな状況で、元部下の上司から、だれでもできるような雑用を頼まれる。しかも冷ややかに「さっさとやってくださいね」という言葉つきだ。そこですかさず「わかっているよ、わしがそんなにのろまかね。歳の割には素早いはずだ」と言い放ってやろう。これにはさすがに相手も面食らうはず。窓際族とて、自分も歴戦の猛者だということを、わからせてやるのだ。

 第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」からは、ジオンの総大将格であるギレンがジオン軍の兵士を鼓舞するために行った演説の中から「あえて言おう、カスであると」を引用してみよう。たとえば、自分の部屋に友人が訪れたとする。その友人は本棚を物色し、ある一冊のマンガをセレクトし、読みはじめる。そこからは目を離して別の作業に没頭するが、友人が飽きたのかこちらに話しかけてくる。目をやると、そこには信じられない光景が広がっていた。なんと、友人は読んでいたページを開いたままマンガを裏返しにして床に置いていたのである。なんてこったい、しかもそのマンガはよりにもよって初版本ではないか。さっそく友人に猛抗議をするが、「別にいいじゃんそんなの」と気にするそぶりもない。そこでギレンの言葉を、声高々に発しよう「あえて言おう、カスであると」と。そうすれば友人も、自分の過ちに、その愚行に気づくはずである。たぶん。

 「嘘じゃないさ。は、半分は嘘じゃない」。第28話「大西洋、血に染めて」において、ジオンのスパイとしてホワイトベースに乗り込んだミハルがカイに見つかり、「あんたについて行きたかった」と嘘をついてしまうのだが、カイに見破られ、口をついた言葉である。この言葉が使えるシチュエーションといえば、ちょっと苦手な人に遊びを誘われ「行けたら行くわ」と返すものの、「それ、絶対こないときに言う文句じゃん」とツッコミを入れられたときだろう。相手が言い終わるやいなや、「嘘じゃないさ。は、半分は嘘じゃない」と言い放ち、相手が呆然としている隙に、そそくさとその場を立ち去ろう。もちろん、その約束を守るか守らないかはあなた次第だ。

 第41話「光る宇宙」で、ララァのエルメスと、アムロのガンダムが対峙しニュータイプ同士の共鳴する意識のなかで、ララァが言った「なぜ、なぜなの。なぜあなたはこうも戦えるの。あなたには守るべき人も、守るべきものもないというのに」という言葉も使いようがある。たとえば、独身貴族の知人がいたとする。その知人は少ないであろう給料をやりくりし、オシャレな服やインテリアを揃えている。そのさまは見ていて必死としか言いようがない。そんなときは、知人の肩にそっと手を置き、ララァの言葉を聞かせてみてほしい。もしかしたらぶん殴られるかもしれないが、そのときはそのときでアムロの名セリフ「殴ったね、親父にもぶたれたことないのに!」が言えるので、ガンダムマニアとしては、おいしいことに変わりはないだろう。

 最後はこのセリフが妥当だろう。第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」において、80パーセントしか完成していないと聞かされ、実際に格納庫で足がついていないジオングを見たシャアが「足はついていない」と呟き、それを聞いたジオン軍の名も無き技術士官が放った言葉「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」である。創業者一族が実権をにぎる会社に、社長の孫が入社してきたとする。あれよあれよという間に自分以上に出世していき、管理職のポジションにつくのだが、実力が伴っていないため、指示は的外れのものばかり。次第にだれも頼りにしなくなったころ、あなたは新たな取引先を見つける。頼りにならないとはいえ、直属の上司であることには変わりないので、社長の孫と一緒に取引先へ挨拶にいく。その後、担当とふたりきりになったときに、おそらく話のネタとして「上司の方、非常にお若いですね」とふられるだろうから、そのときは待ってましたとばかりに「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」と皮肉たっぷりにつぶやこう。担当者がわかっている人なら、あなたのささやかな反抗を温かく受け入れてくれるだろう。

 さまざまなシチュエーションを紹介したが、いかがだっただろうか。あとはあなた自身の手で、状況やタイミングを見極めつつ創意工夫をしながら、ジオン軍のセリフを日常生活にガンガン取り入れていってほしい。

 ただし、少しでも使い方を誤れば、一年戦争に負けたジオン軍のごとく、社会から排他されてしまうので、注意しておくように。