妖マンガの決定版!妖魔と青年・律の出会いの物語

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2013/10/4

『百鬼夜行抄』が今、盛り上がっている。1995年の連載開始当初から大人気作品なわけだが、とくにこの10月はすごいのである。
まず、10月12日発売の『Nemuki+11月号』で連載100話を達成。8日には待望の最新22巻も発売。そして、今市子もデビュー20周年だ。
それを記念して、特装版やサイン会など楽しみな企画もいっぱい。本誌も『百鬼夜行抄』の魅力を、あらためてたっぷりご紹介したい。

律と妖魔の澄んだ心
そして家族の歴史に触れる

(c)今 市子/朝日新聞出版

 言うまでもなく『百鬼夜行抄』は妖マンガの最高峰の一つだ。連載18年にして、ついに連載100話を達成。もちろんマンネリズムとはほど遠く、今市子の描く世界はつねに美しく濃密だ。

 妖魔を見、その心を感じることのできる青年・飯嶋律。さまざまな妖魔と彼の出会いがこの作品の主軸だ。なぜ妖魔はそこにいるのか? 何を求めて嘆くのか? そして何を愛するのか? 恐ろしいホラー、巧妙なミステリー、ときに喜劇……物語は多彩に展開する。

 律は強い霊力を持つが、妖魔を退治するわけではない。探偵でもない。むしろ優れた観察者だ。彼の眼と心はとても澄んでいる。彼に触れることで、妖魔の心も澄んでいく。同時に、私たちの心も開かれる。律と妖魔に自然に寄り添い、物語に深く耽溺するのだ。

 でも妖マンガは少し苦手、そんな方もいるだろう。しかし、ご安心を。『百鬼夜行抄』にはもう一つ大切な主題がある。それは“家族”、すなわち律と飯嶋家の人々の人生だ。律がその霊力を受け継いだ亡き祖父・蝸牛、おおらかで明るい祖母と母、美人で酒豪のいとこの司、失踪した謎の伯父……。飯嶋家はなかなかの大家族だ。祖母はなぜ蝸牛と結婚したのか、伯父は生きているのか、律の将来は? 一人一人に歴史があり、抱えているものがある。それが長い連載を通して、とぎれることなく静かに語られる。私たちは、飯嶋家の人々とともに人生を歩んでいるかのような快い錯覚を覚える。

 妖魔との出会いという横糸と“ファミリーヒストリー”ともいえる縦糸。『百鬼夜行抄』はその二つが複雑に、しかし気持ちのいい規則性を持って紡ぎ出す、極上の絹織物のような物語なのだ。

飯嶋家の人々+α

律


連載開始時は高校生で、現在大学生。祖父・蝸牛の血を濃く受け継ぎ、強い霊力を持つ。いつも妖魔が寄ってくるが、退治したりはできない。幼い頃は、魔をよけるために女の子の格好をしていた。

青嵐

青嵐
律の父・孝弘の体に入っている龍の姿をした妖魔。蝸牛から姿と名をもらい、仕えていた。彼の命で、護法神として律の生命を妖魔から守護している。大食らいで妖魔を食べる。

蝸牛

蝸牛(かぎゅう)
律の祖父で、律が5歳のときに亡くなった。怪奇小説家で蝸牛はペンネーム。本名は伶。両親は幼い頃他界し、水脈(みを)という姉が一人いる。非常に強い霊力を持ち、妖魔を使役できた。

司


律のいとこで大学生。父は蝸牛の長男だが、彼は飯嶋家を気味悪がり寄り付かない。律ほどではないが霊力を持ち、彼と仲が良い。度々、妖魔がらみの厄介ごとに律とともに巻き込まれる。酒豪。

尾白&尾黒

尾白&尾黒
飯嶋家の桜の木に棲んでいる妖魔。自主的に律を主人と仰いでいる。昼間は力が衰えるので、小鳥の姿をしている。司を「姫」と呼び、いつも彼女のために酒宴を催す。尾白がメス、尾黒はオス。

 

百鬼夜行抄22巻通常版カバー

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百鬼夜行抄22巻特装版カバー

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10月8日発売
『百鬼夜行抄』22巻
今市子 朝日新聞出版Nemuki+C 
通常版 798円

妖魔が見えるが、ほかの力は持たない主人公・律。日々、妖魔が起こす厄介ごとに巻き込まれ命の危険を感じることもしばしば。青嵐や尾白と尾黒、司たちの助けを借りながら乗り切っていく。祖父・蝸牛と祖母の結婚秘話や失踪した伯父の謎も次第に明らかに。

同時発売
『百鬼夜行抄』22巻
特装版 1260円

特装版には、萩尾望都、夢枕獏、三浦しをん、さらに今市子自身が選んだベストセレクションがセットに。