安達祐実や元オセロ中島も脱いだけど…、最近のヌード写真集事情

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更新日:2018/12/28

『私生活』(安達祐実、桑島智輝:写真/集英社)

 9月、安達祐実が発表した写真集『私生活』(桑島智輝:写真/集英社)が、にわかに波紋を呼んでいる。芸能生活30周年を迎え、安達が「強い決意を持って自ら企画/制作に取り組んだ」といわれる本作。撮影は約2年に及んだそうで、ご存じのとおり、セミヌードを含む作り込まれたショットと、撮影現場や自宅などの日常ショットを織り交ぜて構成されている。ただ、中途半端なヌードに不満の声は上がるわ、カメラマンとの熱愛疑惑は出るわと、残念な結果を呼んでいるのだ。

 ヌードと日常シーンを組み合わせた構成は、1997年に刊行された菅野美穂の『NUDITY』(インディペンデンス)を想起させる。翌年に菅野は、ヌードになった理由を「すごく不安定で」「何をしていいかわからなかったから、いちばん自分がやりたくないことをやってみようとした」「これから女優をやっていこうと思っている中で、あの経験はほんとうに貴重だったと思う」(『定本 菅野美穂』/集英社)と語っている。

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 過去、女優たちが「ヌード写真集によって一皮むける」というのは、ある種の定説だった。ヘアヌードまではいかずとも、ヌードを披露して新しい自分を見せようとした有名人は星の数ほどいるし、同じく9月に元オセロ・中島知子が『幕間 MAKUAI』(西田幸樹:写真/講談社)というヘアヌード写真集をリリースしたのも、女優として返り咲こうとしているためだろう。だが、考えてみると、以前に比べてヌード写真集の刊行数は減っていないだろうか?

 この疑問に「確かに、10年ほど前に比べるとヌード写真集の刊行点数はかなり少ないですね」と答えてくれたのは、アダルト関連商品の広報を行う、プランドールの平鍋宗孝さんだ。

 「そもそも、ヌード写真集、特にヘアヌード写真集が市民権を得たのは、宮沢りえの『Santa Fe』(朝日出版社)。91年に出版されるや否や150万部を売り上げた、篠山紀信撮影の言わずと知れたベストセラーです。当時は、ヌード写真集が本屋の目立つ位置に堂々と平積みされ、だれもが手に取れる場所にあったんですよね…」

 『Santa Fe』以降、タレントや女優たちは次々とヘアヌードを披露し始める。たとえば、同じく91年には樋口可南子の『water fruit』(朝日出版社)、島田陽子の『キール・ロワイヤル』(竹書房)、93年には川島なお美の『WOMAN』(ワニブックス)、95年には高岡早紀の『one,two,three』(ぶんか社)。女流将士の林葉直子が『CONFESSION 告白』(竹書房)を発売したのも95年。いわゆる、ヘアヌードブームの到来だ。

 さらに96年には、発売直後に回収騒ぎのあった藤田朋子の『遠野物語』(風雅書房)、99年 にはスキンヘッドでヘアヌードを披露した井上晴美の『LIVE』(幻冬舎)…と、数え上げれば枚挙にいとまがない。ほかにも、荻野目慶子や葉月里緒奈、小松千春、小島聖、原千晶、松坂慶子など、かなり豪華な顔ぶれが惜しげもなく服を脱ぎ捨て、カメラの前に立った。しかし、「ここ10年ほどで、経費が切迫すると同時に需要も減少。ヌード写真集は、刊行されなくなっていった」と平鍋さんは話す。

 では、起死回生を狙う女優やタレントはどこへ行ったのだろうか? 平鍋さんいわく、昨今の一発逆転の場はAV。わかりやすいのが、元・パイレーツの西本はるかや吉野公佳、鈴木早智子などを擁するMUTEKIレーベルだ。奇しくも、キャスト一覧にはヘアヌードブーム黎明期に名をあげた島田陽子、小松千春も名を連ねている。

 とはいえ、いまヌード写真集市場が盛り返しを見せているのも事実らしい。「実は1年ほどの間で、ヌード写真集がコンスタントに出版されるようになった」というのだ。大黒柱は、芸能人ではない。“単体”と呼ばれる、名前だけで作品の売れるAV女優たちだ。

 実際に、9月には森ななこの『妻恋ごっこ』(双葉社)、木下あずみの『AS SOON AS…』(同)、紗倉まなの『まなんち。』(徳間書店)などが刊行されている。MAXINGやホットエンターテイメントなどのAVレーベルに至っては、なんとKindle版のみで100ページ以上のヌード写真集を月に数冊、リリースしている。もはや、芸能人にヌードになってもらうお金もなければ、紙を刷っているお金もない、といったところなのだろうか。

文=有馬ゆえ