逆に体がカタくなる!? ほんとはヤバいストレッチに要注意!

健康

更新日:2020/9/9

 健康ブームのなか、その手軽さから高い人気を集めているストレッチ。自分の身体だけ使ってオーソドックスなストレッチに加え、最近は「カーヴィーダンス」で有名な樫木裕実や、女優の井川遥などが絶賛する「ウェーブストレッチ」、元日本代表の中村俊輔が行っていたという「ストレッチポール」など、道具を使った新しいストレッチ法がどんどん生み出されている。ストレッチを専門にした教室も開校されたり、『きょうのストレッチ』(中野ジェームズ修一:監修、榎本タイキ:イラスト/ポプラ社)や『弱った体がよみがえる 人体力学』(井本邦昭/高橋書店)などのストレッチ本もロングセラーとなっており、まだまだこのストレッチ人気は続きそう。

 しかし、「やってるけど効果が出ない」「身体が柔らかくならない」と不思議に思っている人もけっこういるのではないだろうか。そんな人は要注意。実は、あたかも効果があるかのように世間に広まっていながら、身体へ害をなす、ヤバいストレッチ方法が蔓延しているのだ。

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 ひとまず、扇形に足を開いて、上半身を床につけるストレッチをしてみよう。「ウッ、痛てて。あーでも効く効く~」と、内股の筋が伸びてる感じがするはずだ。はいストップ。実はコレ、ヤバいストレッチの最たる例なのだ! いまこの瞬間「まじかよ!」とショックを受けた人。そう、あなたたちだ。きっと当たり前に限界ギリギリまで身体を伸ばしていたはずだろう。なぜこれがヤバいのか。『やってはいけないストレッチ』(坂詰真二/青春出版社)によれば、筋肉というのはリラックスしてこそ伸びるもので、痛みが生じると筋肉が緊張してかえって身体が硬くなってしまうのだそう。さらに、この痛みのレベルは「痛気持ちいい」ぐらいでもアウト。痛みに耐えながら「ここにストレッチパワーが溜まってきただろう!」と、ストレッチマンよろしく開脚や前屈にいそしんできた方々は全くの無駄、それどころか損してたわけだ。

 ヤバいストレッチの例はまだまだある。たとえば、朝イチの柔軟体操。本書によると、起きたての身体は体温が低く、筋肉もこわばっているため、最もストレッチに不向きな時間だという。やっていた人はもれなく、寝起きの身体をほぐしていたつもりが、身体を痛めつけていたということになる。本当に効果的なストレッチは朝ではなく体温の高い日中に行うとよいそうなので、たとえば出勤前やお昼休みなんかにすると、いままで感じられなかった効果が出てくるかもしれない。

 ほかにも、背筋を伸ばすストレッチ。「う~ん伸びてる伸びてる」と背筋を意識するのもマズい。使っている筋肉を意識するのは筋トレのときに重要だが、むしろ筋肉の脱力が必要なストレッチの場合、伸ばしている筋肉とは逆の部分、この場合だと腹筋に意識を集中させなければならないと本書は説く。つまり意識すればするほど筋肉は緊張するのだそう。なんてアガリ症なんだと突っ込みを入れたくなるが、これからは伸ばす筋肉のことは一切考えず、無の境地でストレッチにのぞもう。

 さらに、ダイエットのためにストレッチをしている人。なかなか痩せなくて~と思ったことはないだろうか。それもそのはず、なんとストレッチにはダイエット効果がないのだ。どんなにストレッチをしても脂肪が燃えることはないという衝撃の事実が、本書には書かれている。ストレッチの効果は筋肉を柔らかくして身体の柔軟性を高める、ということに尽きるため、エネルギー消費量は安静時のたった20%程度しか増加しないとか。ウォーキングや自転車などの有酸素運動は安静時と比べて400~1000%ものエネルギー消費量になるらしいので、痩せたい人は、しっかりと身体を動かす運動をするしかないよう。

 いかがだったろうか。もうストレッチの何も信じられない! と疑心暗鬼になってしまうかもしれないが、正しい方法でさえ行えば、身体にはきちんと効果が現れる。くれぐれも間違った認識と、ヤバいストレッチ方法で身体が硬くならないよう、ご注意を!

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