世界遺産に登録されてますます話題! 富士山の魅力を知る本ランキング

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公開日:2013/11/6

 先日、初冠雪が観測された富士山。今年、世界文化遺産の登録が決まり、山ブームも手伝ってますます登山者は増えそう。そこで、今回は富士山のお膝元、山梨日日新聞社で富士山の書籍を担当するなど、活躍中の大森真樹さんに“富士山の魅力を知る本”を紹介してもらった。閉山中の今でも富士山を十分に楽しめそうだ。

■1位 『富士山頂』 新田次郎 文春文庫 580円
富士山頂に気象レーダーを建設するという大事業に携わった人々の、奮闘を記した記録文学。入札競争、霞が関での攻防、現場での自然との闘いなど、様々なドラマが展開される

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■2位 『富嶽百景・走れメロス 他八篇』 太宰 治 岩波文庫 567円
表題作は、富士山を間近に望む甲州御坂峠の茶屋に滞在した太宰が、日々の心境を記した短編。太宰ならではの富士山観を垣間見ることができる。他に「走れメロス」などを収載。

■3位 『富士』 武田泰淳 中公文庫 1200円
山梨県鳴沢村の山小屋で生活していたことで知られる作家・武田泰淳の長編小説。太平洋戦争末期、富士山麓の精神病院を舞台に物語が進み、正常と異常の境目が描かれていく。

■4位 『富士日記』(上・中・下) 武田百合子 中公文庫 各980円
『富士』の著者・武田泰淳の妻・百合子による、山小屋での暮らしの記録。独特な視点やクリアな文体も特徴的で、夫の仕事に関する記述や、取材同行時の様子なども記される。

■5位 『富士山の謎と奇談』 遠藤秀男 静岡新聞社静新新書 840円
50年に及ぶ研究歴を持つ著者が集めた、富士山にまつわる興味深い話題が一冊に。“富士山信仰のあれこれ”“溶岩洞穴の怪”など、他の本にはない切り口と掘り下げ方が特徴的。

■6位 『火の山 山猿記』(上・下) 津島佑子 講談社文庫 上900円、下840円(品切れ)
富士に寄りそって生きた一族の変遷や人間模様を描いた長編小説。数々の文学賞を受賞し、2006年に放送されたNHK連続テレビ小説『純情きらり』の原案となった作品。

■7位 『富士山の文学』 久保田 淳 角川ソフィア文庫 860円
文学博士で東大名誉教授でもある著者による一冊。『万葉集』『竹取物語』や、江戸期の俳句、現代文学まで50余作が紹介され、日本人が富士山に何を感じてきたかが紐解かれる。

■8位 『富士山検定公式テキスト』 富士山検定協会/編著 スキージャーナル 2100円
2006年度から実施されている「富士山検定」の、2級、3級に応じた公式テキストブック。自然、歴史、文化などが紹介され、富士山を語るための基本情報が網羅されている。

■9位 『「富士見」の謎 一番遠くから富士山が見えるのはどこか?』 田代 博 祥伝社新書 840円
NHK地理講座への出演でも知られる著者が、地理学の観点から「富士見」を研究。その成果をまとめた一冊となる。本書を通じ、富士山を愛した日本人の姿も見えてくると評判。

■10位 『世界遺産登録 富士山 構成資産ガイドブック』 山梨日日新聞社/編 富士山世界文化遺産登録推進両県合同会議/編集協力 山梨日日新聞社 972円
ランキングの選者・大森さんが手掛けたガイドブック。ユネスコに認定された25の構成資産が紹介され、世界遺産としての富士山の全容がわかる。英語版、中国語版も刊行された。

取材・文(ランキング部分)=澤井 一/ダ・ヴィンチ12月号 「その道のプロに聞く! ダ・ヴィンチなんでもランキング」