熱中症より心配? 夏の“冷え”に要注意!

健康

公開日:2013/8/22

 今年は、高知県四万十市で国内観測史上最高の41度を記録するなど、日本各地で連日猛暑が続いている。そのため、テレビでも熱中症対策がしきりに取り上げられるが、夏に気を付けるべき意外なものが、もうひとつある。それが、“冷え”だ。暑さのため、冷たい飲み物を飲んだり、冷房の効きすぎた室内で過ごすことが増えるので、夏は知らず知らずのうちに体が冷えてしまいやすい。そこで『長生きしたけりゃ、腸は冷やすな 老い、がん予防に効く! 温める腸健康法』(主婦の友社)から、夏の冷えの恐ろしさと対策を紹介しよう。

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 まず、夏の冷えと聞いて「あー冷たいものを飲んだり食べたりしすぎるから…」と思った人もいるかも。たしかに、かき氷や冷たいビールで腸が冷えることもあるが、それで何時間も腸が冷やされ続けるということはない。実は、それよりも怖いのが「外気との温度差」なのだ。作者である松生恒夫氏のクリニックでは、10℃以上の急激な気温差があると「便秘の患者さんが約3倍に増える」というデータも出ている。なかには冷え対策としてカーディガンを持ち歩く人もいるが、羽織っただけで前を留めなければ腸は温められないので意味がない。むしろカーディガンを1枚羽織るより、「フェイスタオルでいいからおなかに直接当てるように巻いて、その上から手を当てて」あげた方がいいそう。肌寒いと感じたら、肩や手足よりも先にお腹を温める癖をつけた方がいいかも。

 しかし、そもそも腸を冷やすといったいどんなことが起こるのだろうか。先に述べたように、便秘になるのはもちろん、腸を冷やすとおなかの張り、食欲不振、肌荒れ、頭痛、肩こり、痔、そして大腸ガンの原因にもなるという。腸が冷えるとぜん動運動が弱まり、便がなかなか排出されなかったり、お腹にガスがたまった状態が続く。その結果、体臭も臭くなるし、むくみや冷え、肥満、メタボの原因にもなるので、ますます悪循環に陥る。さらに、体を冷やすとウイルスや病原体を排除する「腸管免疫」が低下して、花粉症やアレルギー性皮膚炎になる可能性も高まるし、他の病気にもかかりやすい体になってしまうというのだ。「たんなる冷え」と思って甘く見ていると、痛い目にあいそう。

 そうならないためにも、腸を温めるにはどうすればいいのだろうか。腸を温めるなら、温かいものを食べたり飲んだりすればいいと思うかもしれないが、温かいものならなんでもいいわけではない。漢方の世界では、「緑茶」や「コーヒー」は体を冷やす飲み物として知られているし、温かいものを飲んでも、「胃の中が温まるのは、せいぜい30分」なんだそう。その点、いろんな種類のスパイスが入ったカレーはまさに「最高の腸温めメニュー」らしく、市販のルーではなくスパイスから手作りするとより効果があるらしい。他にも、ココアにエキストラ・バージン・オリーブオイルを加えた「オリーブ・ココア」や「シナモン・ジンジャー・ティー」も冷えや便秘改善に効くそうだ。

 腸温めメニューを食べ、熱中症対策だけでなく、冷え対策も万全にして、残りの夏を乗り越えよう。

文=小里樹