『リーガルハイ』堺雅人の演技を支える劇団四季メソッドとは?

テレビ

公開日:2013/10/22

 前クールの主演ドラマ『半沢直樹』(TBS系)で42.2%という驚異の視聴率を叩き出した堺雅人。休む間もなく、今クールではドラマ『リーガルハイ』(フジテレビ系)で主演を務めている。『半沢~』では、妻・花に叱咤激励されるほんわかするシーンと銀行内で不正を暴くシリアスなシーンが交互に訪れ、堺は緩急ある演技を見せていた。一方、『リーガルハイ』では法廷を舞台に、ハイテンションの早口なセリフが続き、『半沢~』とはまた違った一面を見せている。

 主演作が続く上に、今作では舌を噛みそうな言いまわしが続くが、堺は「劇団四季に昔から伝わる母音発声法をやっている」「効果のほどはわからないけど、クセになってて」と母音発声法にハマっていることを告白している。変幻自在に演じる堺を支えた、母音発声法とは一体どんなものなのだろうか?

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 劇団四季の創設者・浅利慶太の『劇団四季メソッド「美しい日本の話し方」』(文藝春秋)によると、母音法とは、「母音の発声を徹底的に正すことで50音のすべてをきれいに発声できるようにする手法」のこと。

 もともとは浅利の長年の親友でもある、世界的指揮者の小沢征爾が「優れたピアニストの音は、一音一音が分離している。ピアノ・コンチェルトで、ピアノの音がオーケストラの壁を抜けて響くのは、演奏された一音一音が等間隔で並んでいるときだ」と話しているのを聞いてヒントを得たという。「日本語の話し言葉を聞き手に確実に届け、かつ“きれいだ”と感じてもらうためには、一音一音が分離していることが何よりも重要」と考えるようになり、いまなお四季の劇団員は毎日この発声で練習しているそうだ。

 実際に母音法はどうやるかというと、方法はとてもシンプル。「はじめまして」を例にしてやってみよう。まず、「はじめまして」を「hajimemashite」と、子音と母音に分ける。そこから母音だけを抜き取ると、「aieaie(アイエアイエ)」となる。この「アイエアイエ」を数回繰り返した後に、子音をつけて発声してみるとハッキリとした発音になるという。どこでもだれにでもできる方法だが、実際に試してみると、口が通常より大きく動き、ハッキリ区切って話せるようになったと実感できる。

 母音法は発する言葉がきれいに聞こえるだけでなく、一音一音等間隔に区切っていくことでリズムが整うため、緊張する場面でも自分のリズムを保ちながら堂々としゃべることができるという。ということは、ここ一番のプレゼンや冠婚葬祭のスピーチなど、公私にわたって幅広く活用できるはず。他人の前で話すときに上がってしまう、早口になってしまうという人はぜひ試してみてはいかが?