あたたたた!オラオラオラオラ! ジョジョ vs 北斗の拳 の勝者はどっち!?

ピックアップ

公開日:2013/11/7

 1996年の第1巻発売以来、「ウルトラセブンの巨大化には9時間必要」だの「ハイジのOPのブランコは時速79kmでジェットコースターより怖い」だの「セカンドインパクトで人類の半数が死んだら葬式はどうするの?」だの、ボクらが特撮やアニメからもらった素敵な夢を、科学という名の爆弾で打ち砕き──いや、科学という新たなモノサシで数多の爆笑をもたらしてくれた『空想科学読本』。その第14巻が10/18に発売された。

空想科学読本

これまで、様々な角度からヒーロー&ヒロインたちをいじり倒してきた著者・柳田理科雄氏が『空想科学読本14』で取り上げたのは──作品を超えた“禁断の対決”。そのテーマを表すように、14巻のサブタイトルは「名キャラ対決!どっちがすごい!?」となっている。

異なる作品のヒーローやヒロインの対決は、誰もが一度は考えたことがあるだろう。たとえば筆者の場合だと……、「ゴジラvsガメラ」「仮面ライダー対ウルトラマン」「デビルマン対マジンガーZ」「グランプリの鷹対サイバーフォーミュラ」「魔女っ子メグ対ミンキーモモ」「ミンキー・ヤス対岩崎和夫(分かる人には分かる)」……etc. どれも実現してほしいと願ったものの、これらのガチンコ勝負が見られることは決してなかった。制作会社が違う、掲載雑誌が違う、世界観が違う――といった現実的な問題が横たわっていたからだ。ところが柳田氏は、それら『オトナの事情』を科学のナイフで切り裂いて、おもしろおかしく料理してしまった。力が拮抗していると思われるキャラクターたちの対決を、科学的にシミュレーションしてみせたのだ。

advertisement

本書で検証されているのは、ツイッターや既刊書の読者ハガキで募集した32の対決。その興味深さ、楽しさを伝えるために、ここでは「北斗の拳・ケンシロウvsジョジョの奇妙な冒険・スタープラチナ」を紹介しよう。

オラオラvsあたたた

ラッシュ決戦を制するのはどっち?

ケンシロウとスタープラチナの共通点は──
「あたたたた!」と「オラオラオラオラ!」
つまり、高速の連続パンチ。
では、そのパンチをどう比較するのか?
ここからが「科学」だ。

「格闘技において、打撃の速さが重要なのは言うまでもない。速ければ速いほど、相手に与えるダメージは大きくなる」(本文より)

パンチの速度を分析&計算することで、どちらが「強い」のかを検証していく。しかし、『北斗の拳』も『ジョジョ』も原点はマンガ。見開きで大胆に描かれるパンチ連打の速度などわかりようがないのでは?そこで、柳田氏はアニメ版に注目する。両作品とも過去にアニメ化されているから、双方のアニメでの描写を比較しようと試みるのだ。

検証に用いられたのは、OVA版『ジョジョ』第2話の花京院戦と、テレビ版『北斗の拳』第1話の悪党集団Z戦。映像を見れば、数えるのはたやすい……と思いきや、「スタープラチナの腕の動きはまったく見えない」「ケンシロウ(の北斗百裂拳)の腕は同時に複数本見えるが、殴る音のほうは認識できなかった」と、両者の分析は容易ではない。

だが、ここからが空想科学者・柳田理科雄氏の腕の見せどころ。柳田氏は、スタープラチナがぶん殴っている「音」を数える。ケンシロウのパンチは「画面をコマ送り」し、「2本しかない腕がこれほどの数に見えるのは、おそらく残像」「人間の目に残像が残る時間は0.1秒。その間に4.5発パンチを打っているということだから」……と、まるで針穴のような小さな突破口から、読者を『空想科学』の世界へと引き込んでいく。

そして導き出された分析は──
スタープラチナ:5.25秒に30発のパンチ=5.7発/秒
ケンシロウ:0.1秒に4.5発のパンチ→45発/秒

こうしたきめ細やかなデータ捕捉によって、2大ヒーローのパンチのスピードが数値化されていく。だが、すごすぎる数値を提示されても実感はまるでわかない。これだけなら「なんとなくすごい」というイメージだけで終わってしまうだろう。ところが──、「連打で勝負がついたプロボクシングの3試合で測ってみる」と「平均して毎秒2.6発」で、「1発のパンチのエネルギーは、速度の2乗に比例して」──と、柳田氏は「実在のボクサーのパンチ速度・威力」を引き合いに出して、読者の納得できる数字を提示してくれるのだ。

読み進めると、スタープラチナが1秒間に与えるダメージは「えっ、ボクサーの11倍!?」「ケンシロウはさらにその490倍って……死ぬじゃん、普通に!」と、まるで自分がぶん殴られたかのように、読者は「空想世界」を実感してしまう。

そして、ついに訪れる「2人の戦いの結末」──

それは、本稿の最後にお伝えするとして、去る11/4(月祝)、空想科学研究所がニコ生特番に出張したことをお伝えしよう。番組タイトルは「『空想科学読本14』発売記念 名キャラ対決!どっちが強い!? ニコ生 特番」。著者・柳田理科雄氏をメインパーソナリティーに、声優・相沢舞さん、イラストレーター・近藤ゆたか氏をゲストに招いて、にぎやかに放送された。


