スタジオジブリ最新作『かぐや姫の物語』日本最古の物語で語られていなかったこと

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更新日:2013/11/13

ビジュアルガイドブックと文庫ノベライズで
『かぐや姫の物語』を徹底追求

映画公開前日に、制作秘話&ビジュアル資料満載のガイドブックが発売!

 映画『かぐや姫の物語』のストーリーを詳細な部分まで完全網羅したうえに、スタッフ、キャストのインタビューを掲載した『かぐや姫の物語 ビジュアルガイド』。かぐや姫を演じた朝倉あきさんのグラビア&インタビュー、本作で初めて声優に挑んだ宮本信子さん、高畑淳子さん、高良健吾さんをはじめとする実力派揃いの各キャスト、高畑監督とともに脚本を書き上げた坂口理子さん、熱烈なファンを抱えるアニメーターの田辺修さん、作品を支える美術を担当した男鹿和雄さん、主題歌「いのちの記憶」を歌った二階堂和美さんらのインタビューに加えて、完成を待たずしてお亡くなりになった地井武男さんの映画に対する思いも収録されている。様々な立場から『かぐや姫の物語』の制作秘話を聞くことができるところは大きな見所だ。それぞれの証言から、なぜ今『かぐや姫』を作らなくてはならなかったのかという部分について、じっくりと掘り下げていることにも注目したい。

 本書の中で高畑監督は、キャストのひとり伊集院光さんと対談。高畑監督作品が大好きな伊集院さんが、中でも衝撃を受けたのが前作『ホーホケキョ となりの山田くん』。デジタル技術を使っているのにもかかわらずアナログっぽかった、まさに目から鱗が落ちる思いだったそう。本作でもその衝撃は増す一方だったようで、長年の疑問をぶつけ、高畑監督からいろいろな話を引き出している。

 映画を一度観ただけではわからない詳細な設定や舞台の背景を膨大なビジュアル資料を使ってわかりやすく解説している本書は、より深く『かぐや姫の物語』の世界と新しいアニメーションの可能性を知りたい人には必携のガイドブックとなるだろう。

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ビジュアルガイド

◎ビジュアル満載のストーリーガイド
 美しい水彩画をそのままアニメーションにしたような独特の表現にファンの期待が高まっているが、本書は本編制作のギリギリまで素材を待って編集されているため、ビジュアルの豊富さは特筆すべきものがある。映画の一瞬一瞬を切り取った画は、それだけで価値がありそう。一級の画集として鑑賞することもできるはずだ。

◎『かぐや姫の物語』の秘密に迫る内容
『かぐや姫の物語』のストーリーは『竹取物語』にほぼ準じている。ただし、出来事を淡々とつづった原作とは違って、登場人物たちの〈思い〉に踏み込んでいる。地上と月、生と死、過去と未来の対比が物語のキーポイントになるようだが、本編の内容をより深く理解するためのヒントがつづられているようだ。

◎メインスタッフ&キャストのインタビュー
 本書の特徴のひとつは、『かぐや姫の物語』に関わった人たちの言葉が聞けるところだ。メインキャストだけでなく出演したほとんどの役者とスタッフがコメントを寄せている。それぞれが役を演じる中で、『かぐや姫』が作られた背景をどう受け取ったのか。各キャストの証言の集成が、物語の深みをより立体的に見せてくれる。

キャスト

かぐや姫の物語 ビジュアルガイド書影

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11月22日発売予定
『かぐや姫の物語 ビジュアルガイド』

KADOKAWA 角川書店 1365円
ビジュアル満載のストーリーガイドや、メインスタッフ&豪華キャスト陣がそれぞれの『かぐや姫の物語』の思いを語ったインタビューなど、内容盛りだくさん。秘蔵スタジオ写真や高畑勲監督×伊集院光スペシャル対談も掲載。映画の感動を呼び覚ますこと間違いなしの徹底ビジュアルガイドブック。

 
 

脚本家・坂口理子が綴る、
現代女性の生き方に通じるかぐや姫の生涯

 映画公開に先駆け、10月25日に発売されたのが本編のノベライズ版『かぐや姫の物語』だ。執筆を担当するのは、高畑監督とともに脚本を手掛けた脚本家の坂口理子さん。2006年に『おシャシャのシャン!』で第31回創作テレビドラマ大賞の最優秀作を受賞した坂口さんは、数々のテレビドラマのシナリオを書いてきた気鋭の脚本家。『かぐや姫の物語』の制作がスタートしたのが約5年前ということを考えれば、彼女の起用は大抜擢といったところだろうが、見事にその大役を果たしたといえるだろう。また、坂口さんは10年に実力のある新人に贈られる日本映画製作者連盟が主催する城戸賞を受賞している。同賞は新人脚本家の発掘を目的とする映像業界の新人賞だが、野沢尚氏や中島たい子氏、近いところでは『のぼうの城』をヒットさせた和田竜氏などの小説家を輩出したことでも知られる。このノベライズを読めば彼女が小説の書き手として高い実力を持っていることがわかるはずだ。

 ノベライズ版『かぐや姫の物語』は、単に脚本を手掛けた人が書いた小説という枠組みには収まらない美しい作品に仕上がっている。高畑監督が長い歳月を費やして形作った登場人物たちの思いを鮮烈な筆致で描き出すだけでなく、平安時代の情景を多彩な言葉で再現。映画はもちろんのことだが、本書を読めば今までの日本人が知っていたかぐや姫に人としての息吹が吹き込まれたことを感じるに違いない。

 映画を観てから原作を読むか、あるいはその逆かという問題はこれまでいく度となく語られてきたことだが、公開前の1カ月の間に脚本家が自ら書き上げた小説を読んでみるのは悪くない。いや、むしろ、物語を堪能するためには先に読むべきなのかも。

かぐや姫の物語 文庫書影

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発売中
『かぐや姫の物語』

原作/『竹取物語』 原案/高畑 勲 脚本/高畑 勲、坂口理子
ノベライズ/坂口理子
角川文庫 462円
映画『かぐや姫の物語』の壮大なストーリーを、高畑勲監督とともに脚本を担当した坂口理子がノベライズ化。なぜかぐや姫はこの地球へやって来たのか、そしてなぜ月へ帰らなければならなかったのか――。姫の犯した罪と罰とは? これまで知ることのなかったかぐや姫の思いが、現代の女性たちの心に深く染みわたる。

 
 

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