はたしてその違いとは!! 「時刻表」に2種類あるって知ってました?

社会

2013/10/1

 行楽や出張といった長距離移動の予定を立てる際も、パソコンやスマートフォンの経路検索サービスを使うことが圧倒的に増えた昨今。ここ数年、印刷物としての「時刻表」に触れる機会が、まったくなかったという人も結構いるのではないだろうか? 実際、ネットの普及により時刻表の発行部数はかなり落ち込んでおり、1980年代には毎月200万部を誇ったという『JTB時刻表』(JTBパブリッシング)も、現在は十数万部程度の発行部数。対する『JR時刻表』(交通新聞社)も、ほぼ同様の状態に…。

 と、ここまで読んで「時刻表って2種類あるのか?」と気付いた人も多いはず。そう、いわゆる「時刻表(全国版)」には、「JTB版」と「JR版」の2種類が存在するのです。名前の通り、現在JRの公式時刻表となっているのはJR版。とはいえ、その歴史はJTB版のほうが古く、創刊はなんと1925年(大正14年)。国鉄が民営化されるまでは、こちらが国鉄監修の公式版だったのだ。ちなみにJR版が公式となったのは1987年のこと。それまでは書店や駅売店でもJTB版のほうが目立っていたため、一定の年齢以上の世代には、JTB版のほうがよりなじみ深い存在となっているようだ。

 で、気になる両者の違いなのだが…。結論から言えば“時刻表”という実用面での違いは九分九厘なし! 価格も同じなので、どちらを買ったほうがオトクということもない。

 ただし細かく読み比べていくと、どちらもユニークかつ甲乙つけがたい魅力を競い合っていることがわかる。中でも目立つ違いとなるのが、JR版は時刻表本編が2色刷りとなっている点。特急や急行が赤字で記載されているので、パッと見で探しやすいというメリットがある。とはいえ、JTB版も1色刷りのハンデを克服すべく、特急の時刻が記載された枠の右側を太線にするといった工夫をこらしており、探しやすさという点で負けてはいない。

 一方、JTB版ならではの魅力といえるのが、小口(コグチ・冊子の外側の余白)に設けられた「グッたいむ」という読者の1行投稿コーナーだ。鉄道に関する小ネタや感想が寄せられているだけでなく、投稿者同士が号をまたいで会話をするなど、ちょっとしたコミュニケーションスペースとなっている点が微笑ましい。JR版にも読者投稿のスペースはあるが、どちらかといえばJTB版のほうが固定読者にフレンドリーな傾向があるように見受けられる。

 その他、路線の掲載順、詳細な構内図を紹介した駅の数や場所、JR以外の鉄道や高速バスといった交通手段をサポートする範囲など、細かな違いがあるものの、トータルでどちらが優れているまでは言い切れない2つの時刻表。結局は使う人の好みで選ぶほかないようだ。ただ、ひとつだけ言えるのは、冊子の時刻表には、経路検索サービスではわからない情報がたくさん掲載されているということ。お得な回数券や割引きっぷに関する情報は、経路検索サービスではフォローされていない場合がほとんどだし、季節限定の特別列車に関する情報から、旅のプランを立ててみるといった楽しみも、時刻表を眺めてこそ。鉄道ファンならずとも、たまには時刻表に触れてみてはいかがだろうか? そこに、意外な発見がきっとあるはず!

文=石井鉄郎