 

番組では、『空想科学読本14』で取り上げられた「ガンダム対エヴァンゲリオン」「仮面ライダー対ウルトラマン」の対決シミュレーションの紹介に加え、ゲストの相沢さんが演じたキャラを取り上げて、「雨流みねね(未来日記)対獄寺隼人(家庭教師ヒットマンREBORN!)」という「爆弾魔」対決を、生放送中に分析してみせた。

また、対決の分析以外にも、3人が「強そうなロボット」「弱そうな敵」などのお題でイラストを描き、視聴者のジャッジを仰ぐというコーナーもあり、相沢舞さんの「ダンミツバイン」や「悲シンジ……」といった爆笑回答も飛び出した。来場者数は25,000人を越え、コメントも1万以上と、番組はたいへんに盛り上がった。

  • ニコ生画面キャプチャ
  • ニコ生画面キャプチャ

 

そこで、番組終了後、出演者の皆さんにお話を伺った。
ニコ生への出演は、相沢さんを除いて初めてということで、3人とも「とにかく緊張した」と、放送を思い出してはまた緊張している様子だったが、「もっとコメントを拾えたらよかった。機会があればまたやってみたい(柳田氏)」「もっと勉強して、また来ます(相沢さん)」「イラストのコーナーで声優さんに負けるなんて……。でも心地良い敗北感(近藤氏)」と、三者三様に手応えを感じ、楽しかったと語ってくれた。

では、それぞれが「面白いと思う対決」は何だろうか?

柳田氏 「ケンシロウ対スタープラチナ。パンチ速度だけで比較していますが、スタンドと人間の関係や世界観の違いのすりあわせなど、異なる条件なら違う結果も考えられる、深みのある対決だと思います」

近藤氏 「今日、生でやった『未来日記』対『REBORN』は、3人の意見が出るたびに対決の流れが変わるのが面白かったです。奥深そうな対決なので、柳田さんと別の分野の学者さんが対談形式で対決をシミュレートするのも見てみたいな、と思いました」

相沢さん 「ニコ生ではやりませんでしたが、『空想科学読本14』には『スヌーピーとチーズ・どちらが賢い?』とか『イカ娘対イカデビル・どちらがイカらしい?』みたいな強さ以外の対決もあって、女性の方も楽しめると思います。もちろん、私も楽しめました」

なんと3人ともバラバラ! でも、実現が難しい対決は、それほど多くの人の心に、とても繊細なイメージで刻み込まれているということだろう。できるだけ近い機会に、ニコ生特番『空想科学読本』が帰ってくることを期待せずにはいられない!

 

  • 左から柳田理科雄氏、相沢舞さん、近藤ゆたか氏

 

さて、気になる「ケンシロウ対スタープラチナ」の戦いの行方だ。

柳田氏は、これまでの分析結果から「速度で上回るケンシロウの拳が、スタープラチナを捉えるだろう」と見る。もちろん、スタープラチナに「人間であるケンシロウ」の攻撃が通じるのか、そもそも経絡秘孔がスタープラチナにあるのか、いや、どうせならスタープラチナの本体である空条承太郎をぶん殴ればいいじゃん、など突っ込みどころはたくさんあるが、柳田氏は結論として、「ケンシロウが勝つのではないかなあ」と話を結ぶのだった。

なんともふわっとした判定ではあるが、このふわっと感は「オレならこう見るけど」という別の視点や読者同士の議論への呼び水でもある。本書の面白さは、「絶対にこうだ」という断定的な結論ではなく「この視点から見ると、こういう結論になりそうだ」という「着眼点と科学的考証の過程」にこそある。

ケンシロウとスタープラチナの戦いに興味を抱いたあなたも、異論を抱いたあなたも、本書を片手に空想科学の門を叩いてはいかがだろうか? 自分で考えることの面白さが、そこにある。

 

『空想科学読本14』

空想科学読本14 [名キャラ対決、どっちがすごい!?]編

著・柳田理科雄(メディアファクトリー)

ずば抜けて強い者、凄まじく速い者、驚くほど頑丈な者…。漫画やアニメの世界の突出した能力の持ち主たちが作品の枠を超えて勝負をしてくれたら、どんなにいいだろう!本書では、科学の力を借りて、キャラクターたちの能力を検証、好敵手同士の対戦をシミュレーションしてみた。ゴジラ対ガメラ、ガンダム対エヴァンゲリオン、五ェ門対ゾロ…。実現至難と思われる夢の対決も、科学的な視点で考えると、予想外の展開やオドロキの結果が続出!科学の面白さと作品の魅力を堪能できる、エキサイティングな本!

 

(文・水陶マコト)

 

ニコ生特番放送記念!出演者サイン本を1名様にプレゼント!

柳田理科雄さん、相沢舞さん、近藤ゆたかさんそれぞれのサインが入った『空想科学読本14』を
1名様にプレゼント。下記よりふるってご応募ください!

サイン本画像

応募方法

1.電子ナビ公式アカウント @d_davinci のフォローをお願い致します。
(当選の連絡はTwitterのDMで送らせて頂きます)


2.下のTwitterボタンを押してツイートをお願い致します。


これで応募は完了です!

応募締切は2013年11月30日(土)17時とさせていただきます。

※発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。