『半沢直樹』にハマった人におすすめの傑作お仕事小説

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 「今でしょ!」「じぇじぇじぇ!」に匹敵する勢いで世間に浸透した「倍返しだ!」。そのネタ元でもあり、圧倒的な支持を受けたTVドラマ『半沢直樹』は原作小説もシリーズ最新刊が発売されたこともあり大ヒット。お仕事小説は、今や文芸シーンに欠かせないジャンルとなった。『ダ・ヴィンチ』11月号では、仕事でミスしてへこんでいる男性も、最近ツイてないなぁと思っている女性も、読めば「きっと明日は、いいことがある」と感じられるお仕事小説を特集。ここでは同誌で紹介されているうちの7冊を紹介する。

『半沢直樹』が終わって、日曜の夜になんとなくぽっかりしている、そんな人にもぴったりの1冊が見つかるかも?

advertisement

【読んだあと、スッキリ元気になれる本】

■『ビア・ボーイ』 吉村喜彦 PHP文芸文庫 720円
ビール会社の花形・宣伝部にいた上杉は、素行の悪さから、広島へ異動。ここは業界トップメーカーにシェアを席巻され、地を這うような営業を続けている場所。しかも赴任早々、彼は大失敗をやらかして。果たして上杉の運命は? 本社へ戻れるのか。

■『タイニー・タイニー・ハッピー』 飛鳥井千砂 角川文庫 660円
舞台は“小さな幸せ”という意味をもつショッピングセンター、略して「タニハピ」。ここで働く8人が、仕事に恋に、結婚に……、悩み、格闘し、交錯する物語。どこにでもありそうな日常、けれどあったかくて、じんわり。“そうそう”とうなずける8本の連作短編集。

■『株式会社ネバーラ北関東支社』 瀧羽麻子 幻冬舎文庫 560円
弥生は、地方にある納豆メーカーに転職した。東京で恋に破れ、仕事にも疲れ果て、癒やしを求めて田舎に逃げてきたのだ。のんびり、ゆったり。そんな毎日だったのに、会社の乗っ取り話が持ち上がり……。弥生の日常が、にわかに騒がしくなっていく。

■『被取締役(とりしまられやく)新入社員』 安藤祐介 講談社文庫 630円
鈴木信男は筋金入りのダメ人間。観光気分で受けた一流広告会社に、ひょんなことから採用される。彼に与えられた仕事は、“ひとりいじめられっこ政策”のトリシマラレ役。主な業務は、制作局のエリート社員の“ストレスのはけ口”だったのだが物語は意外な方向へ展開し……。

【働くことの意味を知る、お仕事小説】

■『空飛ぶタイヤ』(上・下) 池井戸 潤 講談社文庫 各680円
走行中の大型トレーラーのタイヤが外れ死亡事故に。事故を起こした運送会社社長の赤松徳郎は、独自に調査を始めた。彼はトレーラー自体に疑いを持ち、家族、社員、仕事に対する矜持のために大手メーカーに決死の戦いを挑む。

■『小説ヤマト運輸』 高杉 良 新潮文庫 620円
主人公は、宅急便をつくった小倉昌男。本書には、同社がいかにして新しい物流システムを確立したか。国家権力・運輸省、郵政省、そして、いかなる手を使っても同社を貶めようとした競合会社とどう闘ったか。その生き様、革新し続けた男のすべてが描かれている。

■『ガラスの巨塔』 今井 彰 幻冬舎文庫 760円
公共放送局の三流部署のディレクターだった西悟は、ある番組がきっかけで、のし上がり、国民的番組「チャレンジX」を手がけるようになる。同番組は常に高視聴率をたたき出していたがその裏では嫉妬、妨害、野望が渦巻き、西は窮地に立たされることになる。

(『ダ・ヴィンチ』11月号「文庫ダ・ヴィンチ」より)