眺めているだけで世界一周した気分に! キュートなビジュアルブックが登場

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23

 最近、やたら3連休が多い気がする。調べてみると、どうやら今年はここ10年で最も月曜休みが多い年らしい。連休のせいで仕事が前倒しになる…というのがネックだが、月曜日に出勤するのが憂鬱で心身に不調が表れてしまう「ブルーマンデー症候群」にかかる人も、きっと少なくなっているはずだ。

 しかし、こう休みばかりだと「時間を持て余してしまう…」という人もいるのではないだろうか。かくいう私もそのひとり。だからといって、旅行に行くのもお金はかかるし、その辺をプラプラするのにも飽きてきた。そんなときに、安らぎを与えてくれた1冊がこちら。『世界でみつけた これ、なぁに? I found it! Little treasures of the world』(神林千夏/スペースシャワーネットワーク)である。

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 同書のベースとなっているのは、JALグループの機内誌『スカイワード』で、インテリアスタイリスト・神林千夏氏が4年にわたり連載していた“世界で見つけたシリーズ”。発刊にあたり、「Early Bird(はや起きさん)」「For the Beauty(美しさの秘訣)」といった13のテーマに沿って、神林氏が世界中のユニークグッズをセレクトし直したという。

 例えば、「Sweet Tooth(甘い誘惑)」というテーマでは、イギリスのムスタッシュカップなるものを紹介。ここでビジュアルがお見せできないのが残念なのだが、コーヒーカップの飲み口の一部に、髭用のカバーが付いている一品だ。1800年代中頃のヴィクトリア朝時代、英国紳士たちはムスタッシュ=口髭をロウで固めていたのだが、困ったのがティータイム。湯気でロウが溶け出してしまい、立派な口髭が台無しになってしまうからである。そこで登場したのがこのムスタッシュカップなのだ。

 また、「Communication(思いを届ける)」という項目では、蝶や鳥などが彫られた美しい洗濯板も。これは、ルーマニアのとある地方で、かつて男性が女性に思いを伝える際に、洗濯板に愛のシンボルを彫って女性に贈る風習があったという歴史のある一品なんだとか。見た目が素敵、ユニークというだけでなく、背景にあるプチヒストリーが学べるのがおもしろい。

 美しい写真に、謎の一品、そして神林氏の柔らかな言葉。パラパラとページをめくるだけで思わず世界一周した気分になれる。でも、見れば見るほど、いつか実物を現地で見て体感したくなってしまうのも事実。今年は休日返上で働こうか…なんてやる気も湧いてきてしまう。

文=廣野順子(Office Ti+)