メンバー揃ったし学園祭の出し物を決めよう! 『傷物語』ほか ―ブンガク!【第13回】―
公開日:2013/10/24
【前回までのおさらい】
○【第1回】ブンガク部が廃部ってどういうこと?
○【第2回】帰国子女でラノベ好きな美少女あらわる!
○【第3回】ブンガク部の救世主?顧問をさがせ
○【第4回】ラノベ好きな先生からの挑戦状
○【第5回】『東京レイヴンズ』作者・あざの耕平さんに聞いてみた
○【第6回】ラノベって女の子でも読めるの?
○【第7回】中二病でトラブルメーカーってなんなの?
○【第8回】教えて!大人でも楽しめるキャラクター小説
○【第9回】ラブコメはラノベの王道!?
○【第10回】スピンアウト・スピンオフってどういう意味?
○【第11回】なぜ人気?主人公が人外のライトノベル
○【第12回】6人目の部員は引きこもりですが、何か?
~ブンガク部~
「おはようございます!」
「あ、おはよう、唯ちゃん!」
「あ、今川先輩!」
「中島君から聞いたよ、なんだか大変だったみたいだね。6人目の部員、見つかったんでしょう?」
「……そう言われればそんな感じでしたね、まあ、少し変わった子でしたけど……」
「そうなんだ、私も見に行きたかったな、ふふ……」
「あはは……」
「……やあ、みんな、おはよう!」
「あ、おはよう」
「おはようございます」
「今日は直斗も連れてきたよ。ん、どうしたんだ、直斗? 後ろに隠れてないで出て来いよ」
「え、直斗君も!」
「あ、ちょっと! ……えーと、ここはおはようかな?」
「へえ、君が噂の直斗君だね、よろしくね」
「あ、はい……」
「直斗君、ようこそ。よく来てくれましたね!」
「あ、うん、まだよく勝手が分からないけど」
「あれ、桜井と石田君は?」
「ああ、二人なら朝早くに新入部員が増えたって言う連絡をしに田中先生のところにハイテンションで行ったよ。本当に仲が良いよね。あの二人は……」
「まあ、いいじゃない。部員も揃ったんだし、はしゃぐ気持ちも分からなくはないよ」
「まあね」
「直斗君、調子はどうですか? 学校は久しぶりなんでしょう」
「なんとかね。まあ、しばらくは保健室通いだけど……」
「それでもいいじゃないですか、それはそれで進歩だと思いますよ」
「あ、うん。……まあ、ありがと……」
「はい?」
「あ、ううん。なんでもないよ」
「……そうですか、では今日は皆さん何を話しましょうか?」
「そうだね、そろそろ例の行事も近いし、部の出し物についてでも話し合おうか」
「そうだね、みんな何かやりたいことでもある?」
「……そうですね、私はやっぱり部誌をつくりたいです!」
「部誌か、いいね。で、何を書く?」
「あ、そうですね。えーと……何でしょう?」
「……オイオイ」
「なら、とりあえず何を書くか話し合わない? まずは内容を模索しないとね!」
「まあ、そうだよね。えーと、何か良い案は……」
「……う~ん」
「自作小説とか?」
「う~ん……、ちょっと新入部員には難しいんじゃないかな」
「それじゃあ、いっそう演劇とか!」
「いやいや、そこまで時間ないから! て、いうか演劇って話題が脱線してるし!」
「……えーと、それならランキング方式の作品レビューなんかどうですか?」
「……ランキング?」
「そうです、ランキングです。部員それぞれのおすすめラノベのランキングを作って内容紹介するんです……と思ったんですけど……その、どうですか?」
「なるほど~!」
「いいね、それ面白いかも!」
「それなら、私みたいな新入部員でも書けそう」
「そうだね、それにしようよ……」
「ありがとう、直斗君。よかったですね」
「……うん」
「そういえば、直斗君はどんな作品が好きなの?」
「……僕は、そうだなあ、伝奇ものとか、ミステリーとか好きだよ、作品で言うと『空の境界』(※1)とか『傷物語』(※2)とかかな」
「空の境界」(※1)
『空の境界』(奈須 きのこ/講談社)
二年間の昏睡から目覚めた両儀式が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を視ることのできる“直死の魔眼”。ナイフだけであらゆる物を“殺す”事ができるその力は、式を昏い世界へと誘っていく。数々の怪異と式の魔眼が衝突する時、忘れられていた記憶が蘇る──。同人小説から出発し、“新伝綺”ムーブメントを打ち立てた作品。2007年より全7章と終章で構成された劇場版アニメが順次公開され、当初単館での公開だったが、話題が話題を呼び最終的に大ヒットを記録した。現在は新作劇場版アニメ『空の境界 未来福音』が絶賛上映中である。
「傷物語」(※2)
『傷物語』(西尾 維新/講談社)
私立直江津高校に通う高校二年生、阿良々木暦は春休みの初め、同級生である羽川翼のパンチラを目撃したことがきっかけで彼女と友達になる。その日の夜、瀕死の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに出会い、暦は彼女に自身の血を吸わせることで、死に往く運命にあった彼女を助ける、目覚めると彼は吸血鬼と化していた。それから暦は、友人の羽川翼と怪異の専門家、忍野メメの助力を得て立ち塞がる三人の吸血鬼ハンターとの死闘を繰り広げていく──。同作品は『化物語』からはじまる西尾 維新〈物語〉シリーズ第二弾で、現在、劇場版アニメの公開が予定されている。
「そっか、なら直斗君のランキングもそんな感じになるのかもしれませんね」
「どうなんだろうね、やってみるまではまだわからないけど……あ、でも、この行事ってなんの行事なの部の発表会か、何か?」
「まあ、それは学園祭ですけど……」
「……え!?」
キ~ン♪ コ~ン♪ カ~ン♪ コ~ン♪
「あ、もうこんな時間だ。そろそろ教室に戻らないと……」
「そうだね、今日はこれくらいにしておこうか、じゃあ、また放課後に続きを話そう」
「はい、分かりました。それじゃあ、直斗君もまたね!」
「……あ、うん、また、ね……」
「……あれ、直斗どうしたんだ、顔色が悪いぞ」
「……兄さん、この企画って学園祭なの?」
「ああ、そうだけど、どうした?」
「……そうなんだ、あはは……」
「ん?」
……つづく
次回予告
「こんにちは、中島優斗です」
「同じくこんにちは、弟の中島直斗です。ところで兄さんもうすぐ学園祭なんだよね」
「ああ、そうだよ。これから忙しくなるから頑張れよ!」
「……ごめん、兄さん、やっぱり、帰りたい」
「いやいや、もう少しだから頑張って! では……」
「次回の『ブンガク!』もお楽しみに!」