第4回山田風太郎賞は伊東潤さんの『巨鯨の海』に決定

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/23


 第4回山田風太郎賞(角川文化振興財団主催)が、伊東潤(いとうじゅん)さんの『巨鯨の海』(光文社)に決まった。

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 同賞は『甲賀忍法帖』『魔界転生』など戦後日本を代表する大衆小説家、故山田風太郎氏の独創的な作品群と作家的姿勢への敬意を礎に有望な作家の作品を発掘顕彰するため創設された賞。毎年9月1日から翌8月31日までに発表された長編および短編の文芸作品(ミステリ、時代、SFなどジャンルは問わない)で最も面白いと思われる作品に贈られる。

 同賞の第1回は『悪の教典』(貴志祐介/文藝春秋)、第2回は『ジェノサイド』(高野和明/角川書店)、第3回は『光圀伝』(冲方丁/角川書店)と『晴天の迷いクジラ』(窪美澄/新潮社)が受賞しており、いずれもベストセラーとなっている。

 伊東潤さんは、早稲田大学卒業後、外資系企業に長らく勤務した後、作家に転身。歴史小説や歴史を題材とした作品を発表し続けている。『国を蹴った男』で第34回吉川英治文学新人賞を受賞。『黒南風(くろはえ)の海 加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』で「本屋が選ぶ時代小説大賞 2011」を受賞。『城を噛ませた男』『国を蹴った男』『巨鯨の海』で、3回の直木賞候補となったが惜しくも受賞には至らず。今後の活躍も期待される作家だ。

また、第4回候補作品には、『旅猫リポート』(有川浩/文藝春秋)、『死神の浮力』(伊坂幸太郎/文藝春秋)、『光秀の定理』(垣根涼介/角川書店)、『七帝柔道記』(増田俊也/角川書店)があがっていた。いずれも注目したい作品群だ。

⇒山田風太郎賞公式サイト