バイトテロ延焼中―ネットを炎上させる“けしからん”な人たち

社会

2013/8/30

 連日、飲食店やコンビニでの“奇行”を撮影した画像がネットに投稿される事件が後を絶たない。つい先日も、「ピザーラ」の従業員がシンクや冷蔵庫に入った写真をネットに投稿。ピザーラを運営するフォーシーズが謝罪する事態となった。

 一連の事件の発端は、「ローソン」店内でアイスクリームの冷蔵ケースの中に従業員が入って寝転がる様子がFacebookに投稿されたことだ。以降、飲食店舗内の冷蔵庫に入る者、床に転がった大量のハンバーガー用バンズの上に寝そべる者、商品である冷凍ソーセージをくわえる者………。模倣犯は次々に登場し、そのたびに店舗が謝罪対応に追われるケースが相次いでいる。

 いまや「バカ発見器」と揶揄されるTwitterやFacebookなどのSNS。今回のような騒動が起こるたびに、ネット上では「またバカ見つけたメシウマwwwwwwwww」「日本オワタヽ(^o^)/」「ゆとりは採用したらアカンな」など、炎上騒ぎとなっている。迷惑なイタズラで世間に恥をさらす当事者自身がバカなのは、言うまでもない。しかし、これほどまでにくだらない奇行をいちいちネットで見つけてきては、“けしからん”と一斉に叩き上げ、炎上させる。その騒動に加担するネット民たちこそ、ある意味よっぽど…。“炎上”を好む彼らの心理とは、一体…?

 ニュースサイト編集者でライターの中川淳一郎氏は、著書『ウェブを炎上させるイタい人たち 面妖なネット原理主義者の「いなし方」』(宝島社)の中で、ネット炎上についてこう述べている。

「本来抗議というものは、『実害を受けた人』が『実害を引き起こした人』に対して行うべきものなのだが、ネット上では当件とは無関係な暇人が正義感という名の妙な大義名分を振りかざし、群衆のネガティブコメントをさらに引き出すべくネットの各所から情報を引っ張り出し、標的となった人を攻め続ける。これを『祭り』と呼び、彼らにとってはもはや“いじめという名の娯楽”である。そして、次の『祭り』が発生しないかどうかをその暇な時間を活用してはチェックしているのである」。

 今回の一連の騒動も、まさに「祭り」そのもの。未成年が飲酒や喫煙をしている様子を投稿した書き込みを見つけては、まるで自分が警察官かのようにそれらを摘発し、当事者を追い込む行為も「祭り」と呼んでいい例だろう。本当に、どこからその投稿を見つけてくるのか感心するばかりである。

 中川氏はネットの現状を「人のふり見て我がふり直せ」ではなく、「人のふり見てそいつをさらに追い込め」に変わったと分析している。当事者と直接顔を合わせる必要のないネット上では、いくら汚い言葉で他者を罵倒しようとも、自分が追い込まれることはないのだ。散々他人を叩いておいて、都合が悪くなったら、自らのアカウントを削除して逃げれば済むのである。

 本書では、炎上を誘発する人のタイプをいくつかに分類している。詳しい分類は本書で確認してほしいが、特に厄介なのは「頭を良く見せたい型」だろう。このタイプは、「遅ればせながら参戦」「さーて、そろそろこの件についても語っておくか」などと、自分を論客のように扱うのが特徴だ。そして、彼らがコメントしたブログをブックマークしたりリンクを張る人が続出し、どうでもいい問題に関するどうでもいい意見が増殖していく。具体例として2009年に起きた吉本ばなな氏の炎上騒動を例に挙げているが、これが非常に興味深い。

 不用意な発言は第三者を通じてあっという間に拡散し、多くの批判を生み出すのがオチだ。中川氏は一貫して「ネットはバカと暇人のもの」と指摘する。しかし、炎上させるようなネット民たちは自分の行動を正義と信じて疑わない。騒動の根幹にあるのは、彼らのくすぶる自意識なのかもしれない。

取材・文=岡田圭