耳をひっぱると何かが起きる!? あらゆる疲れが一瞬でとれる驚異の耳ひっぱり

健康

更新日:2014/11/19

 「気づけばなんだか、だるおも~。」「よくわからないけれど、いつも何か疲れてる…」。常日ごろ、そんなマイナー不調にお悩みの方は、少なくないのではないだろうか。

 仕事に追われ、プチストレスがたまりがちな私たちの日常は、もはや、自然と疲れがたまるシステムになっているとしか思えない。

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 たとえば、パソコンによる目の使いすぎ、デスクワークで首や背中がコリ固まる、小難しい客先との商談で気疲れ、飲みに行ってもやっぱり疲れて、帰宅してテレビをつければ暗いニュースでどんより、お風呂に入ってよく寝たつもりなのに、翌朝やっぱり寝起きが悪い、などなど。

 そんな、日々積み重なる小さな疲れをまとめてリセットしてくれる、究極かつ超カンタンな疲労解消法があるという。それはベストセラー『「疲れない身体」をいっきに手に入れる本 目・耳・口・鼻の使い方を変えるだけで身体の芯から楽になる!』(さくら舎)の著者であり、米国ロルフ研究所認定ロルファー・藤本靖氏が伝授する健康法、「耳ひっぱり」。藤本氏は、固くなった筋膜を柔らかくすることで体全体のバランスをとる手技療法・ロルフィングをもとにオリジナルなボディーワークを提唱し、人の脳と心と体の関係を研究。耳は疲れのリセットボタンであることから、耳をひっぱるワークで全身の疲れをとるメソッドを考案した。著書の『1日1分であらゆる疲れがとれる 耳ひっぱり』(藤本靖/飛鳥新社)から、注目の「耳ひっぱり」ワークの全貌をみてみよう。

●疲れやすい体ができる仕組み
 本書によれば、山登りやスポーツなどの肉体疲労は、ひと晩寝ればすっきりとれる。しかし前述したパソコンや人疲れによるストレスは「精神や神経の疲労」につながり、ひと晩寝ても解消しない。そんな「神経疲れ」の解消に、なぜ「耳ひっぱり」ワークが効くのか。ざっくりまとめると、こんな仕組みだ。

・パソコン作業や苦手な人との会話、満員電車などの不快な環境にさらされると、感覚器官である「目」「鼻」「耳」「口」が緊張する
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・感覚器官が緊張すると、それらと筋肉でつながる頭の芯=「蝶形骨(ちょうけいこつ)」がゆがんでしまう(たとえば目が緊張すると、目を動かす筋肉を介して蝶形骨がゆがんでこわばる)
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・「蝶形骨」のゆがみは体の芯である「横隔膜」にも伝わり、内臓が不調になる
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・常に疲れやすい体になってしまう!

● なぜ、頭の芯の疲れが体の芯に伝わってしまうのか
 その秘密は、蝶形骨と横隔膜をつなぐ「筋膜」にある。横隔膜はみぞおちの奥にある、呼吸をつくる筋肉だ。筋膜は、頭のど真ん中で脳を支える蝶形骨から始まって、気管や食道、血管、心臓を包みながら、横隔膜までひとつながりになっている薄い膜。蝶形骨のゆがみが「筋膜」を通じて横隔膜に伝わり、周辺の内臓や筋肉も緊張させ、その負担で体がなんだか、だる重くなる。この負の連鎖を止めるには、緊張のおおもとである、蝶形骨をゆるませる必要がある。その解決策が、「耳ひっぱり」ワークなのである。

●耳ひっぱりのメカニズム
 耳をひっぱると、耳と頭の側面の間にすきまができ、頭蓋骨と蝶形骨の間に少しだけ「あそび」が生まれる。すると、蝶形骨がゆがみから解放され、頭の芯がふっと軽くなる。蝶形骨がゆるむと、筋膜経由で横隔膜もゆるんと解放されて、体が「ほっと安心する」のだそう。

 さて、それではお待ちかね、「耳ひっぱり」ワークのやり方を紹介しよう。座ったままでも、立ったままでもOK。方法はいたってカンタン。

1)まず、背すじをのばし、視線を目の高さに向けて目を閉じる
2)中指を耳のくぼみに軽く入れ、親指は耳の後ろに添えて、薬指と小指は耳の付け根あたりに軽く添える
3)ひじを横に張り、そのまま両耳を頭の側面からほんの2~3ミリ浮かせるように、気持ち斜め後ろへそっとひっぱる
4)静かに呼吸しながらしばらく続けていると、頭の中心(両耳の間)あたりに小さな空間が感じられるようになる
5)頭の芯がすっきり、体もふわっとリラックス。気持ちも自然と穏やかに…

 最初は1~2分程度を目標に。慣れてくれば10秒程度で疲れがリセットできるとか。1日に何回行っても大丈夫なので、疲れを感じたり、集中したいのにできないときなど、好きなタイミングでトライしよう。

 その際に大切なのは、前述した「メカニズム」をイメージしながら行うこと。何も知らずにただ耳をひっぱるのでは効果半減。ひっぱることで頭の芯の骨である「蝶形骨」が自由になり、ふわっとした感覚が「横隔膜」まで伝わる様子を想像することで、実際に体の中でその反応が起こりやすくなるのだという。

 「ウソだ~」と疑り深いあなたは、百聞は一見にしかず、ものは試してみてほしい。ちなみに東洋医学では、耳には無数のツボがあるとされ、たとえば耳の上部のくぼみの中には「神門」と呼ばれるツボがある。「神門」を中心に、耳をもんだりひっぱって刺激すると、自律神経が整い、肩コリや腰痛、不眠などに効果があるといわれている。

 耳は小さいけれど、知るほどに奥深い。本書には「目の疲れをとる」「胃腸をすっきりさせる」「あごの緊張をとる」「骨盤のゆがみを整える」など、「耳ひっぱり」ワークの応用編も紹介されているので、心と体ほぐしの新習慣に、ぜひ加えてみてはいかがだろうか。

 

文=タニハタマユミ