政府がコミュ症改善に乗り出す!? その対策の中身と効果は?

マンガ

更新日:2013/9/26

 人とうまくコミュニケーションが取れない。そんなコミュ障の人が増加しているようだが、その改善に政府が乗り出したらどうなるのだろう?

 9月10日に発売された小説『リペットと僕』(松下彩季:著、春藤佳奈:イラスト/アスキー・メディアワークス)は、政府に「他者とのコミュニケーションに問題あり」なコミュニケーション不全症候群=コミュ症と認定された人の元に、様々な動物の遺伝子をかけあわせた愛らしい生物「リペット」が送られてくる……という物語。そのリペットとは一体どんなもので、どんなふうにコミュ症を改善してくれるのだろうか?

 まず、コミュ症と診断されたらひとりにつき1体のリペットが無償で支給される。そして、彼らはオーサーと呼ばれ、リペットを保護する義務を負わされるのだ。だから、コミュ症と診断された主人公の引きこもり・相田颯太にも、ネコ耳しっぽ付きのオモカゲというリペットが送られてくる。もし飼育を放棄したら、最高で無期懲役。しかも、その飼育にかかる費用もすべて自分で負担しなければならない。勝手に「あなたはコミュ症です」と診断してリペットを送りつけ、コミュ症改善してやるから3年間世話をしろなんてありがた迷惑な話だ。

 また、リペットは人の言葉を理解できるし、なかには人の言葉を話せるものもいるが、見た目だけは一目でリペットだとわかる外見が基本になっているそう。だから、リペットを連れ歩いていると「自分はコミュ症ですよ」と宣言しているようなものなので、余計人と接したり、外に出たくなくなりそうな気もする。でも、そこはちゃんと考えられているよう。「異常なほどに日本人の好むかわいい要素ばっかりでデザインされてる」ので、むしろ「見せてもらってもいい?」「触らせてもらってもいい?」と声をかけてくる人の方が多いらしく、コミュニケーションのツールになるのだ。

 そして、「オーサーがリペットを撫でる」「オーサーがリペットを入浴させる」といったように、リペットと触れ合うことでレベルが上がっていく。本来なら、まだ幼いリペットを育てるなかで愛情を注いだり、他者とのコミュニケーション能力を身につけながら一緒に成長していくもの。しかし、颯太のもとにやってきたオモカゲは不良品のリペットだったので、はじめから下ネタ大好きなおっさんキャラだったのだ。それに、よれよれのトレンチコートを着て無精ひげを生やした彼を、かわいいと思える人はなかなかいないだろう。だから、彼は「…ごめんなぁ。俺がもう少しかわいかったら」とか「目ぇつぶって撫でたら、わりとネコだと思うよ? な?」と言いながらまずは自分の頭を撫でるところから始めさせる。でも、オモカゲはレベルアップのためだけに命令したり、何かを無理やりやらせるわけではない。雨戸を開けて布団を干す。隣人に自分から挨拶をする。太陽の光を浴びて、どうにか目を逸らさず立つ。普通の人からすればなんてことないことでも、それだけでオモカゲは微笑んでくれるし、颯太の指先を握りしめてくれていたりもするのだ。たとえ人ではなくリペットだったとしても、誰かが、何かがそばにいてくれる。1人じゃないというだけで、できるようになることはきっとたくさんある。

 でも、できれば本当に政府が動き出す前に、コミュ症の改善を図りたいものだ。

文=小里樹