住宅リフォームから下着まで……消費税アップで売れるもの、売れないもの

経済

公開日:2013/10/18

 いま、大きな関心事となっている消費税の増税問題。来年4月に8%に、さらに2015年10月には10%に引き上げられる予定だ。消費者としては「増税前に何を買ったらいいのか」と悩むものだが、逆に商売を行うビジネスパーソンにとっては、「何が売れるのか」を見極めるのも難しいところである。果たして、消費税アップを前に駆け込みで売れる商品とはどんなものなのか。10月2日に発売された『消費税アップを逆手にとる販促テクニック』(竹内謙礼/双葉社)から紹介しよう。

 当然のことながら、駆け込み需要で売れるものは“高額の商品”である。過去の消費税導入・税率アップ時に売れた物をリサーチした結果、“鉄板”で駆け込み需要が発生するのは、「住宅」、「家具」、「家電」、「自動車」、「高級酒」、「高級時計・宝飾品」、「高級ブランド品」、「紳士服」、「ゴルフ用品」、「パソコン」であるという。

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 もちろん、家が売れるということは、引っ越しも増えるし、家具も売れる。実際、1997年の消費税アップのときには、家具の産地である福岡県大川市では家具類の在庫がなくなり、さらには配送のためのトラックまでなくなってしまったという。また同様に外壁塗装や増改築などのリフォーム事業も依頼が増えるサービスといえる。

 一方、売れないと思われがちなのが、低額の商品。食品や雑貨、アパレルや外食産業、日用品などは、“増税による価格差が広がりにくい”ため、駆け込み需要があまり期待できないように感じる。

 だが、リサーチによると、「米・麺」、「乾物・のり」、「珈琲・缶ジュース・水」、「アルコール類」、「調味料」、「トイレットペーパー・ティッシュペーパー」、「歯磨き粉・洗剤・シャンプー」、「食品包装用ラップ」、「夏物衣類・靴・肌着・下着」、「新幹線切符」、「会員ビジネス」などの商品は駆け込み需要で活発に動くことが予想できるらしい。とはいえ、これらの商品は「いつでも買えるものだから、いまはいいや」と思う客が多いのも事実。だが、たとえば食品であれば「まとめ買い」という販促手法にすることで高額商品に変身させ、「消費税のアップ分の差額のお得感を演出」する方法もあるという。

 ただ、こうした駆け込み需要が期待できる反面、先行きの不安から消費を抑える行動も十分に考えられる。ここで大切なのは、客の心理を考えた販促アプローチ。消費が突発的に冷え込む時期に「エコ」「ロングセラー」というキーワードが支持されるというが、同じように、ただ安さを強調するのではなく「10年使える」「長持ちする丈夫な商品」といったように“時間軸による付加価値”をアピールするのが大切であるようだ。