神主さんの仕事、おみくじ、お守り…、神社にまつわるマナーと基礎知識

生活

更新日:2015/3/13

 伊勢神宮の式年遷宮、出雲大社の大遷宮、恋愛成就の東京大神宮──何かと神社にまつわる話題が多かったこの1年。あなたも気づけば神社に足を運び、願い事をし、おみくじを引き、お守りを買ったりしたのではないだろうか?

 そしてそこに、神様と人をつなぐ聖なる場所を祓い清め、世のため人のため神様のために働く神主さんの姿を見たことだろう。でも──神主さんって、何してる人? 社務所や境内で働く巫女さんの姿はよく見かけるけど……意外とみんな知らない神主さんのお仕事に迫ったのが、コミックエッセイ『神主さんの日常』(瀬上あきら/マッグガーデン)だ。

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 「神主さんと神社に行こう」というジョーダンのようなホントのツアーに参加したことをきっかけに、神主さんの仕事に興味を抱き、奥秩父にある関東屈指のパワースポット「三峯神社」の鳥居をくぐった。宮司の山中さんとの大胆不敵な質疑応答を通して、神主さんのことや神社でのマナーなどを楽しく教えてくれる。

■神主さんってどんな仕事をしているの?
AM6:00
お宮をあけて、フルにお掃除。
境内を清潔に保つための掃除はとても重要。掃除は神事(お祓い)のひとつと考えられている。
それが終わると、日供祭の準備。
日供祭とは神様に米・酒・野菜・果物などのお供えをして祝詞を献上し国家の安寧を祈ること。
神社とは「国家の安寧」を祈念して作られている。
そして次は玉串作り。あれは神主さんが作っていたのだ。

AM7:00
朝拝、すなわち日供祭。本殿に祈りを捧げた後、境内にある摂社や末社にも祈りを捧げる。

その後は──朝拝後、朝食。参拝者の対応、各種祈祷(中には心霊写真のお祓いなんてコトも!)──スキを見て昼食。さらに時間があれば「雅楽」の練習、境内の見回りを行い、御札の奉製を行う。
三峯神社には宿泊施設もあり、翌朝の日供祭に参加する参拝者もいるので、PM3:00頃に受け入れをすることもある。

PM5:00頃
参拝者の受付が終了し、その後、明日の朝の下準備をする……と1日の仕事は繰り返される。
それらに加えて、神社には様々な祭典や神事があり、神主さんは休む間もなく働いているのだ。

■参拝のマナーを知ろう!
 境内に入ったら、まずは手水舎にて手と口を清めて、拝殿で神様に拝礼しよう。
いきなり境内に飛び込んで、パワースポットの御神木にペタペタ触る──なんていうのは、無礼千万! 他人の家に汚れまくった客がノックもせずに入ってきて、家主にあいさつもせずに土足で寝室に入ってくるようなもの。
そんな人が神様からパワーを頂けるなんて、思いませんよね?

■お賽銭に願いを込めちゃダメ!
 賽銭は神様への供物であると同時に、汚れを祓うためのもの。賽銭は自分の分身でもあり、そこに穢れを付着させ、供えることで祓い清める──という意味もあるのだ。ゆえに。「お願いごとをする為に賽銭を投げ入れる行為は失礼に当たる(山中さん)」のだ。お賽銭はそっと箱に入れ、鈴を鳴らす。それで邪気が払われる。その後で、神様にそっとお願いをしよう!

■おみくじは結ばずに持ち帰ろう!
 おみくじは以下のように12段階になっている。
大吉>中吉>小吉>吉>半吉>末吉>末小吉>凶>小凶>半凶>末凶>大凶

 吉凶で一喜一憂することなかれ。占いには必ず教え事が書いてある。物事を始めるに当たって神様の御心=御神慮を仰ぎ、それに基づいて懸命に遂行しようとするためのもの。良くないおみくじを引いた人も持ち帰り、読み返して、良い方向に努力するための指針とすればいいのだ。境内に結ぶものじゃないの? と思ったあなた。結んじゃダメってことはないけれど、神主の山中さんいわく「“結ぶ”のは“神様とご縁を結ぶ”という意味」で、結ぶことにによって、あなたの運勢は確定することになるとのこと。それでも結びますか?

■お守りは複数所持してもOK?
 ずばり複数持っていてもOK! 神棚にお神札を複数収めているように、神様は心の狭い人間のようにケンカなどしないし、組合わせに禁止事項などない。
 ただし、お神札と同じように1年間守って頂いたり、願意が叶った場合は、感謝を込めて神社に納めよう! お守りを授与してもらった神社がベストだが、神社のお守りなら基本的にはどこの神社でも納められるとのこと。今一度、自分のお守りをチェックしよう!

と、神社にまつわる話は尽きず、本書では「神主さんたちの婚活事情」や「神職への奉職(就職)」についての話など、知られざる神主さんの世界がたっぷり紹介されている。第2弾があるのなら、ぜひ「お守りや絵馬のデザインの製作過程」や「占いの文言は誰が考えるの?」「神主さんや巫女さんの装束はどこで作られてるの?」といったことも読んでみたいと本稿筆者は思う。

もういくつ寝るとお正月? 来年の初詣は、いつもより正しい作法で、神様に会いに行くべし!

文=水陶マコト